初音ミクVS重音テトの戦いが開幕!
エモーショナルな雰囲気と儚さを併せ持つ楽曲で注目されているボカロP・雨良(Amala)が初の全国流通盤シングル表題曲『ダイダイダイダイダイキライ』が、スマッシュヒットを記録しています。2025年3月15日の投稿から2週間以内に、ニコニコ動画での殿堂入りとYouTubeでの100万回再生を達成。
多くの歌ってみた動画やMV内の振付を使った踊ってみた動画が投稿され、盛り上がりを見せています。
この楽曲で印象的なのは初音ミクと重音テトが対立関係になり、盛大な喧嘩をしている点です。
2人の感情が爆発する歌詞の意味を考察していきましょう。
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全部 全部 アンタのせいだ
反吐が出るくらいにウザったいわ
何かに縋って諂って
期待したアタシが馬鹿だった
ご機嫌伺いの八方美人
それ故にアンチな一生Gimme
浅いキャパシティ まいどおおきに
つまるとこ 人生ずっと地味
≪ダイダイダイダイダイキライ 歌詞より抜粋≫
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先攻はミクで、テトを「反吐が出るくらいにウザったいわ」と容赦なく侮辱します。
「何かに縋って諂って」という表現はボカロ界の文化を作り上げたミクとは違い、すでに完成されたステージに上がってきた新参者であることを意味しているのかもしれません。
さらに、テトは元々エイプリルフールのジョークとして2ちゃんねる上で創作された嘘の存在だからか、「ご機嫌伺いの八方美人」とも感じているようです。
「Gimme」は欲しがったりねだったりすることを表すため、自分の存在意義を見つけようと必死になっていると馬鹿にする様子が読み取れます。
世界規模で愛される自分とは比べ物にならないほど経験が浅いテトは「人生ずっと地味」とこき下ろします。
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「憎たらしい!」「痛々しい!」
無視出来ないのが一層
腹立たしい 苛立たしい
そろそろ飽きた 自画自賛に
(Look around!!)
ライクの反対はアパシー
≒ 繋がれた証
切り離せない関係
逸らしてしまいたいわ
≪ダイダイダイダイダイキライ 歌詞より抜粋≫
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後攻のテトは、ミクに対し「憎たらしい!」「痛々しい!」と反論。
大きな人気を獲得している憎たらしさ、人気集めのために何でもする痛々しさを主張しています。
とはいえ「無視出来ないのが一層 腹立たしい 苛立たしい」ともこぼしています。
ミクの魅力は周知の事実で否定できないため、そのことにも苛立ちを募らせているようです。
とはいえ「そろそろ飽きた 自画自賛に」と告げて、対抗しています。
次の「アパシー(apathy)」は「無関心」を表すため、好きの反対は無関心だと言っていることが分かります。
「≒(ニアリーイコール)」は、ほぼ等しいことや近似的に等しいことを意味する数学記号です。
それぞれ違うところがあるのに、バーチャルシンガーという同じ括りの「切り離せない関係」として見られることに嫌気が差している様子が感じられるでしょう。
白熱する両者のヘイトスピーチ

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これは所謂 ヘイトスピーチ
匿名性の声明を生命に載せてんだ
鳴り止まないサイレン 近づく度に痙攣
赤信号にずっと従順です。
≪ダイダイダイダイダイキライ 歌詞より抜粋≫
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「ヘイトスピーチ」は特定の個人や集団を標的にして攻撃的な言動をすることを指すため、2人のやり取りはまさにヘイトスピーチです。
「鳴り止まないサイレン 近づく度に痙攣」という表現から、身も心も警告を発していることが伝わってきます。
それがこれ以上相手に近づくなという警告なのか、後戻りできなくなるからこれ以上言うなという警告なのかは分かりません。
ただ「赤信号にずっと従順です」とあることから、ルールに従い近づきたくても近づけないようなもどかしさが垣間見える気がします。
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大体 アナタのコト アタシ
ダイダイダイダイダイキライ
OMG 情けない 最早
バイバイバイバイバイしたい
脳内も予測不能 故に
解解解解解は無い
どうだい?アタシのコト アナタ
ダイダイダイダイダイキライになった?
≪ダイダイダイダイダイキライ 歌詞より抜粋≫
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ここでは「アナタのコト アタシ ダイダイダイダイダイキライ」だからお別れしたいと互いに訴えます。
相手の頭の中は予測できないので、相手が自分をどう思っているのか答えは出ません。
だから「どうだい?アタシのコト アナタ ダイダイダイダイダイキライになった?」と尋ねるのでしょう。
この問いには相手の反応を気にする気持ちが見て取れます。
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あァ 百害あって一利ナシ Nothing Not see
もしタラレバ並べてもニコチンだし
I miss youって近付いた結末は凡ミス 凡ミス
センキュー 反面教師
後味 一生消えてくんないわ
≪ダイダイダイダイダイキライ 歌詞より抜粋≫
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関わっても「百害あって一利ナシ」。
あの時ああしていたら、この時こう言っていたらと考えれば考えるほど「ニコチン」で中毒になるように思考が囚われてしまうので、初めから近付かないのが一番です。
そう思うのは、「I miss youって近付いた結末」が悪いものだと実際に経験したからでしょう。
うっかり犯した「凡ミス」のせいで2人はすれ違ってしまったようです。
「後味 一生消えてくんないわ」と苦い思いをしていることが分かります。
「ダイダイダイダイダイキライ」と言うけど本当は?

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よしよし いい子ね
笑顔振り撒き パラパラ いい子ね
だけど だけど その本性は?
善悪の区別も付かないの?笑 はぁ。
減点方式で取り巻く環境に巻かれて
生涯、痛い!痛い!痛い!も聞かれないわ!って
当然の報いにクラっちゃった
≪ダイダイダイダイダイキライ 歌詞より抜粋≫
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「笑顔振り撒き」、「いい子」を演じる心の中は「善悪の区別も付かない」ほど未熟なよう。
本性を知っているので、偽りの姿にため息を吐いています。
世間では高評価が当たり前と見なされ、「減点方式で取り巻く環境に巻かれて」います。
それが苦しくて「痛い!」と叫んでも誰も聞いてくれません。
しかし、それが「当然の報い」だと思っているようです。
大衆に好かれるためにいい子のふりをして何でも受け入れると、苦しむ結果になることが示されています。
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実のところ 依存は両辺です
シャットダウンしても付き纏う
己の弱さが不甲斐ない
全部 全部 アンタのせいって
反吐が出るくらいに止まんないわ
いっその事 切り離せた方が楽なのにな
≪ダイダイダイダイダイキライ 歌詞より抜粋≫
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この部分では「人は鏡」だと語っています。
MVでミクとテトの目がお互いの色になっているのも、2人が鏡のように向かい合っているからだと解釈できますね。
嫌いだと言い合ってはいますが、鏡のように切っても切れない縁だと自覚しているようです。
「シャットダウンしても付き纏う 己の弱さが不甲斐ない」というフレーズは、バーチャルシンガーの2人らしい表現です。
相手を見て、自分の根深い弱さを垣間見るのでしょう。
鏡の前に立っているときのように目を逸らすことはできず、気になってつい目がいってしまうからこそ嫌なところが目についたり、そんな風でいてほしくないと思ったりするのだと考えられます。
そして、今の疎遠な関係になったのも「全部 全部 アンタのせい」と思わなければ納得できないようです。
とはいえ「いっその事 切り離せた方が楽なのにな」とあるように、どんなに嫌いだと言っても完全に離れられません。
それはきっと嫌いの言葉が好きの裏返しだから。
ほかの誰かではなく、ただ互いに対して素直に本心を明かせるようになったとき、2人の関係は新しいステージに向かうのではないでしょうか。
MVで繰り広げられる展開にも注目!
雨良(Amala)の『ダイダイダイダイダイキライ』は、感情をぶつけ合いながらも本当は嫌いになりきれない2人の不器用な気持ちが感じられる楽曲です。MVでは2人の関係性を物語るシーンがふんだんに盛り込まれていて、歌詞と合わせるとさらに考察が広がるでしょう。
ぜひ自分なりに考察しながら、『ダイダイダイダイダイキライ』の世界観を楽しんでくださいね!