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【コラム】裏返すとパンクになる、アバの「ダンシング・クイーン」

1970年代、スウェーデンから彗星のように現れたポップ・グループ、アバ。その人気は40年以上経った今も衰えていません。今年には、アバの楽曲をベースにしたミュージカル『マンマ・ミーア』の映画版の続編が公開されます。しかしその人気の外側で、アバを軽薄なポップとしてみなすロックファンは少なくありません。

2018年5月25日

Column

quenjiro


この記事の目次
  1. ・アバファンのロックアーティストたち
  2. ・アバとセックス・ピストルズ
  3. ・「ダンシング・クイーン」と「セブンティーン」
  4. ・アバ「ダンシング・クイーン」
  5. ・セックス・ピストルズ「セブンティーン」
ところが一方、アバファンを公言するロックアーティストは今も昔も多く存在しています。

今回は、ロックアーティスト達がアバをどう捉えてきたのかをみることで、彼らの魅力を再認識したいと思います。


アバファンのロックアーティストたち


U2は1992年のスウェーデン公演の途中で、アバのメンバーを招き入れました。

U2はアバに対するこれまでの不当な扱いを謝罪した上で、彼らの代表曲「ダンシング・クイーン」をアバのメンバーとともに歌っています。

これはロックとアバのポップの歴史的な和解を象徴する出来事でした。

U2と関係の深いブライアン・イーノが、最近のインタビューでアバについて語っています。

曰く、自分の母親さえ好きなアバのことを好きだなんてとても言えなかった、とのことで、当時こうした"隠れアバファン”がロック界隈で多かったことを明かしています。

とは言え、当時からアバ好きを公言していたアーティストも決していなかったわけではありませんでした。

有名なところではディープ・パープルのギタリストであるリッチー・ブラックモアや、フランク・ザッパが熱烈なアバファンとして知られています。

またアリス・クーパーやエルヴィス・コステロ、オアシスのノエル・ギャラガーなど、アバとは全くスタイルが違うアーティストたちが彼らを高く評価してきました。

アバとセックス・ピストルズ

もっとも意外なアバファンと言えば、セックス・ピストルズでしょう。

アバが「ダンシング・クイーン」のヒットにより世界的な人気をおさめつつあるおなじころ、セックス・ピストルズはレコードデビューしました。

およそアバのポップ路線とは真逆と思えるパンクスタイルで一斉を風靡したピストルズでしたが、意外にも彼らはその当時からアバファンを公言していました。

ボーカルのジョニー・ロットンを始め、初代ベーシストのグレン・マトロック、二代目ベーシストのシド・ヴィシャスまで、グループの誰しもがアバの熱烈なファンだったそうです。

当時もっとも過激なパンクバンドが、当時もっとも健全なポップグループを好きだというのはたちの悪い冗談だと誰しも思ったでしょう。

しかし、デビューアルバム『勝手にしやがれ!』はアバの影響をしっかりと反映したものでした。

有名なところではマトロック作の「プリティ・ヴェイカント」。

この曲のリフはアバの「SOS」から拝借したことが知られています。

「ダンシング・クイーン」と「セブンティーン」

また、同じく『勝手にしやがれ!』に収録された「セブンティーン」もアバの影響下で作られたのではないかと個人的には見ています。

この曲には「セブンティーン」というタイトルでありながら"セブンティーン"という単語が出てきません。

一方"セブンティーン"という単語をアバの楽曲から探ってみると、「ダンシング・クイーン」の中にありました。

アバ「ダンシング・クイーン」



You are the
Dancing Queen,
young and sweet only seventeen
Dancing Queen
feel the beat from the tambourine
Oh yeah

You can dance, you can jive,
Having the time of your life
Woo see that girl, watch that scene,
Dig in the Dancing Queen


あなたはダンシング・クイーン
わかくてかわいい、ほんの17歳
ダンシング・クイーン、タンバリンのリズムを感じて
踊ってもいいし、ジャイブしてもいい
人生を楽しむのよ
あの娘をみて、その光景をみてごらん
ダンシング・クイーンになりましょう


セックス・ピストルズの「セブンティーン」は、ここでの"young and sweet, only seventeen"のフレーズにインスパイアされたのではないかと考えています。

セックス・ピストルズ「セブンティーン」

You're only twenty-nine
Got a lot to learn
But when your mummy dies
She will not return

We like noise, it's our choice
It's what we wanna do
We don't care about long hair
I don't wear flares
See my face, not a trace


おまえはほんの29歳
学ぶことはたくさんある
だけど、おまえのママが死んだら
けっして戻っては来ないぜ

俺達はノイズが好き、俺達が選んだんだ
それが俺達のやりたいことなんだ
長髪の連中なんてどうでもいいし
フレアパンツなんか履きたくもない
俺の顔を見ろよ、足跡なんかじゃなくて


17歳の少女をダンシング・クイーンへの道にいざなうアバ、かたや自らの選択でノイズの世界へ飛び込もうとするピストルズ。

ひょっとしたらピストルズは、誰からも愛されるアバに象徴される"健全な世界"を徹底的にひっくり返すことで、パンクという"つまはじきものの精神"を表現したのかもしれません。

言い換えれば、アバの健全さはひっくり返せばピストルズになるほど完璧なものでした。

こうした迷いのない徹底したコンセプトをものにしていたアバは、当時の閉塞したロックシーンからみれば相当に輝いていたに違いありません。

TEXT:quenjiro

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