夏なつも終おわりというのにその夜よるは
(妙みょうに) 暑苦あつくるしい晩ばんだった
ふらりと寄よった坂道さかみちの酒場さかば
隣となりの女おんなが話はなしかけた
「ひとりでお酒さけをのむなんて
かなしいわね……
ひとり同志どうしが会あうなんて
もっとかなしいことだわね」
俺おれは「ええ」とか「まあ」とか言いって
軽かるく流ながして聞きいてたけれど
ゆれる女おんなのペンダント なぜかみつめて心こころがゆれた
「月つきがまっかに見みえる」と言いいながら
(じっと) 俺おれの顔かおをのぞきこむ
いやおうなしに肩先かたさききがふれて
ほのかな香かおりがなまめかしい
「あなたは恋こいをしているの?
していないわね
恋こいをしている人ひとたちと
今いまは飲のみたくないものね」
俺おれは「ええ」とか「まあ」とか言いって
軽かるく流ながして聞きこうとしたが
夏なつの終おわりにのむ酒さけは にがいもんだとしみじみしみた
夏natsuもmo終owaりというのにそのritoiunonisono夜yoruはha
(妙myouにni) 暑苦atsukuruしいshii晩banだったdatta
ふらりとfurarito寄yoったtta坂道sakamichiのno酒場sakaba
隣tonaりのrino女onnaがga話hanaしかけたshikaketa
「ひとりでおhitorideo酒sakeをのむなんてwonomunante
かなしいわねkanashiiwane……
ひとりhitori同志doushiがga会aうなんてunante
もっとかなしいことだわねmottokanashiikotodawane」
俺oreはha「ええee」とかtoka「まあmaa」とかtoka言iってtte
軽karuくku流nagaしてshite聞kiいてたけれどitetakeredo
ゆれるyureru女onnaのnoペンダントpendanto なぜかみつめてnazekamitsumete心kokoroがゆれたgayureta
「月tsukiがまっかにgamakkani見miえるeru」とto言iいながらinagara
(じっとjitto) 俺oreのno顔kaoをのぞきこむwonozokikomu
いやおうなしにiyaounashini肩先katasakiきがふれてkigafurete
ほのかなhonokana香kaoりがなまめかしいriganamamekashii
「あなたはanataha恋koiをしているのwoshiteiruno?
していないわねshiteinaiwane
恋koiをしているwoshiteiru人hitoたちとtachito
今imaはha飲noみたくないものねmitakunaimonone」
俺oreはha「ええee」とかtoka「まあmaa」とかtoka言iってtte
軽karuくku流nagaしてshite聞kiこうとしたがkoutoshitaga
夏natsuのno終owaりにのむrininomu酒sakeはha にがいもんだとしみじみしみたnigaimondatoshimijimishimita