国くに破やぶれて山河さんが在あり
城しろ春はるにして草木そうもく深ふかし…
夢ゆめまぼろしの 人ひとの世よは
流ながれる雲くもか 城しろの跡あと
苔こけむすままの 石垣いしがきに
栄華えいがの昔むかし 偲しのべども
風かぜ蕭条しょうじょうと 哭なくばかり
城しろ 黙もくして 語かたらず
天てん 永遠とこしえに 動うごかず
人ひと 人ひとのみ 心こころ揺ゆれて…
月影つきかげ浮うかべ 満々まんまんと
湛たたえし堀ほりも 水涸みずがれて
名なもなき花はなに 宿やどる露つゆ
幾星霜いくせいそうの 病葉わくらばが
積つもりて朽くちし 大手門おおてもん
心こころの褥しとね 草くさまくら
誰たが吹ふく笛ふえか 琴ことの音ねか
月下げっかに起たてる 若武者わかむしゃの
凛々りりしき姿すがた 今いまいずこ
あゝああ荒城こうじょうの 秋あきが逝ゆく
国kuni破yabuれてrete山河sanga在aりri
城shiro春haruにしてnishite草木soumoku深fukaしshi…
夢yumeまぼろしのmaboroshino 人hitoのno世yoはha
流nagaれるreru雲kumoかka 城shiroのno跡ato
苔kokeむすままのmusumamano 石垣ishigakiにni
栄華eigaのno昔mukashi 偲shinoべどもbedomo
風kaze蕭条syoujouとto 哭naくばかりkubakari
城shiro 黙mokuしてshite 語kataらずrazu
天ten 永遠tokoshieにni 動ugoかずkazu
人hito 人hitoのみnomi 心kokoro揺yuれてrete…
月影tsukikage浮uかべkabe 満々manmanとto
湛tataえしeshi堀horiもmo 水涸mizugaれてrete
名naもなきmonaki花hanaにni 宿yadoるru露tsuyu
幾星霜ikuseisouのno 病葉wakurabaがga
積tsuもりてmorite朽kuちしchishi 大手門ootemon
心kokoroのno褥shitone 草kusaまくらmakura
誰taがga吹fuくku笛fueかka 琴kotoのno音neかka
月下gekkaにni起taてるteru 若武者wakamusyaのno
凛々ririしきshiki姿sugata 今imaいずこizuko
あゝaa荒城koujouのno 秋akiがga逝yuくku