街まちが沈しずんで、長ながい年月ねんげつのあと──。
大地だいちは浮上ふじょうし、廃墟はいきょとなった街まちは再ふたたび地上ちじょうに現あらわれた。
やがて人々ひとびとが住すみ着つき、街まちは再ふたたび活気かっきを取とり戻もどした。
新あらたな街まちの人々ひとびとは、海底かいていで腐食ふしょくした人ひとの彫刻ちょうこくを見みつけ、
これはこの地ちの神かみの像ぞうだと考かんがえた。
像ぞうを崇あがめる人ひとが増ふえ、やがて、像ぞうを神かみとした信仰しんこうが生うまれた。
像ぞうから導みちびきの声こえが聞きこえるとほらを吹ふいたものが教祖きょうそとなり、
彼かれの組織そしきが街まちを支配しはいした──。
街まちに暮くらすひとりの少女しょうじょ――彼女かのじょは両親りょうしんと仲なか睦むつまじく暮くらしていた。
ある日ひ、少女しょうじょは街まちはずれで見みつけた、ひとつの像ぞうに魅入みいられた。
憧あこがれと憂うれいを宿やどし、微笑ほほえむ少年しょうねんの像ぞう。
像ぞうの目めを覗のぞき込こむと、少女しょうじょの頭あたまに曖昧あいまいなイメージが去来きょらいし始はじめた。
それは、像ぞうが宿やどした過去かこの記憶きおくと感情かんじょう――。
その奔流ほんりゅうの中なかで少女しょうじょは、自分じぶんはこの少年しょうねんの生うまれ変かわりなのだと悟さとった。
絵えを描かきたいという衝動しょうどうが突如とつじょ湧わき上あがり、少女しょうじょは足早あしばやに帰路きろに着ついた。
街まちの掟おきてでは、像ぞうの絵えを描かいてはならなかった。
少女しょうじょは両親りょうしんの目めを盗ぬすんで像ぞうの絵えを描かいた。
ある日ひ、少女しょうじょが隠かくしていた絵えを、両親りょうしんが見みつけた。
両親りょうしんは少女しょうじょを密告みっこくし、少女しょうじょは罪つみに問とわれた。
少女しょうじょは神官しんかんに問とうた。「なぜ像ぞうの絵えを描かいてはいけないのですか」。
神官しんかんは答こたえた。「それが掟おきてだからだ」。
怒いかり、疑念ぎねん、情熱じょうねつ――少女しょうじょの思おもいを受うけ止とめる者ものはいなかった。
両親りょうしんでさえも。
少女しょうじょは街まちを追放おいはなされ、街まちの外そとに広ひろがる森もりへ追おいやられた。
街machiがga沈shizuんでnde、長nagaいi年月nengetsuのあとnoato──。
大地daichiはha浮上fujouしshi、廃墟haikyoとなったtonatta街machiはha再futataびbi地上chijouにni現arawaれたreta。
やがてyagate人々hitobitoがga住suみmi着tsuきki、街machiはha再futataびbi活気kakkiをwo取toりri戻modoしたshita。
新araたなtana街machiのno人々hitobitoはha、海底kaiteiでde腐食fusyokuしたshita人hitoのno彫刻choukokuをwo見miつけtsuke、
これはこのkorehakono地chiのno神kamiのno像zouだとdato考kangaえたeta。
像zouをwo崇agaめるmeru人hitoがga増fuえe、やがてyagate、像zouをwo神kamiとしたtoshita信仰shinkouがga生uまれたmareta。
像zouからkara導michibiきのkino声koeがga聞kiこえるとほらをkoerutohorawo吹fuいたものがitamonoga教祖kyousoとなりtonari、
彼kareのno組織soshikiがga街machiをwo支配shihaiしたshita──。
街machiにni暮kuらすひとりのrasuhitorino少女syoujo――彼女kanojoはha両親ryoushinとto仲naka睦mutsuまじくmajiku暮kuらしていたrashiteita。
あるaru日hi、少女syoujoはha街machiはずれでhazurede見miつけたtsuketa、ひとつのhitotsuno像zouにni魅入miiられたrareta。
憧akogaれとreto憂ureいをiwo宿yadoしshi、微笑hohoeむmu少年syounenのno像zou。
像zouのno目meをwo覗nozoきki込koむとmuto、少女syoujoのno頭atamaにni曖昧aimaiなnaイメimeージjiがga去来kyoraiしshi始hajiめたmeta。
それはsoreha、像zouがga宿yadoしたshita過去kakoのno記憶kiokuとto感情kanjou――。
そのsono奔流honryuuのno中nakaでde少女syoujoはha、自分jibunはこのhakono少年syounenのno生uまれmare変kaわりなのだとwarinanodato悟satoったtta。
絵eをwo描kaきたいというkitaitoiu衝動syoudouがga突如totsujo湧waきki上aがりgari、少女syoujoはha足早ashibayaにni帰路kiroにni着tsuいたita。
街machiのno掟okiteではdeha、像zouのno絵eをwo描kaいてはならなかったitehanaranakatta。
少女syoujoはha両親ryoushinのno目meをwo盗nusuんでnde像zouのno絵eをwo描kaいたita。
あるaru日hi、少女syoujoがga隠kakuしていたshiteita絵eをwo、両親ryoushinがga見miつけたtsuketa。
両親ryoushinはha少女syoujoをwo密告mikkokuしshi、少女syoujoはha罪tsumiにni問toわれたwareta。
少女syoujoはha神官shinkanにni問toうたuta。「なぜnaze像zouのno絵eをwo描kaいてはいけないのですかitehaikenainodesuka」。
神官shinkanはha答kotaえたeta。「それがsorega掟okiteだからだdakarada」。
怒ikaりri、疑念ginen、情熱jounetsu――少女syoujoのno思omoいをiwo受uけke止toめるmeru者monoはいなかったhainakatta。
両親ryoushinでさえもdesaemo。
少女syoujoはha街machiをwo追放oihanaされsare、街machiのno外sotoにni広hiroがるgaru森moriへhe追oいやられたiyarareta。