バンドでは「縁の下の力持ち」のような存在であるリズム担当のドラム。演奏のかっこよさに憧れてドラムを始めた人も多いのではないでしょうか。
ドラムを練習するときは、まず始めにドラムのセッティングをしなければいけません。
セッティングの方法を知らないとスタジオのドラムを傷つけてしまったり、演奏がしづらくなってしまいます。
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この記事のもくじ
ドラムセッティングの基本
スタジオのドラムはセッティングが毎回変わっているため、演奏前に自分でセッティングをする必要があります。
同じセッティングができるように練習しておくことで、短時間で練習の準備ができるようになりますよ。
素早くセッティングすることができれば、練習時間も多く取ることができるので、まずはセッティングの基本を覚えましょう。
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ドラムセッティングとは
セッティングとは、ドラムを自分の叩きやすい位置に配置することです。
ドラムにはスネアやシンバルなど様々なパーツがあり、その一つひとつを調整する必要があります。
人によって体格や好みに違いがあるため「これが正解!」というセッティングはありませんが、セッティングの基本を知っておけば応用もしやすくなってきますよ。
セッティングは椅子が大切
セッティングで最も大事なのは椅子(スローン)で、高さによって各楽器との距離が変わってきます。
スローンが自分に合った高さでないと姿勢が悪くなり、いい演奏ができなかったり身体を痛めてしまうこともあります。
まずはスローンの調整がしっかりとできるようになりましょう。
セッティングの順番を決めておく
セッティングを素早く行うためには、順番をあらかじめ決めておくことが重要です。
順番が毎回バラバラだと、同じパーツを何度も調整することになってしまいます。
その結果セッティングに時間がかかってしまい、いつまでたってもセッティングがうまくなりません。
順番を決めると同じ流れでセッティングができるため、ルーティンを決めておくのがいいでしょう。
自分に合ったセッティングをする
人によって体格や感覚が違うため、ドラムは自分に合ったセッティングをすることが大切です。
また、タムの数が1つなのか2つなのか、ペダルはシングルなのかツインペダルなのかなどの違いもあります。
それぞれの条件で自分に合ったセッティングを探し、よりよい演奏ができるように工夫しましょう。
ドラムのセッティングの全体の流れ
ドラムのセッティングには個人差がありますが、全体の流れは同じです。
- まず決めるのは椅子(スローン)の調節です。スローンの高さを決めないとスネアやタム、シンバルの位置を決めても意味がありません。
- ハイハットをセットします。ハイハットは高さに加え開き具合も調整する必要があります。曲や好みによって開き具合も変えましょう。
- バスドラムのフットペダルがきちんと装着されていることを確認します。初心者はペダルを固定し忘れてしまうことがよくあるため、忘れずに確認しましょう。
- スネアを確認します。高さを決め、スローンの位置に合わせて叩きやすい位置に移動し、高さと角度を調節します。
- タムはバスドラムの上に付いていることが多いため、位置はそこまで調節できません。しかし、バスドラムが正しい位置にあれば極端に叩きづらい位置にはなりません。
- シンバル類を調整するのは最後です。スタンドの位置や高さ、角度を調整して自分の好みに合うようにします。
- 最後に全体を叩いてみて、叩きやすければこれで完了です。違和感があった場合はここから微調整をしましょう。
椅子(スローン)のセッティング手順
スローンのセッティングはドラムのセッティングの中で最も重要ともいわれています。
自分の体の高さや位置を決めるので、スローンの位置は他の楽器全てに影響を及ぼします。
姿勢にも大きく影響するため、スローンの位置を適切にできないと変な癖がついたり怪我をしてしまう可能性があります。
スローンの調節や座り方をきちんと理解しましょう。
椅子の高さを決める
まずはスローンの高さを決めます。目安は「スローンに座ってかかとを上げたとき、膝が水平になるぐらい」を意識するといいでしょう。
かかとを上げたときに膝が90度になれば高さは調度いいので、ここを基準に上げたり下げたりして調整をしましょう。
一般的に、スローンを高くするとかかとを上げるのが楽になり、足が疲れにくくなります。ただ、足が床につかないほど高くしてしまうと体が安定しづらくなるので注意しましょう。
反対に低くすると足に力が伝わりやすくなり、音量もそのぶん出やすくなります。しかし、足を上げるのに疲労が溜まりやすいため、ひどい場合は腰を痛めたりするので注意しましょう。
椅子に座る深さについて
スローンは高さだけでなく、座る位置もかなり重要です。
浅く座ると足が動きやすくなる代わりに上半身が不安定になります。深く座ると上半身は安定しますが足を動かしづらくなります。
目安は「体の中心がスローンの中心にくる」ように座ることです。これぐらいの位置に座れば足も動かしやすく、上半身も安定します。
椅子を置く位置を決める
椅子を置く位置によってドラムセットへの距離が変わるため、位置にも気をつける必要があります。
バスドラムは動かしづらいため、バスドラムへの距離を基準に考えましょう。フットペダルに足をかけたとき、膝が90度になる場所に座るのが基準です。
この位置が最も足に力が伝わりやすく、窮屈さもなく演奏がしやすいですよ。
バスドラムのペダルの位置を調整
スローンの位置を決めたらペダルやバスドラムの位置を調整しましょう。
バスドラムは重たいため、あまり大きくは変えられませんが、微調整をすることで演奏のしやすさも変わります。
ペダルはしっかりとバスドラムのフープ(ふち)に固定しましょう。踏んでいるうちにペダルがずれてしまうと演奏ができなくなってしまいますよ。
ビジュアル的に座り方を考える
スローンの高さや座り方を変えると、お客さんからの見え方も変わります。
高くし過ぎるとドラムセットから体が飛び出すぎてしまい、素人臭い印象を与えてしまう可能性があります。
反対に椅子を低めにセッティングしていると貫禄もあり、それだけでもドラムが上手いような雰囲気が出せますよ。
ハイハットのセッティング
ハイハットはドラムの中で最も多く叩く楽器です。
リズムにも大きく影響するため、ハイハットを正しくセッティングすると演奏も大きく変わるでしょう。
ハイハットは叩くだけでなく左足でオープン・クローズを操作するため、より気を遣ってセッティングする必要があります。
スタンドをしっかり固定する
ハイハットは専用のスタンドが付いており、フットペダルとセットになっています。スタンド部分は足で踏むため、倒れないようにしっかり固定する必要があります。
ハイハットスタンドは3本足(2本足のものもある)になっており、足の開き具合を調節するネジがあります。足は開けば開くほど安定しますが、他の楽器を邪魔してしまうため手で触って動かなければ問題ありません。
ハイハットの位置を決める
ハイハットの位置は、スローンとバスドラムの位置関係から決めます。バスドラム同様、足を置いて演奏するので遠すぎたり近すぎたりすると演奏がしづらくなります。
自分の座っている位置を中心として、ハイハットのフットペダルに左足を置いたとき、右足と同じぐらいの角度になるように調整しましょう。
ハイハットの高さを調整する
ハイハットの高さも重要です、低すぎるとスネアと干渉してしまい、高すぎると叩く際に疲れやすくなります。
ハイハットを右手で叩き、スネアを左手で叩くという姿勢はドラマーの基本姿勢といえます。そのため、ハイハットが低すぎるとスネアを叩く左手が動かしづらくなるのです。
一般的にはハイハットとスネアを20センチほど離すのがいいといわれており、成人の体でいうとひじから手首ぐらいを目安にしてみてくださいね。
トップとボトムの隙間を決める
最後に、ハイハットの2枚のシンバルの開き具合を決めます。開き具合によってシンバルどうしの干渉による音色の違いが生まれます。
目安としては3~4センチほどが調度いいとされています。これはスティックでいうと2本分ぐらいですので、スティックを挟んで調節してみましょう。
隙間を大きくするとシンバルがふれずに余韻も長くなりますが、コントロールが難しくなります。音に関しては好みもあるため、自分の好きな開き具合を探していきましょう。
スネアドラムのセッティング
ドラムの中で最も存在感を放ち、バンドの中でも中軸となるスネアドラムは、叩く頻度も多く、ドラムの要といっても過言ではありません。
ライブでは表面や裏面にマイクをセッティングするため、一度位置を決めてしまうとなかなか位置を変えずらいです。
かっこいい演奏を決めれるように、スネアドラムを正しい位置にセッティングしましょう。
腰ぐらいの高さに調節する
スネアの高さは高すぎると音量が出しづらく、ハイハットとぶつかってしまいます。低すぎても太ももに当たり、演奏がしづらくなるでしょう。
スネアは一般的に腰の位置ぐらいが調度いいとされています。調度いい高さに置くことで叩きやすく、しっかりと音量も出すことができるようになりますよ。
スネアの位置を決める
スネアの位置は遠すぎると力が伝わりづらくなり、近すぎても腕が窮屈になって演奏がしづらくなります。
基本的には、スローンに座ってスティックを構えた際にスティックの先が打面の真ん中にくるように調整しましょう。
スネアの真ん中を叩くことで一番いい音を鳴らすことができ、強弱などの表現もしやすくなりますよ。
スネアを少し傾ける
一般的に、スネアを少し自分側に傾けることでスネアは演奏しやすくなります。
スネアの傾きは、スネアの打面とリムを同時に叩く「リムショット」に大きく関わるのです。
傾きが小さければリムショットはしやすくなりますが、ミスショットも多くなります。
目安としてはだいたい5度以上、大きくても20度ぐらいまでにしましょう。
タムのセッティング
タムはバスドラムについている「ハイタム」や「ロータム」、床に直接置いている「フロアタム」があります。
演奏の際のフィルインなどで主に使用し、バスドラムやスネアに味付けをしたいときに使います。
ハイタムとロータムを使用する「ツータム」、ハイタムのみを使用する「ワンタム」があり、それぞれでセッティングも違うため、注意しましょう。
ワンタムセッティングの特徴
ハイタムのみを使用する「ワンタム」というセッティングは、タムが1つにフロアタムが1つというシンプルなセットであり、ジャズなどでは定番のセッティングです。
ツータムの際にロータムがある位置にライドシンバルを置けるため、セットがコンパクトになり叩きやすくなります。
しかし、どうしても音数が1つ減ってしまうため、フィルインでタムの音程差を活かすことができなくなるのが難点です。
音程差を利用しなくても飽きないようなフィルインを、何パターンか持っている人にはおすすめです。
ツータムセッティングの特徴
ツータムは音程差のあるハイタム・ロータムとフロアタムがあるドラムセットのことです。
手数の多いドラマーはツータム、スリータムとタム数が多くなる傾向にあります。
タムが多いと音数も増えるため、その組み合わせでフィルインのパターンも増えますが、ライドシンバルやクラッシュシンバルを置く位置が限られてしまい、セッティングの自由度は減ってしまいます。
セッティングする楽器がひとつ増えるため時間がかかったり、他の楽器との干渉を気にする必要があるので注意しましょう。
タムのセッティングのコツ
タムは基本的に、自分のやりたいプレイスタイルややりたい曲、好きなドラマーなどを参考にするといいでしょう。
しかし、タムの角度については注意しなければいけません。
角度を付けるとタム回しがしやすくなりますが、スティックを振り下ろす角度と違い過ぎるとタムがしっかりと鳴らなくなります。
スネアと同じく真ん中をしっかりと叩けるように、スティックを自然に振り下ろした位置がタムの真ん中に来るようにしましょう。
シンバルのセッティング
最後にシンバルのセッティングです。シンバルは大きさや厚さ、音によって様々な種類に分かれていて役割も違います。
叩く位置や叩き方でも全く音が違って聴こえるので、ドラマーとしての表現力を問われる楽器でもあるため、セッティングにもこだわりましょう。
ライドシンバルとは
シンバルの中でも「ライドシンバル」は一番大きく、厚いシンバルです。
叩く位置によって大きく音が変わり、場面に応じて叩き分けることができます。
主に表面(ボウ)と端(エッジ)を叩きますが、真ん中のカップ部分をアクセントとして叩いたりもします。大きく厚いことから低くて大きい音が鳴り、存在感の強いシンバルの1つです。
ワンタムセッティングの場合
ワンタムセッティングの場合、ライドシンバルはハイタムの横にセットします。
ツータムのときにロータムを置く場所にライドシンバルがあるということになります。
ライドシンバルを叩くときに体を開かずに叩くことができ、右手の負担が減るというメリットがあります。セット全体もすっきりとしやすく、お客さんからドラマーも見やすくなります。
ツータムセッティングの場合
ツータムセッティングの場合は、ライドシンバルは一番右側にセットします。
ただしライドシンバルを叩くときに大きく体を開く必要があり、無駄な力が入ってしまいます。
右腕が不自由なためボウやエッジ、カップの叩き分けがしづらく、ミスショットも多くなってしまうというデメリットがあります。ツータムの場合はこのセッティングが一般的ですが、ロータムの上にライドシンバルを置いているドラマーもいます。
クラッシュシンバルについて
クラッシュシンバルはライドシンバルよりも小さくて薄く、主にエッジを叩きます。
演奏の中でアクセントとして使用されることが多い楽器です。
音量も大きく、音も伸びるためバンド全体の演奏を一気に華やかにしてくれます。ライドシンバルと違い、あまり場所を叩き分けることはなく、カップも小さいため叩いてもあまり大きい音は鳴りません。
基本的には右側と左側に一枚ずつあり、それ以上は自分で持ち込むドラマーもいます。
ドラムのセッティングは配置次第で演奏のしやすさが変わる!セッティングに困ったら高さと距離感を見直そう
ドラムのセッティングを見直すだけで演奏のしやすさだけでなく、音量や音質がガラッと変わります。
セッティングが正しくないと姿勢も悪くなり、上達も遅くなってしまうので、セッティングはドラマーにとって重要な要素です。
セッティングのポイントは「距離感と高さ」この2つを見直して追及すれば、理想の演奏をすることができるでしょう。
この記事のまとめ!
- セッティングとはドラムセットを自分の叩きやすい場所に配置すること
- セッティングを正しく行うことで演奏がしやすくなる
- スローンのセッティングは最も重要。一番最初にセッティングしよう
- ドラムのセッティングは全体の流れに沿って調整しよう