あいにくの雨空にもかかわらず、会場となった体育館は地域の親子連れや銚子まで足を運んだファンたちの開演を待ちわびる熱気に包まれていた。
2xFE

最初に登場したのは、新進気鋭のダンスボーカルグループ 2xFE(読み:トゥーエフイー)。
この日は2xFEにとって初めての学園祭ステージということで、4人にとって特別な一日となった。

オープニングSEが鳴り響く中、Rui、Hikari、Rio、Ayumuの4人が登場し、キレのあるフォーメーションダンスで『Infinity』がスタート。
作詞作曲を手がけるRioが、低音から高音まで自在に行き来するボーカルワークを披露し、挑発的なビートと共に"2xFEらしいフレッシュなクールさ"で観客を惹き込んだ。

「呼んでいただきありがとうございます!」と笑顔で挨拶すると、続く『TRY』では軽快なメロディーと爽やかなハーモニーが印象的で、前曲とは打って変わって明るく弾むようなステージに。
学園祭の空気と相まって、会場には自然と身体を揺らした。

2xFEが最後に披露した『RUSH』は自己紹介を兼ねたポップなナンバー。
世代を問わず受け入れられるキャッチーなメロディで、2xFEのフレッシュさと誠実さがまっすぐに伝わる1曲となった。
「この後も素敵なアーティストさんが出演されます!最後まで楽しんでください!」と、観客の拍手に包まれながら4人は笑顔で手を振った。

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吉田広大

続いて登場したのは、圧倒的な歌唱力を誇るシンガーソングライター・吉田広大。
サポートにキーボードの吹野クワガタを迎え、静かなピアノのイントロとともに『without you』で幕を開けた。
歌いだしの一声で空気が一変し、繊細さと熱を併せ持つ歌声が、体育館という限られた空間を一瞬で“ホール”のような響きに変えていく。
ラストサビでは、内に秘めた感情を解き放つような伸びやかさで声を飛ばし、観客を深く引き込んだ。

続く『ラムネ』は、海のそばに立つ千葉科学大学というロケーションにちなみ、急遽選曲された1曲。
青くて切ない恋の余韻を描いた楽曲を、青春の真ん中にいる学生たちへまっすぐに届けた。
MCでは、自身の音楽活動の原点が「高校の学園祭で歌ったこと」だと語り、「その時のことを思い出した」と語る場面も印象的だった。

さらに、Official髭男dismの『LADY』をピアノアレンジでカバー。吉田のハスキーで温もりのある声が、原曲の切なさをよりノスタルジックに染め上げた。
MCでは模擬店で焼きそばを食べたと学園祭の雰囲気を楽しんだエピソードにも触れつつ、薬学部や看護学部など人の命に寄り添う学びをする千葉科学大学の学生たちが、将来誰かの未来を救う人になるのだと感じたと語り、エールを送った。

そして最後に届けられたのは、『灯り』。
歌詞の一つ一つを丁寧に噛み締めながら、体育館いっぱいに響く声で誰かの心に小さな灯りが灯るよう、祈るように歌い上げた。
ラストサビの力強いロングトーンを終えると、観客からは割れんばかりの拍手と歓声が送られた。

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鈴木鈴木

ステージが照らされると、向かい合う鈴木鈴木のシルエットが浮かび上がる。
1曲目はアカペラで始まるLIVE Ver.での『ホワイトキス』。息を合わせた導入のハーモニーが体育館いっぱいに広がり、会場の空気を一瞬で惹き込む。
冬の始まりを感じさせる軽やかなテンポと、恋のときめきを描いた歌詞がリンクし、まるで雪の降り始めを前に胸が高鳴るような高揚感をもたらす。
1曲目から鈴木鈴木の真骨頂であるハーモニーが全開に響き、“冬が始まる高揚感”を音で描くようなオープニングとなった。

2曲目は『1番近くで』。バラードのテンポの中に、温かな愛に溢れる日常を切り取ったような歌詞が心地よく響く。
SNSでも人気の高い鈴木鈴木だが、"生で受け取る“声の温度”にこそ彼らの魅力があると感じさせるパフォーマンスだった。
また、家族や大切な人への想いをまっすぐに綴った歌詞は、兄弟ユニットならではのリアリティを帯び、この曲の持つ優しさをより深く際立たせていた。

そして「壁を越えられない時にそばにいるお守りのような曲」と披露されたのは『お守り』。
キーボード岡田 基の伴奏にあわせ荘厳な雰囲気で贈られた『お守り』は、痛みの記憶をふと呼び起こすような切ないメロディーラインと、それをやさしく包み込むようなハーモニーでライブならではの温度でそっと背中を押してくれるような強さも感じさせた。

続いてビートが鳴り始めると、聖七がクラップを煽り、それに呼応するように客席からも手拍子が広がる。
披露されたのは海の近い千葉化学大学というロケーションにちなんだ選曲で、彼らの代表曲『海のリビング』。
サビでは自然と観客が手を挙げて左右に振り、一体感を増していった。

ラストを飾ったのは『君と過ごす1度目の特別なクリスマス』。
この日は、鈴木鈴木のカメラマン夫妻が千葉科学大学の卒業生という縁もあり、二人にとっても特別なステージとなった。
「今日は少し早いクリスマスプレゼントを届けます」と語り、会場とカメラマン夫婦に向けて贈られたこの1曲。
軽やかなリズムに乗せて、初めて迎えるクリスマスのときめきと温もりを丁寧に歌い上げる。
寒暖差のあるセットリストの締めくくりとして、千葉の海風とクリスマスのぬくもり、そして鈴木鈴木らしい“まっすぐな想い”を感じることのできるライブとなった。

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雨空をものともしない3組の熱量が重なり、千葉科学大学の清澄祭は、音楽が持つ力と温度を改めて感じさせる一日となった。
学生も地域の人々や遠方から駆けつけたファンにとっても、季節の移ろいとともに心に残る特別なライブとなったに違いない。
Photo メトロ。
Text 愛香
鈴木鈴木(読み:スズキスズキ) 2017 年TBS系列「Momm!!」の歌ウマ No.1 オーディションへ出演し、6 代目チャンピオンとなったことをきっかけに、兄弟シンガーとして活動を始める。 当初は路上ライブやライブハウスなどの活動をしながら歌手としての腕を磨いていたが、2019年に活動の場をSNSに···
1992年5月2日大阪出身。 シンガーソングライターとしてライブ活動や楽曲制作を行いながら、俳優としてミュージカルにも多数出演。 テレビ東京系にて放送された「THE カラオケ★バトル プロ頂上決戦!2020夏のグランプリ」では、名だたるプロシンガーの中から見事優勝を勝ち取る。 2025年7月には約···

