湯船ゆぶねうで僕ぼくらが騒さわいでいると いつもおじさんに怒鳴どなられた
「うるせーなガキども!」坊主頭ぼうずあたまでプロレスラーみたいだったおじさん
おじさんのでっかい背中せなかには 綺麗きれいなカッコいい絵えが書かいてあって
それはお尻しりにまで届とどく程ほどの 大おおきな大おおきなものだったんだ
ある時とき「おじさんの背中綺麗せなかきれいだね」と言いったら
「バカヤロー綺麗きれいなもんか」と照てれるように背中せなかを隠かくした
それが刺青いれずみというものだったという事ことを 知しるのはだいぶ後あとになって
おじさんには娘むすめさんがいて いつも一人外ひとりそとで待まっていた
僕ぼくらは湯上ゆあがりの体からだを冷さましつつ 女おんなの子この様子ようすを観察かんさつした
おじさんが出でて来くると女おんなの子こは コーラを一気いっきに飲のみ干ほして
おじさんのぶっとい腕うでに掴つかまった 母子家庭ぼしかていの僕ぼくは羨うらやむばかり
あんなお父とうさんがいたらなあ 二人ふたりを見みながらいつも思おもった
女おんなの子この手てを引ひきながらダミ声ごえで歌うたってた歌うたが
「人生じんせいを語かたらず」という歌うただったという事ことを 知しるのはだいぶ後あとになって
中学生ちゅうがくせいになって僕ぼくらは 銭湯せんとうに行いかなくなってしまった
そしてあの女おんなの子こと同おなじ学校がっこうになるとは まさか思おもってなかった
そもそも同おない年どしだったとは 何なんだか大人おとなっぽく見みえたから
テレビに出でて来くる女優じょゆうさんのような 彼女かのじょに僕ぼくは夢中むちゅうになった
僕ぼくは想おもいを打うち明あけて 運うんよく付つき合あう事ことが出来できた
「あんなお父とうさんがいたらなあ」というあの頃ころの夢ゆめが
23にじゅうさんになる春はるに叶かなうんだっていう事ことを 知しるのはだいぶ後あとになって
今いまでもお義父とうさんとはたまに 銭湯せんとうに行いく事ことがある
背中せなかの絵えは少すこし萎しぼんでしまったが やさしい笑顔えがおとダミ声ごえはあの頃ころのまま
湯船yubuneuでde僕bokuらがraga騒sawaいでいるとideiruto いつもおじさんにitsumoojisanni怒鳴donaられたrareta
「うるせuruseーなnaガキgakiどもdomo!」坊主頭bouzuatamaでdeプロレスラpuroresuraーみたいだったおじさんmitaidattaojisan
おじさんのでっかいojisannodekkai背中senakaにはniha 綺麗kireiなnaカッコkakkoいいii絵eがga書kaいてあってiteatte
それはおsorehao尻shiriにまでnimade届todoくku程hodoのno 大ooきなkina大ooきなものだったんだkinamonodattanda
あるaru時toki「おじさんのojisanno背中綺麗senakakireiだねdane」とto言iったらttara
「バカヤロbakayaroー綺麗kireiなもんかnamonka」とto照teれるようにreruyouni背中senakaをwo隠kakuしたshita
それがsorega刺青irezumiというものだったというtoiumonodattatoiu事kotoをwo 知shiるのはだいぶrunohadaibu後atoになってninatte
おじさんにはojisanniha娘musumeさんがいてsangaite いつもitsumo一人外hitorisotoでde待maっていたtteita
僕bokuらはraha湯上yuagaりのrino体karadaをwo冷saましつつmashitsutsu 女onnaのno子koのno様子yousuをwo観察kansatsuしたshita
おじさんがojisanga出deてte来kuるとruto女onnaのno子koはha コkoーラraをwo一気ikkiにni飲noみmi干hoしてshite
おじさんのぶっといojisannobuttoi腕udeにni掴tsukamaったtta 母子家庭boshikateiのno僕bokuはha羨urayaむばかりmubakari
あんなおannao父touさんがいたらなあsangaitaranaa 二人futariをwo見miながらいつもnagaraitsumo思omoったtta
女onnaのno子koのno手teをwo引hiきながらkinagaraダミdami声goeでde歌utaってたtteta歌utaがga
「人生jinseiをwo語kataらずrazu」というtoiu歌utaだったというdattatoiu事kotoをwo 知shiるのはだいぶrunohadaibu後atoになってninatte
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そもそもsomosomo同onaいi年doshiだったとはdattatoha 何nanだかdaka大人otonaっぽくppoku見miえたからetakara
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僕bokuはha想omoいをiwo打uちchi明aけてkete 運unよくyoku付tsuきki合aうu事kotoがga出来dekiたta
「あんなおannao父touさんがいたらなあsangaitaranaa」というあのtoiuano頃koroのno夢yumeがga
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今imaでもおdemoo義父touさんとはたまにsantohatamani 銭湯sentouにni行iくku事kotoがあるgaaru
背中senakaのno絵eはha少sukoしshi萎shiboんでしまったがndeshimattaga やさしいyasashii笑顔egaoとtoダミdami声goeはあのhaano頃koroのままnomama