意思と知略が絡み合う人気漫画「日本三國」

『日本三國』は松木いっかによってマンガワンで連載開始、現在は裏サンデーで連載中の漫画作品です。
舞台は現実とは異なる歴史を歩む日本。
令和末期、核戦争やパンデミック、未曾有の大災害により疲弊した日本は人口が激減。
文明が明治初期程度のものまで衰退、国家としての体裁も保てず『大和、武凰、聖夷』という三つの国に分裂してしまいます。
そんな中、大和で生まれ育った主人公『三角青輝(みすみあおてる)』は己を襲った悲劇を境に、泰平の世を目指し武力ではなく理を説くことによる国家統一を目指します。
鬼才・キタ二タツヤのアニメソングへの深い理解

キタ二タツヤは人気シンガーソングライターです。
ボカロP『こんにちは谷田さん』として頭角を現し、現在の名義であるキタ二タツヤとして様々なヒット曲を世に送り出しています。
最も彼の知名度を飛躍的に向上させた代表曲と言えばTVアニメ『呪術廻戦 懐玉・玉折』のOPである『青のすみか』です。
紅白歌合戦にも出場、これを機にキタ二タツヤは様々なアニメソングの作曲を行ってきました。
キタ二タツヤのアニメソングの魅力は原作の雰囲気に寄り添い、本質を深く理解した美しい歌詞群にあります。
本作『火種』も例に漏れず、『日本三國』を最大限活かした世界観が必聴です。
はるか先の未来を見据える青い瞳
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青々と輝るその瞳
されどされど夢は遠く霞む
≪火種 歌詞より抜粋≫
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ここは主人公『青輝(あおてる)』を思わせる歌詞。
覚悟を持ち青々と理想を掲げる青輝の瞳は夢を見据え、しかしその希望は未だはるか遠くにあります。
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咲くも咲かずも、終わりは程遠い
果てるまで続く
≪火種 歌詞より抜粋≫
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咲くも咲かずも、つまり青輝の目指す天下泰平の夢が叶っても叶わずとも、その未来がわかるのはまだまだ先のこと。
しかし、彼は己の命が尽き、果てるその時こそが理想の終わりだと定めています。
それは、見通せないほど長い道のりの中で決して情熱を捨てることはないという覚悟の現れ。
この歌詞はそんな主人公の心を的確に表現しているといえるでしょう。
燃え上がる炎に例える人の情熱

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猫も杓子もはじめの火をいつしか忘れてしまう
≪火種 歌詞より抜粋≫
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黒く炭化した感情の内側で燻っている
この熱に息を吹きこんでくれ
≪火種 歌詞より抜粋≫
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長く生きていれば、人は最初に抱いていた理想や激情を忘れてしまうことがあります。
しかしこの歌詞は、そんな燻ぶった心の内の火を再び燃やす力強さに溢れています。
燃え尽きた心は炭化し、黒く死んでしまっているようにも思えますが、その実火をつけ息を吹き込めば燃え尽きる以前より強い炎を燃え上がらせる可能性に満ちています。
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ゆらゆら踊る火種、燃やせ、燃やせ!
この生の千秋楽まで
≪火種 歌詞より抜粋≫
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遠い先の先のその先で燃え尽きるまで
踊る火種、燃やせ!
≪火種 歌詞より抜粋≫
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『この生の千秋楽』という歌詞。
千秋楽とは、芝居の興行などで最後の日の公演のことを指します。
この人生という舞台の最後の日、遠い先の先のその先にあるその日まで燃え続ける炎なのだと語っているのでしょう。
「日本三國」のもつ信念を美しく描いた名曲
『火種』は、『日本三國』がもつ強い意思を独特の曲調に乗せ美しく表現した楽曲です。武力ではなく理をもって乱れた国家を治める理想を掲げる青輝の旅路。
それは偽善も甘えも存在しない、知略のぶつかり合うひとつの戦場です。
一人一人に人生があり、皆己の火を燃やしている。
そんな信念のぶつかり合いを、『火種』は真摯に向き合い描いています。
本楽曲を聞いて、この世界観に魅入られたという人はアニメや原作漫画をチェックしてみてはいかがでしょうか。
