コミックバンドの真の顔!?『発明倶楽部』
──『発明倶楽部』についても伺いたいんですけど、リードにされるつもりだっただけあって、音も歌詞も良くて…正直ふざけるだけのバンドだと思っていたんですいません、驚きました!まさやん&北島:それでいいんです。それで。
U太&モリス:(頷く)
──ライブではパフォーマンスに目がいっちゃうから歌詞があまり入ってこなくて気がつかなかったり…。
北島:入ってこないですよね。もちろんもうそれで。
U太:それで大丈夫ですよ。それで大丈夫。
北島:それで大丈夫です。
──改めてこうやって歌詞を見てみると、なんて勇気のもらえる曲なんだろうって。
北島:ありがとうございます。
──曲を作り始める時って何から始められるんですか?降りてくるというよりは、テーマを決めて作り始める感じ?
北島:テーマを決めてつくりますね。結構大事にしているのは、アイコン化できるようなものっていうか、“この曲はこういうやつだよね”っていうのがより具体化してるものにしたいなっては思うんです。だからこれは“発明がテーマなんだな”ってぱっと分かるというか。
で今回の発明っていうのはずっと四星球が動いていく中で発明っていうのが1個のテーマだったんですけど、それを今まで歌ってなかったなっていうのがあったので歌にしましたね。去年15周年だったんで、16年目からじゃあ新たに前面に出さなあかんなって思って、何を前面に出すのかな、あ、発明やなっていうとこがあったんです。
──今まで逆に触れてなかったのも意外。
北島:言葉にあんまりしてなかったのかもしれないですね。ずっと内側にはあったんですけどね。
──なるほど。この曲から皆さんそれぞれこの曲からお好きなフレーズとかって伺ってもいいですか?
北島:はい。僕これ「発明倶楽部」と「初make love」の韻の踏み方は好きで、「放課後発明倶楽部」と「初make love」は全く一緒。make loveは性行為でつくる、生み出すみたいなことと、成功と性交もかかってるっていうのでは結構僕は自分史上気に入ってますかね。
「発明倶楽部」「初make love」っていう駄洒落。
──おぉ、そういう意味だったんですね!その色々かかっている意味は最初から計算されていたんですか?
北島:成功と性行為の性交はかけたいなっていうのはあったんですよ。それをどうやって入れようかなっていうところで。
でもこれって前面に出して“こいつやりよんな”感出したくないなっていうのはあるじゃないですか。歌詞にそこまで言わんでもええよっていうのありますから。そこをでも上手にできたかなとは思いますね。
──「発明」っていうところをテーマにするって決めていらっしゃったということですが、「倶楽部」をつけるかどうかは成功、性行、make loveの伏線ができてから決まったって感じなんですか?
北島:いや、倶楽部も初めからありましたね。だからたまたまはまったという…。
──運命のフレーズですね。
北島:これはでも「ああ、来たな」っていう達成感はありました。
──ありがとうございます。それでは続いてまさやんさんのお好きなフレーズについて聞かせてください。
まさやん:頭の「混ぜられるもの全部混ぜ合わせたんだから」が好きかな。やれること全部やったんだからっていう受け取りを僕はしています。
もっと言ってしまえば僕「発明倶楽部」っていう単語自体がめっちゃいいと思うんですよね、なんか言いたくなる口のかたち…。結構前の曲ですけど『オモローネバーノウズ』っていう曲だったりとか、『Tomorrow never knows』とおもしろいことをかけてる、そういうほかの人が言ってない言葉ででも言いたくなっちゃうみたいな、すごく痒いところをちゃんと届いてる言葉の組み合わせ方だとかはすごいと思いますね。
モリス:僕は歌詞のフレーズというかこのかぶっていた猫の件と最後のほうに出てくる「この虎に時代が追いついたなんて」の件の対比というか伏線っぽいというか、最後に裏切るストーリーっぽくなってるのが好きだなと思いますね。
最初にそういう猫、虎とかそういうフレーズ出しといて、どんどんあとで「ああなるほどなるほど」ってみんなが納得したりハッとさせられるようなつくりになってるんちゃうかなと思います。
──天才的です。
北島:ありがとうございます。
モリス:虎と蒙古(猛虎?)斑とかけてるのもうまいし。
北島:うれしいですね。これ「ビッグマウス」もねずみにかけてます。
モリス:この曲のどんどん勢いが増していく感じに歌詞もあってるなと思いますね。どんどんどんどん、なるほどハッとさせられるっていう、最後クライマックス感がありますよね。
──歌詞サイトでぜひ見ていただいて。
北島:そこに持っていく。そうですね。
モリス:大事ですよね。あとで確認しといてもらって。本当にそれは2度楽しめます。
──こういう伏線や仕掛けのある歌詞をつくるときって、部屋にこもってめちゃめちゃ考えるっていうような作り方をされるんですか?
北島:そうですね。家でばあっとやりますね。
でも人のライブ見てて浮かぶときもあります。これはいいライブ見たなって思うときに何か浮かんだり。
──なるほど。インスピレーションというか、刺激を受けるものが北島さんにとってはライブ…。
北島:刺激を受けていいものを自分の中で決めてて、ライブから受けて出てきた歌詞は自分の中でOK。本、映画は今んとこナシにしています。本、映画は歌詞が自力で書けなくなってからにしようと思ってます。映画と本はその人のものやなっていうのがあるから。
──なるほど。では、最後U太さんのお好きなフレーズも聞かせてください。
U太:サビとかはね…。どうしても全体的にひねくれてる感が絶対あるんですけど、悪い意味じゃなくて。1個今のこと言いたいのに遠回りしてというか。いろんなこの今を拾うための要素が言葉がどしっとあって、どの角度からも今を見るというかアプローチのために「未来にあんまり期待しちゃいない」だとは言いながらもむこうからのアプローチとしては「期待してやがる」とか。
登場人物いっぱいいるというか視点というか、そういうところの歌詞とかやっぱりうまいなと思うのと、いわゆるこの掛け合い、言葉の、例えばmake loveのとことか、これも康雄やなって思うとこがあって。昔と比べても技が増えたなっていう感じなんですよ。だからこれって巧さであって、もともと持ってるものプラスαの技巧、努力していろいろ増やしてるものがどんどん増えてっておもしろくなっていってるんですけど、基本的に精神がぶれてないなっていうのがこの2つとも、1個核があっての技がすげえ増えていってる感じがあって。だから1個フレーズ1個抜き出すだけっていうのは…。
──すみません。
U太:いや全然いいんです。言葉自体分かるんですけど、曲として考えると1個だけ抜いたら意味変わってしまうやんって。この最近の週刊誌の見出しみたいになったら、そういう意味ではいけないんですけど、強いて言うなら♪この指止まれ♪
全員:(笑)
U太:今のはナシ!今のは無理やり言うただけなんで(笑)。でもこの辺の不思議な感じってあって、小説的なというか、全部読んで“ああっ”っていう最後落ちて気持ちよさかなとは思いました。すいません。歌詞のサイトやのにこんな。
──いえ、ありがとうございます。この曲、音に関しても何か特筆することがあれば伺いたいのですが…。
U太:これをつくるときに、メロディー感であったりとかビート感を青春パンクみたいな感じでつくろうって言ってて。やっぱり2002年くらいの、僕らが育ってきた音楽みたいなところに落とし込んでみたらどうなるかって試したかった。
いわゆる青春パンクのメロディーとかはあるんですけど全体通したらそうでもないとも思ったりしてて。Bメロ的なとことか入れてみたりとか、ちょっとラップも入ってみたりとか、そういうとこはこの曲はこだわりましたね。最初は表題曲狙いにいってたんで、その感じで出てます。
北島:この15周年終わって次のやつ何やるかっていうところで、今やる青春パンク。「青春パンクをめっちゃこだわってつくってみたい」みたいなところが1番初めにあって、ですね。