国民的アニメソング!
「おどるポンポコリン」と聴けば誰しもがサビのフレーズが流れるのではないだろうか。1990年にB.B.クィーンズのデビュー曲として発売されてから、アニメ「ちびまる子ちゃん」のテーマソングとして今も尚様々なアーティストに歌い継がれている名曲だ。アニメの世界観をそのまま凝縮したような馴染みやすくも、不思議な日常を描いた楽曲である。
初代のB.B.クィーンズの雰囲気は壊さないようにしながらも、時代にあったアーティストのアレンジによって世代を超えて愛される曲となったのだ。
最近の例をあげれば「E-girls」によるカヴァーは、踊りだしたくなるようなクラブミュージックにも似たアレンジだ。また「ゴールデンボンバー」によるカヴァーではエレキギターが目立つロックなサウンドでありながら、明るく前向きなアレンジだ。
一般的な主人公の紹介を兼ねたアニメソングとは違い、目にうつる景色だったり突然思いついたような言葉がでてきたりと、なんとも不思議で楽しい一曲なのだ。さくらももこのエッセイ漫画にあるような子供視点からみた何気ない日々がそのまま曲に詰め込まれている。
エッセイ漫画によると、子供の頃テレビから流れてきた「スーダラ節」にはまりよく口ずさんでいたようだ。そしていつかこのような曲を作りたいと思っており、できたのが「おどるポンポコリン」だ。
言葉が非常に少ない 歌詞
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なんでもかんでも みんな
おどりをおどっているよ
おなべの中から ボワっと
インチキおじさん 登場
いつだって わすれない
エジソンは えらい人
そんなの 常識 タッタタラリラ
≪おどるポンポコリン 歌詞より抜粋≫
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歌詞全体を見ても、言葉が非常に少ないのが特徴だ。だからこそ皆が感覚で覚え、老若男女問わず沢山の人々に聴かれているのだ。タイトルにもなっている「おどる」という言葉。
一般的に、大人になれば“おどる”ということが非日常になる。しかし子供にとっては、少し良い事があると自然と身体が動き出したりと、以外と日常的であったのではないだろうか。
アニメのまる子ちゃんもお調子者で、いいことがあると踊りだすような無邪気なシーンがよく見られる。大人になるのはあっという間だが、子供にとっては“大人(おじさん)”が少し怖くも面白い別次元のような存在なのだ。
「お鍋の中からポワッとインチキおじさんがでてきたら」なんて考えながらご飯ができるのを待っている風景が思い浮かぶ。
そうかと思えば「エジソン」という縁もゆかりもない人物がいきなりでてくる。ある日まる子ちゃんがエジソンやキュリー婦人などの発明家の伝記を読み、憧れたというエピソードがある。
しかし家族からは笑われ、エジソンは偉い人だという事を子供ながらに思い知ったのだ。発想力が豊で、希望にあふれていた子供らしさが懐かしく感じられる歌詞だ。
日本人はPの発音が大好き
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ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ
ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ
ピーヒャラ ピーヒャラ おへそが ちらり
≪おどるポンポコリン 歌詞より抜粋≫
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とくに意味の持たない単語が並んでいるサビだ。言葉自体は意味を持たずとも、まるで口ずさむだけで楽しくなる魔法の呪文のようだ。昨年大流行した「ピコ太朗/PPAP」と似たものを感じる。
「PPAP」が流行った理由の1つとして「なぜか日本人はPの発音を好む」というのがあげられた。たしかに「パ ピ プ ぺ ポ」の発音にはどこかファンタジーな雰囲気を感じる。「ピーヒャラピーヒャラ パッパパラパ」はほとんどがPの発音だ。
子供も大人も元気づけてくれる名曲
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タッタタラリラ
ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ
ピーヒャラ ピーヒャラ おどるポンポコリン
ピーヒャラ ピ お腹がへったよ
≪おどるポンポコリン 歌詞より抜粋≫
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タイトル「おどるポンポコリン」にもPの発音が入っていた。そしてサビの終わりは「お腹がへったよ」という子供らしい一言で締められる。特別な意味をもつ言葉でなくても独自の音がもつおもしろさを活かすことでこの名曲が誕生したのだ。
現在、アニメ「ちびまる子ちゃん」の放送は毎週日曜日の午後6時であり、「おどるポンポコリン」がオープニングとしてテレビから流れている。日曜日の夜はあたたかくも、どこかせつない。
日曜休みの人にとっては、休日が終わり、明日からまた日常がはじまることを実感するからだ。そんな時に、時代とともにカタチを変えて愛され続けている「おどるポンポコリン」を耳にすると少し頑張ろうと思えるのではないか。
これから先もたくさんの子供達、そして大人達をも元気づける一曲であり続けてほしい。