あなたはどんな男性が好みのタイプ?
肉食or草食という二者択一は、もう過去の話。今や「●●系男子」のカテゴリは、
・脱力系男子=いつも眠そうで、母性本能をくすぐるタイプ
・サードウェーブ系男子=ライフスタイルにこだわりがあるオシャレ系
・将棋系男子=知的でスマート。戦略を立てて物事を進めるのが好き
さらには
・僧職系男子=仏教の道を歩む男子
…なんて、マニアックなジャンルにまで広がってきているようだ。「将棋系」は、実際に将棋をやってなくてもいいそうで、理解に苦しむ。そして「僧職系」に至っては、もはやダジャレじゃ…。
さておき。さまざまな「●●系男子」が登場するのは、それはそれで面白いのだけど、やっぱり男性はガツンと男らしくないと! 草食系が何かともてはやされる世の中に飽き飽きしている人に、ぜひ注目してほしいバンドがある。
THE FOREVER YOUNGだ。
まず、彼らが全力で歌い上げるラブソング「HELLO GOODBYE」の動画を見てみてほしい。
いや、リンクに飛ばなくてもいい。サムネイルを見てほしい。この表情、全力すぎてもはや寄り目だ。
THE FOREVER YOUNGは、福岡出身の4ピースバンド。
オシャレな若手バンドが流行りの今・平成には珍しい泥臭い歌詞に、決死の表情で繰り出すパフォーマンス。「俺は”誰か”じゃなく、”あんた”の背中を押したい!」と、博多弁でたたみかけてくるライブのMCにも圧倒されっぱなし。その”直球ストレートしか投げられない”感じがもう、私はたまらなく好きである。
けれど、見た目の男臭さとは裏腹に、歌詞では繊細に揺れる、少年のような心を表現している。
この曲「HELLO GOODBYE」もそう。
――――
マイ ハート ビーツ イズ ユアーズ
マイ ハート ビーツ イズ ユアーズ
どうしようもなくて 震えるこの鼓動
キミに捧げるよ 星に願う欲望
――――
「マイ ハート ビーツ イズ ユアーズ」=「僕の鼓動は全部君のために」という純粋な言葉。英字じゃなくてカタカナってところが、何とも不器用そうだ。
「どうしようもなくて 震えるこの鼓動」なんて、ちょっと気弱なフレーズも、歌っている様子からはそんなの微塵もわからない。ギャップに意表を突かれてしまう。「キミに捧げるよ 星に願う欲望」は、“キミ”に好きになってもらいたいけど、決して無理強いはしない。待ちの姿勢の優しさを表していると思う。
歌詞を読んでいくとわかるのだけど、この曲は愛の言葉を歌いながら、実は大好きな“キミ”を失う時の気持ちを表現したもの。
――――
世界を紅く染めて 行き交う影のなか キミを探さぬように
世界を紅く染めて 見知らぬ後ろ姿 キミだと想わないように
世界を闇に染めて いっそ消えてしまいたい キミを探しにゆきたい
世界を闇に染めて 全て忘れたフリして キミの全て想いたい
――――
「探さぬように⇔探しにゆきたい」「想わないように⇔全て想いたい」という対比は、バラバラにちぎれそうな胸の内。失恋した時の、”自分がどこにいるかわからない”ような無重力状態が心によみがえる。
そして、やっとのことで”キミ“にまたたどり着いたものの…
――――
このままどうか 消えないように
心のどっか希望を隠し
汚れきったこの手 キミに触れた
消えた
わかってるんだ
幻なのは
――――
それは、夢の中の出来事だった。
――――
ハローグッバイワールド
サヨナラを知らなくて
ハローグッバイワールド
さまよった この街を
ハローグッバイワールド
夢ならば醒めないで
ハローグッバイワールド
嘘でもいい そばにいて
――――
曲名にもなっている「HELLO GOODBYE」は、”キミ”と出会ったことで世界が「ハロー」と明るさを見せ、でも今は”キミ”がいないから、世界にも「グッバイ」と背を向ける。つまり、恋している間は、“キミ”を好きな気持ちしか見えてなかった、ということ。最後の「醒めないで」の言葉が、なんとも切ない余韻を残す――。
THE FOREVER YOUNGは、スマートでカッコいい恋の歌は歌わない。でも、恋する気持ちを抱えて「言おうか」「やめようか」と悶々と悩んだり、一つの恋の終わりにどうしようもなく後悔を残したことのある人なら、きっと共感できるバンドだと思う。
辛すぎて、消えたくなったっていいじゃないか。傷つかない恋なんて、恋じゃない。洗練された男性よりも、全速力で息切れするまで走って、動けなくなって地面に転がるくらい全力の男のほうが、カッコいい瞬間がいっぱいある。
だって、この曲を聴いていたら、思いませんか?
どうせ人を好きになるなら、このくらい一途に想ってみたいものだな、って。
TEXT:佐藤マタリ
2007年に福岡県久留米市にてKARIBUxNOxKAIZOKUとして結成。 2014年4月にバンド名をTHE FOREVER YOUNGに改名。 2016年10月30日に地元久留米のライブを最後にヒラヤマリョウタ、ヒラタタクヤが脱退。 止まることなく2日後の11月1日の八戸ROXXからサポートメンバーとともに活動を再開。 2019年4···