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Do As Infinityが「TOKYO」を舞台に描いたその世界観とは?【インタビュー】 (2/2)


東京を舞台にした映画を作るとしたら



――『To Know You』のMVの映像美もすごいですね。あの映像は、『To Know You』に描いた詩世界とも巧みにリンクしていません?

伴:そうなりましたね。歌詞も「東京を舞台にした映画を作るとしたら、どういうものになるだろう?」「舞台は渋谷辺りかな?」「東京を象徴するのは東京タワーやスカイツリー?」など、いろんなお話をしながら、作家さんへ作詞をお願いしました。

――『To Know You』では、東京を人生のチャンスをつかむ舞台として設定しています。



伴:みんなも、そうかも知れません。私は地方出身者だからとくにそう思うのかも知れないですけど。夢を持って上京してきた頃は、その夢をつかみ取るまでは二度と故郷へは帰らないくらいの覚悟を背負ってました。その頃の気持ちを、今回の『To Know You』を作ってゆく中で思い出せば、羽田空港へ到着し、モノレールに乗って都内へ向かう間に観た景色や、そのときの気持ちを思い出したりもしていました。

――今も、そうなんでしょうか?当時は、夢をつかむまでは二度と故郷へは戻らない覚悟を背負ってきた若者ってたくさんいたなと思います。

伴:それくらいの覚悟を背負ってね。もちろん東京って『To Know You』に描き出したようなきらびやかで華やかでと、いい面ばかりじゃなくダークな面もありますけど。『To Know You』に関してはワクワクする気持ちを抽出した楽曲にしていきたかったんです。

大渡:『To Know You』を聞いたりMVの映像を通し、東京に対して希望膨らむ印象を持ってくれたら、NAKED Inc.さんともコラボレートしたこの企画は成功かなと思います。もちろん、現実を観たら…もあるけど。そこは、実際に来てから感じてくれたらいいかな(笑)。


『唯一の真実』に書いた想い

――2曲目へ収録した『唯一の真実』では、連綿と受け継がれる命について歌っています。

伴:『唯一の真実』では、母と娘のことを歌にしています。この曲は、私が母親へ向けて書いた歌詞であり、「命の旅」がテーマになっています。

――「命の旅」ですか。。。

伴:『唯一の真実』に書いた想いは、自分が子供を産んだからこそ感じた気持ちなんです。育児をしていく中で、幼い子供の命と日々向き合っていると、「もしかしたら、自分も親からこういうことをしてもらってたのかなぁ」と感じたり。もっと遡れば、「じゃあ、私のお母さんの、そのまたお母さんは、私のお母さんに対してもこういう気持ちだったのかな?」「じゃあ、お父さんの場合は」など、いろんな命の繋がりを考えていました。

きっと人って、そういう連綿と続く大きな流れの中、その一部として存在している。そんなことを想いながら、私は『唯一の真実』の歌詞を書きました。

――確かに命の旅は、何世代にも渡り連綿と続いてゆくものですからね。

伴:私、今でも両親は健在ですけど、小さい頃に叔母の家で育ててもらっていた経験もあって。そういう背景も、無意識の中で反映されたのかな!?と思ったり。同時に、今の私でいれてることに対して、両親には感謝の気持ちしかないのも事実。考えつくところは、やはりそこなんですよね。

――そういうテーマが浮かんだのも、楽曲に導かれてだったのでしょうか?

伴:そうなんです。澤野さんから上がってきた音源を聴いたとき、琴線に触れる曲の力に引っ張られたと言いますか、そう導いてくれた感覚がありました。

大渡:『唯一の真実』に関しては、伴ちゃんの「関わっている人となりが見えるアコースティックな感じの曲をやりたい」という想いから始まっているんです。その言葉を澤野さんに伝えたところ、それを澤野さんが汲み取り、今回の楽曲として作りあげた形でしたからね。

――澤野さんと言えば、複雑に音を構築したうえで成り立つ世界観が中心。でも『唯一の真実』はけっこう音数を抜いたように、そこも新鮮な驚きでした。

大渡:そこは、澤野さんにとってもチャレンジだったと思いますよ。でも結果的に起承転結を持ったダイナミクス感も抱かせる曲にしてくれたように、そこをどう彩るかという面でも、すごくやり甲斐のある楽曲だったなと感じています。

――Do As Infinityと澤野さんとのコラボレートは、作品を重ねるたびにいろんな表情の幅を提示し続けています。それでも、現状発表している『Alive』『Iron Hornet』『To Know You』『唯一の真実』も、お互いのコラボレートで作り上げる世界観の一つずつのピースでしかないわけですよね。

大渡:まだまだ秘めた可能性はたくさんありますし、それを、これからも形にし続けていく。だから僕ら自身も、これから何が起こるのかが楽しみなんです。

伴:すでに、いろんな要望をお伝えしていれば、それが形にもなっているし。そこからまた、「次はこんなことをしてみたい」と伝えたりもしていますからね。

大渡:今の行程はすごく刺激的なんですよ。だからこそ、このやり取りを上手く昇華しながら、このまま20周年へ向かっていきたいなという感じです。


「犬夜叉」の曲を演奏するたびに怒号のようなリアクション



――CDのみのボーナストラックには『あいのうた』をアコースティックバージョンで収録しました。

大渡:じつは、前シングルの『Alive/Iron Hornet』の通常盤へ『ハレルヤ』という既存曲の別アレンジバージョンを収録したんですけど。その評判が良かったらしく、今回は「『To Know You』のボーナストラックに過去の人気曲をアコースティックなスタイルでカバーをし収録するのはどうですか?」というお話をいただきました。最初は、「またカバーするのか」という気持ちもあったんですけど、いざ演ってみたら面白かったし、出来上がりにも満足したように、上手くアレンジ出来たなという手応えを感じています。

じつは、他にも候補曲が数曲あったように、自発的にというよりは、求められたら今後もやってもいいかなと思ったりもしています。



――最近のDo As Infinityは、海外での公演も増えていません?

伴:以前からいろいろお誘いをいただいてはいたのですが、なかなか環境的に難しいこともあって。でも、ようやくそれを叶えることが出来るようにもなったから、なるべく次へと繋げるためにも海外公演はやっていきたいですね。

大渡:やはり知らない文化に触れるのは、自分たちにもいろいろとフィードバックしてくること。南米でライブをやったときには、「犬夜叉」の曲を演奏するたびに怒号のようなリアクションが起きてたんですよ。そういうのって、すごく嬉しい経験だったし、単純に楽しかった。

今はまだ伴ちゃんのお子さんも小さいからしょっちゅうは難しいけど。伴ちゃんの出産や子育てなどいろんな面が落ち着いてゆくにしたがい、海外公演も含めやれることは増えていくだろうと。まして今、澤野さんとも本当に良い流れを持ってアルバムへ向けた制作も進めていけてるように、このままいい流れを継続しながら、先に控えている20周年へ向けて進んでいきたいなと思っています。

――2年後とはいえ、20周年も射程距離内に入ってきましたからね。

大渡:まぁ20周年に止まらず、今のDo As Infinityは、お互いにズッと続けていく意識で活動を続けているように、どっちかが死ぬまで終わることはないんじゃないかな!?

伴:そのためにもお互い健康には気をつけてないとね。

大渡:お互いの健康のために"お酢"を贈りあったりね(笑)。僕ら自身は、結成18年目の今をすごく楽しんでいれば、これからもずっとDo As Infinityを楽しみ続けていきますから、末永くよろしくお願いします。



Photo:片山拓

伴 都美子(Vo.)、大渡 亮(Gt.&Vo.)からなるロックバンド。 1999年結成。 デビュー前から渋谷ハチ公前を中心に100回以上路上ライブを行い、同年9月29日、シングル「Tangerine Dream」でavex traxよりデビュー。 2005年11月25日に日本武道館でラストライブをもって6年間の活動を終了したが···

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