「もしもし そろそろ逢あひたいな」
庭にわには 花菱草はなびしそう
何時何時いついつ 出でやる 後うしろの正面しょうめん
振ふり返かえつて 振ふり返かえつて 彼あの子こは未まだだよと
「もしもし お変かはり無ないですか」
庭にわには夏なつが来きさう
何時何時いついつ 出でやる 後うしろの正面しょうめん
待まち望のぞむで 待まち望のぞむで 彼あの子こにまう良いいかいと
鳥渡仰ちょっとあおいで
戸惑とまどひは太陽たいようを隠かくす雲くも
置おいて行いかないで
空そらは金きんと朱色しゅいろ 互たがひ違ちがひ
実みの無ない花はなは 枯かれても永遠えいえんに愛めでらるる無実むじつの罪つみ
蕾つぼみに成なつて魅みせてくれ
さあ
今日きょうと明日あすを結むすべ
急度祈きっといのつて
恥はぢらひが陶酔とうすいに負まける風かぜ
付ついて来こないで
我われは綿めんの混紡こんぼう 互たがひ違ちがひ
花はなの咲さかない実みは 朽くち永遠えいえんに忘わすらるる無骨ぶこつな罰ばつ
貳ふたツに割わつて召めし上あがれ
さあ
今日きょうも明日あすも
御覧ごらん
実みの無ない花はなが 枯かれゆき永遠えいえんの名なを貰もらふよ
膨ふくらむでゆく衣纏ころもまとひし此この子こは誰だれ?
妙みょうに甘あまく鮮あざやかな実み
嗚呼ああ
哀かなしみ携たずさへし子こよ 眠ねむれ
「もしもしmoshimoshi そろそろsorosoro逢aひたいなhitaina」
庭niwaにはniha 花菱草hanabishisou
何時何時itsuitsu 出deやるyaru 後ushiろのrono正面syoumen
振fuりri返kaeつてtsute 振fuりri返kaeつてtsute 彼aのno子koはha未maだだよとdadayoto
「もしもしmoshimoshi おo変kaはりhari無naいですかidesuka」
庭niwaにはniha夏natsuがga来kiさうsau
何時何時itsuitsu 出deやるyaru 後ushiろのrono正面syoumen
待maちchi望nozoむでmude 待maちchi望nozoむでmude 彼aのno子koにまうnimau良iいかいとikaito
鳥渡仰chottoaoいでide
戸惑tomadoひはhiha太陽taiyouをwo隠kakuすsu雲kumo
置oいてite行iかないでkanaide
空soraはha金kinとto朱色syuiro 互tagaひhi違chigaひhi
実miのno無naいi花hanaはha 枯kaれてもretemo永遠eienにni愛meでらるるderaruru無実mujitsuのno罪tsumi
蕾tsubomiにni成naつてtsute魅miせてくれsetekure
さあsaa
今日kyouとto明日asuをwo結musuべbe
急度祈kittoinoつてtsute
恥haぢらひがjirahiga陶酔tousuiにni負maけるkeru風kaze
付tsuいてite来koないでnaide
我wareはha綿menのno混紡konbou 互tagaひhi違chigaひhi
花hanaのno咲saかないkanai実miはha 朽kuちchi永遠eienにni忘wasuらるるraruru無骨bukotsuなna罰batsu
貳futaツtsuにni割waつてtsute召meしshi上aがれgare
さあsaa
今日kyouもmo明日asuもmo
御覧goran
実miのno無naいi花hanaがga 枯kaれゆきreyuki永遠eienのno名naをwo貰moraふよfuyo
膨fukuraむでゆくmudeyuku衣纏koromomatoひしhishi此koのno子koはha誰dare?
妙myouにni甘amaくku鮮azaやかなyakana実mi
嗚呼aa
哀kanaしみshimi携tazusaへしheshi子koよyo 眠nemuれre