「負まけるものかと云いいながら
あの人ひとだけには泣なかされました
男おとこぎらいの金看板きんかんばんを
女おんなぎらいにはずされて
弱よわい女おんなになりました」
後あとを追おうなと 薄情はくじょうがらす
闇やみにひと声こえ 月夜つきよに三声みこえ
すがりつかせぬ 道中どうちゅう合羽がっぱ
糸いとも切きれそな 三味線しゃみせん抱だいて
泣ないてまた越こす おんな坂さか
末すえはこうよと 承知しょうちのはずが
惚ほれた弱味よわみの この未練酒みれんざけ
酔よえば恋こいしさ 悲かなしさつのる
可愛かわいいがられた むかしはむかし
いまは涙なみだの 流ながれ島じま
帯おびも結むすばず 黒髪くろかみとかず
逢あえぬ日数にっすうを 指ゆび折おるばかり
神かみも仏ほとけも この世よになけりゃ
合あわしますまい この両りょうの手てを
三味しゃみも知しらない おんな旅たび
「負maけるものかとkerumonokato云iいながらinagara
あのano人hitoだけにはdakeniha泣naかされましたkasaremashita
男otokoぎらいのgiraino金看板kinkanbanをwo
女onnaぎらいにはずされてgirainihazusarete
弱yowaいi女onnaになりましたninarimashita」
後atoをwo追oうなとunato 薄情hakujouがらすgarasu
闇yamiにひとnihito声koe 月夜tsukiyoにni三声mikoe
すがりつかせぬsugaritsukasenu 道中douchuu合羽gappa
糸itoもmo切kiれそなresona 三味線syamisen抱daいてite
泣naいてまたitemata越koすsu おんなonna坂saka
末sueはこうよとhakouyoto 承知syouchiのはずがnohazuga
惚hoれたreta弱味yowamiのno このkono未練酒mirenzake
酔yoえばeba恋koiしさshisa 悲kanaしさつのるshisatsunoru
可愛kawaiいがられたigarareta むかしはむかしmukashihamukashi
いまはimaha涙namidaのno 流nagaれre島jima
帯obiもmo結musuばずbazu 黒髪kurokamiとかずtokazu
逢aえぬenu日数nissuuをwo 指yubi折oるばかりrubakari
神kamiもmo仏hotokeもmo このkono世yoになけりゃninakerya
合aわしますまいwashimasumai このkono両ryouのno手teをwo
三味syamiもmo知shiらないranai おんなonna旅tabi