持っているだけで圧倒的な存在感を放ってくれる「5弦ベース」。
気になっているけれど、4弦との違いや特徴が分からないので購入を迷っているという人も多いのではないでしょうか?
この記事のもくじ
5弦ベースとは?
5弦ベースとは通常のベースの低音弦側にB音(Low-B)の弦を1本追加した、5弦仕様のエレキベースギターのことです。
高音弦側にC音の弦を追加したモデルもありますが、こちらはマイナーな存在なので基本的にLow-Bを追加したものと覚えておくと良いでしょう。
誕生は1965年と歴史のある楽器で、発売当初は人気がなかったものの80年代に有名なスタジオミュージシャンが使ったことで一気に普及。
現在ではスタジオミュージシャンはもちろん、テクニカルな演奏が好きなプレーヤー、メタル系を演奏するベーシストからも親しまれています。
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4弦ベースとの違いは?
5弦ベースは4弦のエレキベースを基に設計されているため、パーツの構造やデザインといった基本的な部分は同じです。
しかし、ピックアップやブリッジなどに専用のものが使われているほか、ネックも幅が広く、体積も大きい構造になっているなど、細かな部分に違いがありますよ。
パーツのサイズや質量の増加により、サウンドにも若干の違いがあるのも特徴の1つ。
このように見た目の印象は大きく変わらないものの、細かな仕様やサウンドなどが違っているのが5弦ベースの特徴です。
5弦ベースの選び方
5弦ベースの特徴の次は、選び方をチェックしていきましょう。
もちろん、フィーリングや見た目重視で選んでも良いですが、いくつかのポイントを意識して選べばより自分好みの弾き心地やサウンドを持ったモデルを見つけやすくなりますよ。
4弦ベースを選ぶときにも使えるものばかりなので、ぜひ気軽に覚えて活用してみてくださいね。
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ネックの幅
演奏性を重視するなら、ネックの幅に注目してみましょう。
ネックの幅は「ネックの握りやすさ」「弾きやすさ」に影響する要素で、主に弦を支えるナットの幅を基準に考えます。
持ち替えたときの違和感を減らしたい、握りやすいネックが好きならナット幅が46mm以下のモデルがおすすめ。
しっかりとした握り心地が好きなら、ナット幅が48mmほどのモデルを選ぶと良いでしょう。
ネックの形状や弦の間隔も影響するため必ずしも「ネックの幅が狭い=4弦ベースに近い弾き心地」とはなりませんが、1つの指標にはなるので参考にしてみてくださいね。
フレットの数
高音域の広さや、サウンドに影響する「フレットの数」。
このフレット数も5弦ベースを選ぶときの重要な要素です。
オーソドックスな弾き心地・サウンドが好きなら、20フレット~22フレット仕様のもの。
ハイフレットを多用するスタイルなら24フレットのモデルがおすすめです。
また、フレットが多くなるほどにコンプ感の強いバシッとしたサウンドになるので、このようなサウンドが好きな人も24フレットモデルを選ぶと良いでしょう。
ピックアップの種類
- シングルピックアップ
- ハムバッキングピックアップ
自分好みのサウンドを楽しみたいなら、ピックアップの種類を意識して選ぶのがおすすめです。
5弦ベースには主に丸い金属(ポールピース)が1列の「シングルコイルピックアップ」と、2列になった「ハムバッカーピックアップ」の2種類があります。
また、モデルによってはポールピースがZ字にならんだ「スプリットコイルピックアップ」を搭載したモデルもありますよ。
シングルは歯切れの良いクリアな音で、スラップに使ってもパキッとした小気味良いサウンドが得られるのが特徴。
ハムバッカーは低ノイズかつ太い音、スプリットコイルはマイルドなサウンドで、特にロック系を演奏する人やウォームな音色が好きな人から支持されています。
どのピックアップも幅広いジャンルに対応できますが、それぞれにサウンドの個性が異なるので自身のスタイルや好みを考えながら選んでみましょう。
出力回路の種類
- パッシブ
- アクティブ
5弦ベースの出力回路にはシンプルな構造の「パッシブ(パッシブベース)」と、電池により駆動するプリアンプを搭載した「アクティブ(アクティブベース)」の2種類があります。
パッシブタイプは演奏のニュアンスを忠実に再現してくれる、ストレートなサウンドを持っているのが特徴。
複数台のエフェクターや長いシールドを使ったときの音の劣化、ノイズには弱いですがシンプルな使い心地なので初心者でも気軽に使えるでしょう。
対するアクティブは音のレンジも広いほか、プリアンプで音色のコントロールができる、ノイズや劣化に強い点がメリット。
しかし、音が固めで電池が切れるとノイズが出る、音が出ないなどややクセのある使い心地になっています。
基本的な使い方は同じですが、サウンドや使い心地に大きな違いがあるので、こだわりたい人は意識して選んでみてくださいね。
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ボディの材質
- アッシュ
- アルダー
- マホガニー
- バスウッド
サウンドや木目にこだわりたいなら、ボディの材質もチェックしましょう。
5弦ベースのボディに使われる、主な木材の種類はこちらの4種。
「アッシュ」は高価なモデルに良く使われる木材で、歯切れの良いクリアなサウンドと、高級感のある木目が特徴。
「アルダー」はフェンダー系ベースの定番材で木目は薄めなものの、中音域が際立った味のあるサウンドが楽しめます。
赤褐色の木目が印象的な「マホガニー」は倍音が豊かで温かなサウンドが印象的。
「バスウッド」は木目が薄く、価格も安いですがバランスの良いサウンドを楽しめますよ。
木材という共通点がありながらも、それぞれに違った魅力があるので、好みと照らし合わせながら選んでみましょう。
5弦ベースのメリット・デメリット
5弦ベースには、メリットとデメリットの両方があります。
デメリットは慣れや工夫で解決できるものも多いため、あまり気にする必要はありませんが、気持ちよく使うためにも購入前にチェックしておきましょう。
また、自身のスタイルとメリットが噛み合っていないと、期待通りの効果を感じられない場合もあるので、購入を迷っている人はデメリットと一緒に確認してみてくださいね。
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メリット
広い音をカバーできる
4弦ベースよりも広い音域をカバーできるのが、5弦ベースのメリットです。
5弦ベースはLow-B、4弦開放のE音よりも半音5個分低い音まで出せるため、通常のベースでは対応できない低音域も簡単にカバーできます。
E~Low-Bの間にある音が自由に使えるほか、Low-B弦ならではのメロウなサウンドを活かした演奏ができるのもポイント。
高音域に関しては通常のベースと同じですが、手軽に超低音を出せるのは魅力だといえるでしょう。
チューニングの手間が少ない
5弦ベースのメリットは、ダウンチューニングをすることなく重低音を出せることです。
通常のベースは、チューニングを下げないと4弦開放のE音よりも低い音を出せません。
しかし、5弦ベースなら4弦を2音半下げたドロップBチューニングの最低音も、レギュラーチューニングの状態で対応できます。
1音下げチューニングや半音下げ、ドロップDなどの定番チューニングであれば、余裕を持って対応できるのも特徴の1つ。
このように、チューニングを変更することなく、幅広いチューニング・楽曲に対応できるのが5弦ベースのメリットです。
ポジション移動が少ない
ポジション移動が少ないのも5弦ベースのメリットです。
低音弦側に1本弦が増えたので、普通のベースではローポジションまで戻って弾いていた音も、そのままのポジションで演奏できます。
また、1つのポジションで弾ける音の総数が増えるので、フレージングの自由度が上がるのもポイント。
音域の幅広さだけでなく、使い勝手の良さも兼ね備えているのが5弦ベースの魅力です。
デメリット
音が少し暗い
同タイプの4弦モデルと比べると重心が低く、少し暗い音になるのが5弦ベースのデメリットです。
暗くなる理由はさまざまですが、ブリッジやネック、ナット、ペグなどの質量が増えていることが影響していると考えられています。
また、Low-B弦の音が、メロウに響くのも原因の1つでしょう。
ある程度はセッティングや弾き方でカバーできますが、細かい点を気にするのであれば曲に合わせて5弦と4弦を使い分けるのがおすすめです。
ネックが太い
5弦ベースは、通常のベースよりもネック太いです。
横幅の指標となるナット幅だけを見ても、4弦のジャズベが38mm、プレベが42mmのところ、5弦仕様のモデルは46mm~48mmとなっています。
また、ネック部分の木材の体積も幅の増加に合わせて増加しているので、スリムなネックに慣れている人は違和感を感じてしまいますよ。
慣れれば快適に演奏できますが、持ち替えの際に弾きにくさを感じる可能性があるのはデメリットといえるでしょう。
ミュートする弦が増える
ミュートするベース弦が1本増えてしまうことも、5弦ベースのデメリットです。
特に1番太い5弦は共振しやすいため、事前に対策をしておかないとノイジーな演奏になってしまいます。
対策は5弦をフィンガーレストにする、2弦~3弦を弾くときは右手の親指を4弦~5弦に当てるなどが定番。
どれもシンプルですが、フォームが微妙に変わるため慣れるまではスムーズに演奏を楽しめない可能性もあるでしょう。
5弦ベースのおすすめ5選
5弦ベースの選び方や魅力を知ったら、どんなモデルがあるのか気になりますよね。
4弦ベースと比べると品揃えは少ないですが、仕様のバリエーションも豊富なので選び方のポイントを意識して楽器選びを進めればお気に入りの1本が見つかりますよ。
最後に、5弦ベースのおすすめモデルを、高コスパなモデルを中心に紹介します。
Bacchus / WJB5-630-RSM/M-Act
日本の人気ギター・ベースブランドのBacchusが手掛ける、高コスパな5弦ベースです。
シンプルなジャズベースタイプながらもねじれに強く、こなれたサウンドが楽しめる「ローステッドメイプル」をネックと指板に採用。
トレブルとミドル、ベースの3バンドイコライザーを搭載し、アクティブ回路を搭載することで幅広いサウンドメイクを可能にしています。
日本人スタッフの技術指導により、優れたクオリティを実現しているのも魅力の5弦ベースの入門にピッタリの1本です。
Ibanez / GSR205-BK
「GSR205-BK」は「ステージへ最速」をコンセプトとするGIO Ibanezシリーズの5弦ベースです。
コンパクトなボディを採用したモダンな設計のモデルで、アクティブ回路と2基のハムバッカーによる低ノイズかつレンジの広いサウンドが楽しめます。
ナット幅が45mm、ネックエンドが67mmと全体的にスリムな設計のネックを採用しているので演奏性もバツグン。
ハードな音楽にマッチしたルックスも要チェックな、おすすめの5弦ベースです。
YAMAHA / TRBX505
スリムなネックの5弦ベースが欲しいという人にピッタリのモデルがヤマハの「TRBX505」です。
ナット幅に4弦仕様のプレベに近い43mmを採用することで、スムーズな弾き心地を実現。
ボディとネックのジョイントも滑らかな形状になっているほか、体と触れる部分にも加工が施されているので快適に演奏できるでしょう。
マホガニー材によるマイルドで倍音豊かなサウンドが楽しめるのもポイント。
アクティブとパッシブを切り替えるスイッチも搭載するなど、使い勝手とサウンドの両方にこだわられた5弦ベースです。
Fender / Player Jazz Bass V
Fenderならではの豊かな低音域と倍音が魅力の5弦ベースが「Player Jazz Bass V」です。
こちらは低価格ながらもUSA製のモデルに近いサウンドを実現した、メキシコ製の「Playerシリーズ」のモデル。
ジャズベースシェイプとアルダーボディ、20フレット仕様とFenderの定番仕様をしっかりと継承しています。
ナット幅は47.6 mmとやや広めですが、演奏性に優れたモダンCシェイプのネックにより安定した弾き心地を楽しめますよ。
パッシブタイプながらも、幅広いジャンルに対応できるオリジナルピックアップを搭載しているのも魅力のコスパに優れた5弦ベースです。
FENDER ( フェンダー ) / Player Jazz Bass Polar White ジャズベース
FUJIGEN / Neo Classic NJB10MBAHV
「Neo Classic NJB10MBAHV」は、技術力の高さが世界的に評価されている日本のメーカー・FUJIGENが手掛ける5弦ベースです。
アッシュボディにメイプル指板と、70年代のジャズベースを彷彿とさせるデザインに仕上げられているのが特徴。
ネックシェイプもヴィンテージ寄りですが程よい太さに仕上げられているほか、フレットの端の加工も丁寧なので快適な弾き心地を楽しめるでしょう。
プレベ風のサウンドが出せるスイッチ、伸びやかなサステインを生み出す「サークルフレッティングシステム」を採用しているのもポイント。
ヴィンテージなフィーリングを保ちつつも、モダンな要素が盛り込まれた本格5弦ベースです。
FUJIGEN ( フジゲン ) / Neo Classic NJB10MBAHV Vintage Natural
5弦ベースは4弦ベースよりも出せる音の幅が広がる!初心者も4弦ベースを使っている人も5弦に挑戦してみよう
4弦ベースよりも幅広い音域に対応できる5弦ベース。
普段はサブの楽器は多弦ベースにしたい人はもちろん、5弦の重厚なデザインが好きなベース初心者にもおすすめです。
ミュートは少し難しいですが、ポイントを意識して練習すれば使いこなせるようになるので、気になる人は導入を検討してみてはいかがでしょうか?
また、お気に入りのモデルが見つかったなら、ぜひ手に入れてその個性的なサウンドを楽しんでみてくださいね。
この記事のまとめ!
- 5弦ベースは、4弦ベースの低音側にB弦を足したもの
- ピックアップやナット幅、素材に注目して選べば自分好みの5弦ベースが見つけやすくなる
- 5弦ベースの魅力は音域の広さと、フレージングの自由度の高さ
- やや暗い音で、弾き心地にクセがあるのが5弦ベースのデメリット
- 5弦ベースには有名メーカーの人気商品の5弦仕様モデルや、日本のメーカーの個性的なモデルなど色々な商品がある