美しく切ないバラードと透明感で魅せる奥華子

奥華子は女性シンガーソングライターです。
悲しさにそっと寄り添うようなバラードと透明感のある真っ直ぐな歌声が印象的です。
路上ライブから活動を開始し、活動休止の期間を挟みながらも現在も精力的に活動しています。
映画の主題歌だけではなくCMソングなども手掛け、その活動は多岐に渡ります。
代表曲は『楔』『ガーネット』『あなたに好きと言われたい』など。
また、本作『変わらないもの』も絶対に外せないチョイスでしょう。
青春とその終わりを描く名作「時をかける少女」
『時をかける少女』は筒井康隆のSF小説です。『変わらないもの』が挿入歌に用いられ、2006年に公開された細田守監督のアニメ映画が有名です。
この記事では、こちらのアニメ映画のストーリーを軸に解説していきます。
主人公は女子高生の紺野真琴(こんのまこと)。
ひょんなことから真琴がタイムリープ能力を身に着けたことにより、彼女の青春はその形を変えていきます。
最初は特別な能力にはしゃぐ真琴でしたが、強大な力に秘められた背景や親友の男子である間宮千昭(まみやちあき)の秘密を知ることで思い悩みます。
そうして最後に待ち受けるのは、親友との永遠の別れ。
離別と友情と恋の間で真琴の心が揺れ動く中、挿入歌として『変わらないもの』が流れます。
避けられない永遠の別れと口にできない恋心

----------------
帰り道ふざけて歩いた
訳も無く君を怒らせた
色んな君の顔を見たかったんだ
≪変わらないもの 歌詞より抜粋≫
----------------
『変わらないもの』のはじまりはそんな歌詞です。
いつも一緒に帰るなど日常のすぐそばにいる『君』。
くるくる変わる色んな表情が見たくてわざと怒らせてみたりする。
明確に言葉にせずとも、ここには確かに淡い恋心と友愛が滲んでいます。
----------------
大きな瞳が 泣きそうな声が
今も僕の胸を締め付ける
≪変わらないもの 歌詞より抜粋≫
----------------
その人物はやむを得ない理由により、相手に別れを告げることになります。
しかし、二人は気軽に別れを受け入れられるほど大人ではなく、そして長くを過ごしすぎました。
その結果、二人の別れは大きな瞳からこぼれ落ちる涙で彩られたものになってしまいました。
----------------
街灯にぶら下げた想い
いつも君に渡せなかった
≪変わらないもの 歌詞より抜粋≫
----------------
告げてしまえば別れることが余計につらくなる。
一緒にいることができないとわかっていても、無責任に恋を伝えることはできない。
これらの歌詞には、恋の葛藤と覚悟が強く染み付いています。
遠く離れた人へ、変わっても変わらないもの

----------------
君と歩いた同じ道に
今も灯りは照らし続ける
≪変わらないもの 歌詞より抜粋≫
----------------
一緒にいられなくても、別れがつらくても、それでも世界は終わりません。
自分一人の感情など世界という規模で見れば小さなもの。
君はもういないのに、君の存在を忘れたかのように、君だけがいない世界は今日も灯りに照らされています。
別れの喪失を前にした心を置き去りにして。
----------------
変わらないもの 探していた
あの日の君を忘れはしない
時を越えてく思いがある
僕は今すぐ君に会いたい
≪変わらないもの 歌詞より抜粋≫
----------------
別れは変わりません。
しかし、そんな二人の間に大きく縮まることのない距離を超えて届くものはあるかもしれません。
二人の間にある壁として、ここでは『時』、時間という強大な存在が用いられています。
これは映画の内容になぞらえたものですが、しかしこの曲単体として読み解くならば、これらの歌詞は他の状況でも通じるものがあるでしょう。
会いに行けないほど遠い場所へ引っ越した相手、環境の変化により気軽に会えない立場になってしまった相手、もしくは命を落とし魂が遠い場所へ行ってしまった相手。
もう会えないとしても、できることが何一つ残っていないとは限らない。
引っ越した相手や立場の違う相手には「手紙」を。
もう同じ世界には生きていない人には「花」を。
そうして、相手を大切に思う感情を寂しさを抱いて乗り越えていく。
『変わらないもの』はそんな等身大の切なさと優しさに溢れています。
「変わらないもの」は別れの先でも前を向く不朽の名曲
奥華子「変わらないもの」は映画「時をかける少女」の挿入歌として書き下ろされた不朽の名曲です。公開から20年近くの年数が経った現在も多くの人に親しまれ続け、その度に人々の切なさに寄り添い、前を向くための力を与えてくれました。
悲しむばかりではなく、時をこえていく思いは確かにそこにあり、変わるものもあれば変わらないものもある。
気になった方はぜひ、映画『時をかける少女』の作中で聴いてみてください。
