よみ:「しながわしんじゅう」より おしみ
「品川心中」より お染 歌詞
友情
感動
恋愛
元気
結果
- 文字サイズ
- ふりがな
- ダークモード
江戸えどの頃ころ、品川しながわは大層たいそう賑にぎわっておりまして、わたしお染しみは
「白木屋しろきや」という貸かし座敷ざしきの板頭いたがしらを務つとめております。
しかし、若わかい娘こたちにどんどんお客きゃくがついて、
ついには「お茶ちゃっぴき」。移うつり代かえのお金かねも工面くめん出来できない始末しまつ。
こんなことなら、いっそ死しんじまおうかと思おもうが、
どこかに一緒いっしょに逝いってくれる馬鹿ばかはいないもんかねぇ。
江戸えどの南みなみの 品川しながわ宿やどは
浮ういて沈しずんで 女郎花おみなえし
一いち夜や一生いっしょう 思おもいをこめて
死出しでにいざなう 恋こいもどき
ともに行ゆきましょ この世よの果はてに
沖おきの 沖おきの不知火しらぬい エーエー 袖そでしぐれ
若わかいってだけでチヤホヤされて、浅あさましいったらありゃしない。男おとこも男おとこだ。
若わかい女おんななら何なんでもいいときたもんだ。まぁ、いいわ。貸本屋かしほんやの金蔵かねぐらをうまく
誑たらし込こむ事ことが出来できた。これでようやく面目めんぼくがたつというもの。
さて、どうやって死しんでやろうか…。あっ、丁度ちょうどいいところに。
「ちょっとちょっと、金きんさ~ん。」
宵よいの明星みょうじょう 東ひがしへちろり
明あけのカラスも 鳴ないてとぶ
浮世うきよ舞台ぶたいじゃ 真しんも嘘うそも
生いきるよすがの 決きめぜりふ
ちょっと待まってて あの世よの果はてで
春はるの 春はるの名残なごりの エーエー 散ちり桜ざくら
何なにが悪わるいのさ。男おとこと女おんななんて、騙だまして騙だまされて、お互たがい様さまじゃないの。
お金かねを湯水ゆみずの様ように使つかっての毎夜まいや毎夜まいやのドンチャン騒さわぎ。
「踊おどる阿呆あほに見みる阿呆あほ」とはよく言いったもんさ。情じょうに溺おぼれて、
欲よくに逆上のぼせて、いい加減かげん疲つかれちゃったんだよ。さぁ、もうおしまい。
黄楊つげの横櫛よこぐし この洗あらい髪がみ
知しって落おとせぬ 染しみひとつ
首くびを洗あらった 覚悟かくごもできた
せめて死しぬ時ときゃ にっこりと…
夢ゆめをみたとて 仕方しかたがないが
聴きいて 聴きいておくれよ エーエー 江戸えど端唄はうた
一寸先いっすんさきは闇やみ。本当ほんとうにどうなるかわかったもんじゃあないもんだ。
それにしてもついてない男おとこだね、金きんさんは。ひとりだけ逝いっちまって、
悪わるい事ことをしちゃったよ。でも、まぁ死しんじゃったもんはしょうがない。
そっちに逝いったらちゃんと詫わびるから堪忍かんにんね。ごめんよ~。
「白木屋しろきや」という貸かし座敷ざしきの板頭いたがしらを務つとめております。
しかし、若わかい娘こたちにどんどんお客きゃくがついて、
ついには「お茶ちゃっぴき」。移うつり代かえのお金かねも工面くめん出来できない始末しまつ。
こんなことなら、いっそ死しんじまおうかと思おもうが、
どこかに一緒いっしょに逝いってくれる馬鹿ばかはいないもんかねぇ。
江戸えどの南みなみの 品川しながわ宿やどは
浮ういて沈しずんで 女郎花おみなえし
一いち夜や一生いっしょう 思おもいをこめて
死出しでにいざなう 恋こいもどき
ともに行ゆきましょ この世よの果はてに
沖おきの 沖おきの不知火しらぬい エーエー 袖そでしぐれ
若わかいってだけでチヤホヤされて、浅あさましいったらありゃしない。男おとこも男おとこだ。
若わかい女おんななら何なんでもいいときたもんだ。まぁ、いいわ。貸本屋かしほんやの金蔵かねぐらをうまく
誑たらし込こむ事ことが出来できた。これでようやく面目めんぼくがたつというもの。
さて、どうやって死しんでやろうか…。あっ、丁度ちょうどいいところに。
「ちょっとちょっと、金きんさ~ん。」
宵よいの明星みょうじょう 東ひがしへちろり
明あけのカラスも 鳴ないてとぶ
浮世うきよ舞台ぶたいじゃ 真しんも嘘うそも
生いきるよすがの 決きめぜりふ
ちょっと待まってて あの世よの果はてで
春はるの 春はるの名残なごりの エーエー 散ちり桜ざくら
何なにが悪わるいのさ。男おとこと女おんななんて、騙だまして騙だまされて、お互たがい様さまじゃないの。
お金かねを湯水ゆみずの様ように使つかっての毎夜まいや毎夜まいやのドンチャン騒さわぎ。
「踊おどる阿呆あほに見みる阿呆あほ」とはよく言いったもんさ。情じょうに溺おぼれて、
欲よくに逆上のぼせて、いい加減かげん疲つかれちゃったんだよ。さぁ、もうおしまい。
黄楊つげの横櫛よこぐし この洗あらい髪がみ
知しって落おとせぬ 染しみひとつ
首くびを洗あらった 覚悟かくごもできた
せめて死しぬ時ときゃ にっこりと…
夢ゆめをみたとて 仕方しかたがないが
聴きいて 聴きいておくれよ エーエー 江戸えど端唄はうた
一寸先いっすんさきは闇やみ。本当ほんとうにどうなるかわかったもんじゃあないもんだ。
それにしてもついてない男おとこだね、金きんさんは。ひとりだけ逝いっちまって、
悪わるい事ことをしちゃったよ。でも、まぁ死しんじゃったもんはしょうがない。
そっちに逝いったらちゃんと詫わびるから堪忍かんにんね。ごめんよ~。