暗くらい夜業よなべの 灯ひの陰かげに
そなた案あんじて 筆ふでとり候そうろう
秋あきの祭まつりの 太鼓たいこの音おとも
一人ひとりわび住すむ 母ははなれば
なまじなまじ なまじ白髪しらがの
ますのみに候そうろう
結むすぶ夜毎よごとの 夢ゆめさえも
遥はるか都との 空そらにて候そうろう
よるべなき身みに さぞやの苦労くろう
離はなればなれの 悲かなしさは
思おもい思おもい 思おもい届とどかず
もどかしく候そうろう
老おいの繰くり言ごと たどたどと
便たより書かく手ても 凍こごえて候そうろう
飾かざる錦にしきは 何なにほしかろう
親子おやこ二人ふたりで 水みずいらず
暮くらす暮くらす 暮くらすのぞみに
すがり居おり候そうろう
暗kuraいi夜業yonabeのno 灯hiのno陰kageにni
そなたsonata案anじてjite 筆fudeとりtori候sourou
秋akiのno祭matsuりのrino 太鼓taikoのno音otoもmo
一人hitoriわびwabi住suむmu 母hahaなればnareba
なまじなまじnamajinamaji なまじnamaji白髪shiragaのno
ますのみにmasunomini候sourou
結musuぶbu夜毎yogotoのno 夢yumeさえもsaemo
遥haruかka都toのno 空soraにてnite候sourou
よるべなきyorubenaki身miにni さぞやのsazoyano苦労kurou
離hanaればなれのrebanareno 悲kanaしさはshisaha
思omoいi思omoいi 思omoいi届todoかずkazu
もどかしくmodokashiku候sourou
老oいのino繰kuりri言goto たどたどとtadotadoto
便tayoりri書kaくku手teもmo 凍kogoえてete候sourou
飾kazaるru錦nishikiはha 何naniほしかろうhoshikarou
親子oyako二人futariでde 水mizuいらずirazu
暮kuraすsu暮kuraすsu 暮kuraすのぞみにsunozomini
すがりsugari居oりri候sourou