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彼らの音楽は良質でセンスに溢れている。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの「打ち寄せられた忘却の残響に」

20年以上のキャリアを誇り、近年では数々のアニメに楽曲を提供しているテクノ・ポップバンド「TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND」。キャリアもさることながら、彼らは感覚が研ぎ澄まされたものだけが作れる音楽をしている。流行に流されず自分たちのサウンドを奏で続けている。
ある取材で彼らは「4つ打ちだけがテクノではない」という旨の発言をしている。「テクノ」を広義に捉え創作活動にいそしんでいるようだ。

彼らの音楽は良質でセンスに溢れている。前衛的なそのサウンドはクオリティに反してニッチなため評価を得にくい。

だが、彼らの音楽はアニメという媒体を通して多くの人に伝わった。元々はミステリー小説だった「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」は、2015年に放送されTOKYO MXにてアニメとして放送された。

人気を博したその番組のエンディングテーマを務めたのがTECHNOBOYSだ。今回は彼らが作詞も務めた「打ち寄せられた忘却の残響に」を通して、別の次元と感じさせるほどの深淵な世界観に触れたい。

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの「打ち寄せられた忘却の残響に」



“足下に打ち寄せるのは記憶の欠片 
砂のようにさらわれていく、いつわり
くずれて…消えてしまう”


同曲は上記で記した「4つ打ち」だけがテクノではないという好例である。前半ではなかった4つ打ちは後半に進み入ってくる。

打ち方に変化をつけることで、曲の印象はがらりと変わる。TECHNOBOYSは「静」と「動」を見事に使い、飽きさせない展開を作っているのだ。

「テクノ」だけどまるでクラシックの名曲のような響き


“その美しい微笑みの奥にはきっと
白い、脆い…真実 それだけを留めるの
なにも纏うことを許されない祈りの
遠い声が響く”


同曲のオケだけに集中して聞くと違った世界が開かれる。その美しい展開はまるでクラシックの名曲のようである。非日常的なシンセサイザーの音が雑多的な空間と自分を切り離してくれる。

逆を言えば、美しい歌声はリスナーに方向性を示してくれている。テクノに聞き馴染みがない人でも、歌声があることによりいい塩梅で「TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND」を楽しめるのだ。

聴く人の心の奥に入り込み感情を刺激するTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの音楽


“今は未だ旨で囁く記憶の欠片
時という波の音に、いつかは
紛れて…消えてしまう

「忘れたいとは思わないなら…」と
告げた貴方は、残響を繋ぎあわせた”


同曲では作詞もTECHNOBOYSがつとめている。「残響を繋ぎあわせた」など感覚的な詞は心の奥に入り込んでくる。消えそうな儚さを見事に表現している詞だ。

テクノというジャンルを中心にし、美しく崩れない音を追求するTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND。時に実験的なそのサウンドはジャンルという枠に収まっていない。

まるで、インドの田舎に迷い込んだようなエキゾチックな音から今回紹介した「打ち寄せられた忘却の残響に」見られる神々しい音まで、彼らの音楽の範囲は広い。

無数の中から選び抜かれた「音」が紡ぐ音楽が悪いわけはない。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDが選択した音は人々の情感をかき乱す。


TEXT:笹谷創

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