「さあ そろそろ出でかけるか
チェッ エンストしやがら」
おいらはダンプの 運転手うんてんしゅ
朝あさから晩ばんまで 砂利じゃり積つんで
走はしりつづける おじさんさ
都会とかいは車くるまと 人ひとの波なみ
ハンドル (オットット) 切きるのも 命いのちがけ
ハンドル (危あぶねえな) 命いのちがけ
なにしろでっかい 図体ずうたいで
タクシーなんかは 眼めの下したさ
ぶつかりゃみんな イチコロさ
だから運転うんてん 命いのちがけ
おいらの仲間なかまの 若者わかものにゃ
無茶むちゃな野郎やろうも いるけれど
おいらは10年ねん ヴェテランさ
危あぶねえことは しやしねえ
ホンの (オットット) 少すこしの 馬鹿野郎ばかやろうが
ホンの少すこしの (危あぶねえなあ あの婆ばあさん) 馬鹿野郎ばかやろうが
大おおきな事故じこを 起おこすたびに
今日きょうも世間せけんの 白しろい眼めが
ダンプ、ダンプと 睨にらみ出だす
だから運転うんてん 命いのちがけ
おれたちだけが 悪わるいんじゃない
こうして危険きけんな 都会とかいでも
ブンブン飛とばして 運はこばなきゃ
明日あすの飯まんまに 困こまるんだ
労働ろうどう条件じょうけん (オットット) てェやつが いけねえんだ
労働ろうどう条件じょうけんてェやつがネ (どうも) いけねえんだ
命いのちもいるけど 金かねもいる
だからギリギリ いっぱいの
スピード出だす気きに なるんだね
おいらはダンプの 運転手うんてんしゅ
でもね、こうして 都会とかいを抜ぬけて
ノンビリ田舎いなかへ 出でてくると
車くるまも人ひとも ずっと減へり
ここらでノンビリ 煙草たばことする……
「馬鹿野郎ばかやろう! どこ見みて歩あるいてるんだい
このスットコドッコイ 命いのちが惜おしくねえのかい」
と、どなりたいけれど 我慢がまんして
あいつだって用事ようじで 急いそいでいたんだろうよ
制限速度せいげんそくどで 春風はるかぜに吹ふかれ
ノンビリ走はしれば この世よは楽たのし
さてそろそろ 目的地もくてきち
腹はらいっぱいに 砂利じゃり積つんで
(あ、いっぱいはいけねェや
どうもお巡まわりさん 済すみませんネ)
またまた都会とかいへ 逆ぎゃくもどり
こいつを降おろせば 一日いちにちの
仕事しごとを終おえて イソイソと
我わが家やへ帰かえって晩酌ばんしゃくだ
そいつが楽たのしみ たまらねえ
人ひとも殺ころさず 自分じぶんも死しなず
毎晩まいばん一杯いっぱい やりながら
しあわせな日ひが 送おくりたい
みんなで楽たのしく 暮くらしたい
「やっぱり畳たたみの上うえで 死しにてェもんな
ねぇ、みなさん……」
「さあsaa そろそろsorosoro出deかけるかkakeruka
チェッchextu エンストensutoしやがらshiyagara」
おいらはoirahaダンプdanpuのno 運転手untensyu
朝asaからkara晩banまでmade 砂利jari積tsuんでnde
走hashiりつづけるritsudukeru おじさんさojisansa
都会tokaiはha車kurumaとto 人hitoのno波nami
ハンドルhandoru (オットットottotto) 切kiるのもrunomo 命inochiがけgake
ハンドルhandoru (危abuねえなneena) 命inochiがけgake
なにしろでっかいnanishirodekkai 図体zuutaiでde
タクシtakushiーなんかはnankaha 眼meのno下shitaさsa
ぶつかりゃみんなbutsukaryaminna イチコロichikoroさsa
だからdakara運転unten 命inochiがけgake
おいらのoirano仲間nakamaのno 若者wakamonoにゃnya
無茶muchaなna野郎yarouもmo いるけれどirukeredo
おいらはoiraha10年nen ヴェテランveteranさsa
危abuねえことはneekotoha しやしねえshiyashinee
ホンhonのno (オットットottotto) 少sukoしのshino 馬鹿野郎bakayarouがga
ホンhonのno少sukoしのshino (危abuねえなあneenaa あのano婆baaさんsan) 馬鹿野郎bakayarouがga
大ooきなkina事故jikoをwo 起okoすたびにsutabini
今日kyouもmo世間sekenのno 白shiroいi眼meがga
ダンプdanpu、ダンプdanpuとto 睨niraみmi出daすsu
だからdakara運転unten 命inochiがけgake
おれたちだけがoretachidakega 悪waruいんじゃないinjanai
こうしてkoushite危険kikenなna 都会tokaiでもdemo
ブンブンbunbun飛toばしてbashite 運hakoばなきゃbanakya
明日asuのno飯manmaにni 困komaるんだrunda
労働roudou条件jouken (オットットottotto) てteェeやつがyatsuga いけねえんだikeneenda
労働roudou条件joukenてteェeやつがyatsugaネne (どうもdoumo) いけねえんだikeneenda
命inochiもいるけどmoirukedo 金kaneもいるmoiru
だからdakaraギリギリgirigiri いっぱいのippaino
スピsupiードdo出daすsu気kiにni なるんだねnarundane
おいらはoirahaダンプdanpuのno 運転手untensyu
でもねdemone、こうしてkoushite 都会tokaiをwo抜nuけてkete
ノンビリnonbiri田舎inakaへhe 出deてくるとtekuruto
車kurumaもmo人hitoもmo ずっとzutto減heりri
ここらでkokoradeノンビリnonbiri 煙草tabakoとするtosuru……
「馬鹿野郎bakayarou! どこdoko見miてte歩aruいてるんだいiterundai
このkonoスットコドッコイsuttokodokkoi 命inochiがga惜oしくねえのかいshikuneenokai」
とto、どなりたいけれどdonaritaikeredo 我慢gamanしてshite
あいつだってaitsudatte用事youjiでde 急isoいでいたんだろうよideitandarouyo
制限速度seigensokudoでde 春風harukazeにni吹fuかれkare
ノンビリnonbiri走hashiればreba このkono世yoはha楽tanoしshi
さてそろそろsatesorosoro 目的地mokutekichi
腹haraいっぱいにippaini 砂利jari積tsuんでnde
(あa、いっぱいはいけねippaihaikeneェeやya
どうもおdoumoo巡mawaりさんrisan 済suみませんmimasenネne)
またまたmatamata都会tokaiへhe 逆gyakuもどりmodori
こいつをkoitsuwo降oろせばroseba 一日ichinichiのno
仕事shigotoをwo終oえてete イソイソisoisoとto
我waがga家yaへhe帰kaeってtte晩酌bansyakuだda
そいつがsoitsuga楽tanoしみshimi たまらねえtamaranee
人hitoもmo殺koroさずsazu 自分jibunもmo死shiなずnazu
毎晩maiban一杯ippai やりながらyarinagara
しあわせなshiawasena日hiがga 送okuりたいritai
みんなでminnade楽tanoしくshiku 暮kuらしたいrashitai
「やっぱりyappari畳tatamiのno上ueでde 死shiにてniteェeもんなmonna
ねぇnee、みなさんminasan……」