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自由を求め続けた少年が残したメッセージとは 尾崎豊『15の夜』

尾崎豊の1stシングル『15の夜』。「盗んだバイクで走り出す~」という印象的なフレーズは誰もが聴いたことがあるだろう。そのため尾崎豊といえば、「反社会」「十代のカリスマ」といったイメージで語られることが非常に多い。しかし、これらはマスコミが作り出した虚像に過ぎない。

名曲が語り継がれる尾崎豊


尾崎豊の1stシングル『15の夜』。「盗んだバイクで走り出す~」という印象的なフレーズは誰もが聴いたことがあるだろう。

そのため尾崎豊といえば、「反社会」「十代のカリスマ」といったイメージで語られることが非常に多い。しかし、これらはマスコミが作り出した虚像に過ぎない。

この曲は尾崎豊が14歳の時に、友人の一人が髪が長いという理由で教師にバリカンで髪を刈られたことに対して反発して家出をしたことを基に作られたと言われている。

15の夜


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しゃがんでかたまり
背を向けながら
心のひとつも
解りあえない
大人達をにらむ
そして仲間達は今夜
家出の計画をたてる

大人達は心を
捨てろ捨てろと言うが
俺はいやなのさ
退屈な授業が
俺達の全てならば
なんて ちっぽけで
なんて意味のない
なんて無力な 15の夜-
≪15の夜 ~THE NIGHT~ 歌詞より抜粋≫
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14歳という時期は、外見を気にし出す年頃だろう。髪を伸ばしたくなることも理解できる。教師は決められたルールに従って、生徒たちを無理矢理ルールの中に押し込めようとする。もちろん生徒達の意思など関係なしに…だ。

一見生徒の戯言のように思える歌詞であるが、この曲には日本社会が抱えている生きづらさ=不自由さを反映している。

先ほどの尾崎豊のエピソードにもあるように社会(尾崎の歌詞では学校)のルールによって皆が同じでなければいけないという固定観念によって自由が阻害されている。「もっと自由があってもいいのではないか?」そんな当たり前のことを彼はこの曲を通して社会に問いかけている。

それに対して、大人は心を捨ててまでもルールに従えと言う。まるでルールに従うことが正しいことであるかのように。そして、「なんて無力な 15の夜」である。14歳の少年は大人に対して無力だと知るのである。

社会へのメッセージソング


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盗んだバイクで走り出す
行く先も解らぬまま
暗い夜の帳りの中へ

誰にも縛られたくないと
逃げ込んだ この夜に
自由になれた気がした
15の夜
≪15の夜 ~THE NIGHT~ 歌詞より抜粋≫
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大人への無力さを知った尾崎豊は、盗んだバイクで自由を求め走り出すのである。重要なのは「自由になれた気がした」と歌っていることだろう。

なぜ自由になれた気がしたなのだろうか。彼は学校というコミュニティから外に出ることは自由を得ることができると思っていた。しかし、その自由は一時的に過ぎず社会に出れば学校と同じように自由がないという現実に直面する。

ここでは、一時的に得られた自由を「自由になれた気がした」と表現している。

現代に生きる我々もまた尾崎豊が感じたような不自由さを感じることもある。誰もが社会人になることを日本の社会によって強いられている。

「安定した企業に行きなさい」学生であれば何度も聞く言葉だろう。しかし、現実には大企業のリストラが行われている事例があり、決して安定などという言葉は存在しないことが分かる。それならば、安定ということばにとらわれず好きなことを仕事にする選択があってもよい。

私たちも、尾崎豊がこの曲を通して声高に歌ったように自由を求めて生きてみてはどうだろうか。

こう見てみると尾崎豊『15の夜』はただ不満を歌った曲ではなく、14歳の少年が残した日本社会の在り方へのメッセージとも受け取れるだろう。

TEXT 川崎龍也

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