聽きけ この聲こえを
胸むねを騷さわがす音おとを
見みよ この眼めを
溢あふれ出でづる涕なみだを
身みも心こころも浮うかれてゐるの
眞夏まなつの夜よるの帷とばりに二人切ふたりきり
何なんにも無なくて凡すべてが有ある
一片いっぺんの言ことの葉はも落おとさじ
…我わがれは梔子くちなし…
然しからばこの世界せかいは
ひときは美うつくしき哉かな
聽きけ この聲こえを
胸むねを震ふるいはす唄うたを
見みよ この肌はだを
抱かかえへ切きれぬ若わかさを
命いのちがいま目め覺まなぶめて行いくの
二人ふたりには虞おそれ等など少すこしも無ない
生うまれた罪つみつぐなふとき
一片いっぺんの花はなびらも散ちらさじ
…我わがれは梔子くちなし…
初はじめて身みに染しみてゐる
生いきてゐると言いふこと
我わがれは口くち、無なしで良よい
何なにも彼かも持もつてゐるから
然しからばこの世界せかいは
凡およそ二人ふたりのものぞ
聽kiけke このkono聲koeをwo
胸muneをwo騷sawaがすgasu音otoをwo
見miよyo このkono眼meをwo
溢afuれre出deづるduru涕namidaをwo
身miもmo心kokoroもmo浮uかれてゐるのkaretewyiruno
眞夏manatsuのno夜yoruのno帷tobariにni二人切futarikiりri
何nanにもnimo無naくてkute凡subeてがtega有aるru
一片ippenのno言kotoのno葉haもmo落oとさじtosaji
…我wagaれはreha梔子kuchinashi…
然shikaらばこのrabakono世界sekaiはha
ひときはhitokiha美utsukuしきshiki哉kana
聽kiけke このkono聲koeをwo
胸muneをwo震furuiはすhasu唄utaをwo
見miよyo このkono肌hadaをwo
抱kakaeへhe切kiれぬrenu若wakaさをsawo
命inochiがいまgaima目me覺manabuめてmete行iくのkuno
二人futariにはniha虞osore等nado少sukoしもshimo無naいi
生uまれたmareta罪tsumiつぐなふときtsugunafutoki
一片ippenのno花hanaびらもbiramo散chiらさじrasaji
…我wagaれはreha梔子kuchinashi…
初hajiめてmete身miにni染shiみてゐるmitewyiru
生iきてゐるとkitewyiruto言iふことfukoto
我wagaれはreha口kuchi、無naしでshide良yoいi
何naniもmo彼kaもmo持moつてゐるからtsutewyirukara
然shikaらばこのrabakono世界sekaiはha
凡oyoそso二人futariのものぞnomonozo