可愛かわいいお夏なつを 小舟こぶねにのせて
花はなの清十郎せいじゅうろうに 漕こがせたや
春はるは夜明よあけの ソレ こがれ潮しお
(セリフ)お夏なつ
「初はつの契ちぎりは尾上おのうえの桜さくら。
薄紅うすくれないのぼんぼりが瞬またたきはじめた小こ袖幕そでまく
の蔭かげであった。忘わすれはせぬ。未来みらいまでも
と誓ちかった仲なか……なのに………清十郎せいじゅうろうの
姿すがたは見みえぬ………どこへいった。逢あいた
い。あ………逢あいたい………」
向むこう通とおるは 清十郎せいじゅうろうじゃないか
笠かさがよう似にた 菅笠すげがさが
何故なぜに恋こいしい ソレ 顔かおかくす
(セリフ)お夏なつ
「ああ違ちがう、清十郎せいじゅうろうではな
い。何なにじゃと? 百ひゃく両りょうの金かねを奪うばった科とがに
より、清十郎せいじゅうろうは仕置しおきを受うけたと?嘘うそ
じゃ。清十郎せいじゅうろうは奪とりはせぬ。奪とらぬ者ものが
仕置しおきとは…」
清十郎せいじゅうろう殺ころさば お夏なつも殺ころせ
生いきて思おもいを さしょよりも
なまじ情なさけが ソレ 仇あだとなる
(セリフ)お夏なつ
「アハハハ、誰だれも知しらぬのじ
ゃ。清十郎せいじゅうろうは死しにはせぬ。ここにいる。
いつまでも、わしの胸むねの中なかにいるのじゃ。
アハハ、アハハハ、アハハハ……………」
可愛kawaiいおio夏natsuをwo 小舟kobuneにのせてninosete
花hanaのno清十郎seijuurouにni 漕koがせたやgasetaya
春haruはha夜明yoaけのkeno ソレsore こがれkogare潮shio
(セリフserifu)おo夏natsu
「初hatsuのno契chigiりはriha尾上onoueのno桜sakura。
薄紅usukurenaiのぼんぼりがnobonboriga瞬mataたきはじめたtakihajimeta小ko袖幕sodemaku
のno蔭kageであったdeatta。忘wasuれはせぬrehasenu。未来miraiまでもmademo
とto誓chikaったtta仲naka……なのにnanoni………清十郎seijuurouのno
姿sugataはha見miえぬenu………どこへいったdokoheitta。逢aいたita
いi。あa………逢aいたいitai………」
向mukoうu通tooるはruha 清十郎seijuurouじゃないかjanaika
笠kasaがようgayou似niたta 菅笠sugegasaがga
何故nazeにni恋koiしいshii ソレsore 顔kaoかくすkakusu
(セリフserifu)おo夏natsu
「ああaa違chigaうu、清十郎seijuurouではなdehana
いi。何naniじゃとjato? 百hyaku両ryouのno金kaneをwo奪ubaったtta科togaにni
よりyori、清十郎seijuurouはha仕置shioきをkiwo受uけたとketato?嘘uso
じゃja。清十郎seijuurouはha奪toりはせぬrihasenu。奪toらぬranu者monoがga
仕置shiokiとはtoha…」
清十郎seijuurou殺koroさばsaba おo夏natsuもmo殺koroせse
生iきてkite思omoいをiwo さしょよりもsasyoyorimo
なまじnamaji情nasaけがkega ソレsore 仇adaとなるtonaru
(セリフserifu)おo夏natsu
「アハハハahahaha、誰dareもmo知shiらぬのじranunoji
ゃxya。清十郎seijuurouはha死shiにはせぬnihasenu。ここにいるkokoniiru。
いつまでもitsumademo、わしのwashino胸muneのno中nakaにいるのじゃniirunoja。
アハハahaha、アハハハahahaha、アハハハahahaha……………」