杉本琢弥バースデーワンマンで魅せたSSWとしての魅力

初めて目の当たりにした杉本琢弥のライブは、彼がいかに優れたシンガーで、なおかつ彼の生業がシンガーソングライターであるということをまざまざと感じさせる素晴らしいパフォーマンスだった。
会場に集まったオーディエンスの熱狂がその凄まじさを物語り、ステージに鎮座する彼の表情は自信と喜びに包まれていた。

開演の時刻が迫る、CLUB CITTA'には記念撮影や楽しそうに会話をするオーディエンスの姿がある。杉本琢弥のバースデーを祝おうと集まったたくさんのBuddyたちを包み込むように会場に流れたSE。
まるでテーマパークに誘うようなサウンドに勝手に体が揺れてしまう。立ち上がり、クラップを鳴らすオーディエンス。ドラムの轟音がフロアに鳴り響くと、姿を現した、本日の主役。ピンクのセットアップに身を包んだ彼が最初に投下したのは、「Summer Touch」だった。
ライブは幕開けから熱量高く進行していく。

「HEY」と声を揃え、彼のパフォーマンスに呼応するオーディエンスと1曲目から圧倒的なパフォーマンスで自分のフィールドへと誘う杉本琢弥。
今日はバースデイライブ、もちろん彼のホームのはずなのに、そのホームを拡張しているというか、CLUB CITTA'に集まった全ての人間をたった数分で虜にしてしまう彼のスキルに驚く。
生粋のエンターテイナー、とにかくライブの地肩が強い。そして、彼を支えるバンドメンバーもまたスキルフルなのだ。

コール&レスポンス、クラップが鳴り止むことを知らないフロアで彼は、間髪を入れることなく、「But…!」、「Madness」、「CIRCUS」とジェットコースターのようにライブを展開していく。
オーディエンスは彼のそんな勢いに振り落とされないように、全身全霊でパフォーマンスに花を添える。

Buddyと二人三脚で...

「楽しんでいますか!?」と彼が口を開くと、フロアを大きな歓声が包む。さすがはエンターテイナー、軽快なトークでオーディエンスを楽しませると、「やりたいことが…」とサプライズな演出。
現在TBSラジオで放送中の『杉本琢弥のVAVAVA』のジングルを録音したいという提案に、さらにボルテージが上がるオーディエンス。
この日集まった全てのオーディエンスの声が反映されたジングルが近日中に公開されるということで、特別な日にふさわしいサプライズとなったが、まだまだライブは前半戦だ。彼はギアを入れ直し、素晴らしいライブを展開していくこととなる。

スキルフルなダンスと歌唱で再び杉本琢弥ワールドへ我々を誘う。「しゅわしゅわ。」でも変わらずコール&レスポンスが続く。
「スターダム」ではピンクのライトがフロアで揺れている。アーバンな雰囲気の中で飛び跳ねるオーディエンスの姿は、とても楽しそうで輝いている。

そんな姿を見て彼も嬉しそうな表情を浮かべ、「ここからは、ハーモニーを作っていく作業、共同作業をやります」とメロウな雰囲気の中、「yeah」と会場にいる全員で素敵なハーモニーを奏でると、「IとU」を投下。オーディエンスと素敵なハーモニーを紡ぐと、「37.2度」、「恋雨」とバラードを聴かせるフェーズへと突入。
情感たっぷりに歌い上げると、彼は熱い思いを語り始めた。
「僕はシンガーソングライターとして働いています。僕は支えてくれる人がいるからこそ、ここに立っています。アーティストも辞めるつもりもありません。あのとき会えてよかったと思ってもらえるように、これが杉本琢弥のライブです。ずっと一緒にいましょう」

強い思いを自分の言葉で紡いでスタートした、「Wanna be with you」。
彼が歌う姿を観ていると、杉本琢弥の未来は希望に満ち溢れている気がした。彼を信じ、応援するBuddyが揺らすライトの光はとても美しくて、「LaLaLa」と大合唱する光景はこの日のハイライト。
きっと彼の目にはもっと素晴らしい光景が広がっていたはずだ。

ライブはすでに終盤戦に突入していた。「Wanna be with you」の余韻はどこへやら……。ここから彼はトークで花を咲かせる。
本人が「よお喋るね〜」と言うから、遠慮なく、杉本琢弥ってよお喋る! 音楽だけじゃないところでもオーディエンスを楽しませるのが彼の素晴らしいところであり、魅力なのだろう。笑い声がフロアを包むと、また彼の目の色が変わった。

「ちょっと茶番に付き合ってもらいます。ルビィちゃん! はーい! 何が好き? チョコミントよりもB・B・Q」とスタートした「B.B.Q.」。
ボルテージが再び上がると、ここから最後まで杉本琢弥の独壇場だった。
コールの応酬とオーディエンスの大ジャンプ。ステージの上では音を介してバンドメンバーと戯れる彼の姿がある。

本編ラストの曲となった「淡水魚」では、タオルを振り回すオーディエンス。これは最初から思っていたことだが、彼のライブは一体感が凄まじい。意
思疎通のとれたBuddyたち、そして指揮者のようにBuddyを操る杉本琢弥。このバランスが素晴らしいのだ。
本編が終わっても鳴り止まないクラップと「アンコール!」という声。

アンコールで新曲披露&サプライズ

そんな雰囲気を引き裂くように、極上のバンドサウンドがフロアに鳴り響いた。アンコールで披露されたのは、彼の最新曲「RE:MAKE」だった。
まさに新たな杉本琢弥の一面だったと思う。ゴリゴリと鳴り響くロックなサウンドに彼の声が乗ることで生まれる新たな魅力と可能性を提示していたと思う。力強く歌い上げると、「RE:MAKE」を皮切りに7月より5か月連続で新曲をリリースすることを発表し、フロアはさらに熱狂に包まれた。

そんな熱狂の中、「31歳の1年間、いろんな活動をもっともっと頑張っていきます!」と決意表明すると、メジャーデビュー曲である「おにぎり」でライブを締めくくった杉本琢弥。
Buddyとともに踊ったおにぎりダンスも特効で会場を舞った金テープも、どの光景も素晴らしかった。
最後にはサプライズのケーキが登場し、驚く彼にBuddyたちから贈るバースデーソング、最高の1日はこうして幕を閉じたのだった。

初めて目の当たりにした、杉本琢弥のライブ。彼は優れたシンガーであり、音楽を心の底から愛し、音楽で未来を切り開くことを渇望しているのだと、そう感じた。
そんな彼が創出する未来が楽しみで仕方ない、今後も杉本琢弥の一挙手一投足から目が離せない。

【全24枚】杉本琢弥のライブ写真を全て見る
Text 笹谷淳介
Photo Kei Sakuhara