「赤城あかぎの山やまも今宵こよい限かぎり、家いえを捨すて縄張なわばりを捨すて
可愛かわいい乾分こぶんの手前てめぇたちとも
わかれわかれになる首途かどでだ
雁かりが鳴ないて南みなみの空そらへ飛とんで行いかぁ」
男おとこごころに 男おとこが惚ほれて
意気いきがとけ合あう 赤城山あかぎやま
澄すんだ夜空よぞらの まんまる月つきに
浮世うきよ横笛よこぶえ 誰だれが吹ふく
意地いじの筋金すじがね 度胸どきょうのよさも
いつか落目おちめの 三度笠さんどがさ
云いわれまいぞえ やくざの果はてと
さとるわらじに 散ちる落葉おちば
渡わたる雁かりがね 乱みだれてないて
明日あすはいずこの ねぐらやら
心こころしみじみ 吹ふく横笛よこぶえに
またも騒さわぐか 夜半よわの風かぜ
「加賀かがの国くにの住人じゅうにん小松こまつ五郎ごろう義兼よしかねが鍛きたえし業物わざもの
俺おれには生涯しょうがい 手前てめぇという強つえぇ味方みかたがあったのだ」
「赤城akagiのno山yamaもmo今宵koyoi限kagiりri、家ieをwo捨suてte縄張nawabaりをriwo捨suてte
可愛kawaiいi乾分kobunのno手前temeぇたちともetachitomo
わかれわかれになるwakarewakareninaru首途kadodeだda
雁kariがga鳴naいてite南minamiのno空soraへhe飛toんでnde行iかぁkaa」
男otokoごころにgokoroni 男otokoがga惚hoれてrete
意気ikiがとけgatoke合aうu 赤城山akagiyama
澄suんだnda夜空yozoraのno まんまるmanmaru月tsukiにni
浮世ukiyo横笛yokobue 誰dareがga吹fuくku
意地ijiのno筋金sujigane 度胸dokyouのよさもnoyosamo
いつかitsuka落目ochimeのno 三度笠sandogasa
云iわれまいぞえwaremaizoe やくざのyakuzano果haてとteto
さとるわらじにsatoruwarajini 散chiるru落葉ochiba
渡wataるru雁kariがねgane 乱midaれてないてretenaite
明日asuはいずこのhaizukono ねぐらやらnegurayara
心kokoroしみじみshimijimi 吹fuくku横笛yokobueにni
またもmatamo騒sawaぐかguka 夜半yowaのno風kaze
「加賀kagaのno国kuniのno住人juunin小松komatsu五郎gorou義兼yoshikaneがga鍛kitaえしeshi業物wazamono
俺oreにはniha生涯syougai 手前temeぇというetoiu強tsueぇe味方mikataがあったのだgaattanoda」