互いに相反する色の言葉、それらを組み合わせたとき、「とても美しい言葉になるんじゃないか」。
──『金魚涙。』というタイトルがとても気になります。なぜ、このタイトルが生まれたのか教えてください。蓮花: わたしの場合、気になる言葉が生まれるたび、日記のようにずっとノートに書き貯め続けています。そのノートのトップのほうに書いてある言葉が「金魚涙。」でした。それくらいお気に入りの言葉であり、「何時かは楽曲のタイトルに使いたい」「この世界観で歌詞を書きたい」気持ちが強かったこともあり、今回のタイミングで「金魚涙。」という言葉を題材に歌を作りました。
──どうして「金魚涙。」という言葉が生まれたのでしょうか?
蓮花: 金魚と涙を色で例えた場合、金魚のイメージカラーが赤で、涙が青になると思います。互いに相反する色の言葉、それらを組み合わせたとき、「とても美しい言葉になるんじゃないか」「反対の意味を持つ言葉どうしを重ねたり混ぜ合わせることで、すごく綺麗なものになるのかも」と思い、二つの言葉を合体させ、「金魚涙。」という造語を作りました。実際に赤と青を混ぜ合わせると紫になりますしね。
──確かに。
蓮花: そういう混ぜ合わせることで異なる魅力を発する様を、人の心模様にも当てはめようと。「いろんな感情が複雑に絡み合ってこそ一つの心になれば、それが人の感情になる」と思い、人の心の内側を投影した言葉として「金魚涙。」という言葉を生み出しました。
──蓮花さんの書く歌詞のどれにも、一人の人間の複雑に搖れる心模様を描写していますもんね。
蓮花: そういう歌が多いですね。いろんな感情の色が混じり合っている、そういう歌のほうがリアリティがあるじゃないですか。ちなみに、「涙」のあとに「。」を付けているのにも意味があります。
──その意味が気になります。
蓮花: 『金魚涙。』の歌詞の一節に「涙ポタリ。零れ落ちる」と書いたように、涙の滴を「。」に投影しています。そこも、こだわりを持って付けた部分になります。
──蓮花さん自身、こだわりは強い性格??
蓮花: 「これにはこだわりたい」という物事を選んではこだわるように、何事にもこだわるわけではないです。もちろん、音楽制作は一番こだわりを持って臨んでいるものですけど。その中でも、上手くメリハリはつけるようにも心がけています。
彼女が抱えている「人を殺めたくないのに殺めなきゃいけない、その後ろめたい感情」を、『金魚涙。』の歌詞に折り込みました。
──蓮花さんは、すべての楽曲の作詞を手がけているように、そこにもこだわりの姿勢を見せています。作曲面に関しても、同じよう強いこだわりを見せているのでしょうか?蓮花: 『金魚涙。』の作曲を手がけてくださった永見和也さんとの共演は、『徒桜』『白雪』に続き3作目になるんですけど。一作ごとにテイストも違えば、思い入れたっぷりに書いてくださっています。そこに関しては、歌いまわしの関係から「メロディをこういう歌い方に変えて良いですか?」と相談することはありますけど、何時も信頼をして任せています。
むしろ、楽曲からインスパイアを受け、あらかじめ書きたかった想いを、より膨らませていただけることも多いです。今回の『金魚涙。』にしても、最初から書きたい想いがありながら、結果、楽曲から刺激を受けて表現を変えた面もありました。
──C/Wに収録した『Rainy day...』や『jewelry☆』が、揺れ動く心模様を投影した歌詞だとしたら、『金魚涙。』は、そこへ情景や風景も描き加えて表現している。そこの違いにも面白さを感じました。
蓮花: 『金魚涙。』には夏を連想させる季語も使えば、赤と青という楽曲の持つイメージカラーを膨らませる表現もあったりと、その辺を踏まえたうえでの言葉選びもしていきました。
──『金魚涙。』は、聴いた人の置かれている心情によって受け止め方も変わっていく楽曲じゃないですか?
蓮花: 聞いてるときの心理状態や、その方の経験によっても受け止め方が変わっていくと思います。だけど、歌ってそこが魅力でもあるじゃないですか。その人の感じたぶんだけ、楽曲の持つ色も広がっていく。大事なのは、「何を感じ取ったのか」。『金魚涙。』を通し、そういう気持ちを感じていただけてるのであれば嬉しいなと思います。
──『金魚涙。』は、アニメ「信長の忍び~姉川・石山篇~」の主題歌としても放送中。歌詞の内容は、アニメ作品ともリンクしていますよね。
蓮花: しています。もちろん、自分の想いも投影していますけど。せっかくタイアップさせていただける以上、作品の世界観にも寄り添いたいなと思いました。『金魚涙。』では、ヒロイン千鳥ちゃんの心の葛藤を歌詞に描写しています。彼女が抱えている「人を殺めたくないのに殺めなきゃいけない、その後ろめたい感情」を、『金魚涙。』の歌詞に折り込みました。他にも、長政を待つお市の心情を通し、待つ人の心模様を歌詞に投影したり。本当は「戦に行かないで欲しい」と言いたいのに、「いってらっしゃい」と言わなきゃいけないように、口にする言葉とは裏腹な気持ちなど。そういうところも『金魚涙。』の歌詞には投影しています。
夢を追う過程の中、いろんな不安だって覚えますし、心の痛みやもどかしさだって感じます。
──蓮花さんの歌詞には、よく「もどかしさ」が描かれていません?蓮花: 出てますよね。むしろ、もどかしさばかりです(笑)。それが、わたしが歌詞を書いてくうえでのテーマの一つでもありますし、自分の想いへ正直に書いたほうが、よりリアルな感情が歌詞に投影されれば、聞いてくださる方々にも伝わると思い、わたしはそうしています。もちろん、比喩表現も用いるんですけど、その中へシンプルな言葉を織りまぜたり。そうやって、いろんな要素を組み合わせ一つの形を作り上げてゆくことは多いと思います。
──ぜひ、『金魚涙。』の歌詞のポイントも語ってください。
蓮花: わたしが気に入ってる歌詞が、「儚く、不安定な人生。とわかっている だからこそ痛みさえ誇りに思える 「今」この瞬間 大切にして 一度きりの この命を」の部分です。ここには、わたしが『金魚涙。』を通して使えたかった想いがすべて詰まっています。
誰もがそうだと思いますけど、目の前のことが…この先どうなっていくのかは正直わからないこと。夢を追う過程の中、いろんな不安だって覚えますし、心の痛みやもどかしさだって感じます。だけど、そんな自分を誇らしく思いながら、今この瞬間を噛みしめて生きることが自分らしさなのかなと思って。どんなに苦しかったり、悩みがあったり、悲しい想いをしてようと、今こうして生きてることを噛みしめ、その瞬間瞬間を大事にしていいたい。それが、わたしの生きるうえでの指針なんです。
──順風満帆な人生なんて、あり得ませんからね。
蓮花: 生きてくうえでは失敗もたくさんあれば、後悔もあります。そういう葛藤も含めて自分の人生。ぶつかり、もがきながらも前へ進んでいく。その想いが、この歌詞には投影されています。
言いたいのに言えない。でも、言いたい(笑)。
──『Rainy day...』に綴った、言いたいのにいえない心のもどかしさ。それ、すごくわかります。蓮花: 言いたいのに言えない。でも、言いたい(笑)。そういう気持ちって、恋愛に限らず日々の中にある感情だとわたしは思います。そういうときに、聴いた人の背中を押せるような。それこそ大事な人に「ありがとうと感謝の想いを伝えにいこう」「明日あったら、この気持ちを伝えよう」など、そういう背中を押す明るい気持ちになってもらおうと思い、書いたのが『Rainy day...』でした。
──『Rainy day...』と『jewelry☆』の対比もいいですよね。
蓮花: 曲調がぜんぜん違いますからね。『jewelry☆』は自分で聞いてても楽しくなるように、とてもキラキラとした歌。歌詞では韻を踏んだりと、いろんな言葉遊びをしながら自由に書きました。
──4曲目には、『Gemini~brilliant blue remix~』を収録しています。
蓮花: 弦の音がとても綺麗だったりもするように、前シングル『白雪』に収録した『Gemini』とはまた異なる表情を持ったリミックス曲に仕上がりました。『Gemini』の歌詞にも、わたしの心の本音をさらけ出しているので、ぜひ聞いてください。
奇跡の1枚を、今回のジャケットにしています。
──今回のジャケット、かなりこだわりを持って制作したと伺いました。蓮花: この撮影のために、スタッフさんが実際に金魚を飼育し、水槽の中で安定した空間を作りあげたうえで撮影に臨みました。金魚の飼育ってとても大変で、温度や水の濁りによっても魚の状態はもちろん、泳ぎ方も変わっていくんです。それくらい、金魚はデリケートな生き物。そういうベストな状態を作ったうえで、水槽越しにわたしを写す形で、このジャケットも作りました。金魚は生き物のように、こちらが意図したように動いてくれるわけではない。だから、本当に数多く写真を撮影。その中の奇跡の1枚を、今回のジャケットにしています。
──DVDには、初単独ライブのときの映像も収録しています。
蓮花: 自分で見返したときに、あのときの想いが甦ったというか、改めて、「あの日のライブはとても濃かったなぁ」と感じました。蓮花にとって初めての単独ライブということもあって、これまでにないくらい緊張感を持って歌っていた様も映像から伝わってくる面もあったりと、あの日のいろんな感情がリアリティを持って映し出されています。
今回、デビュー3周年を記念して、ふたたびワンマンライブを行います。そのライブチケット先行予約シリアルコードを、この作品には入れてます。ぜひ、またライブを通して触れ合いたいですね。
──最後に、シングル『金魚涙。』は今の蓮花さんにとってどんな作品になったのか、ひと言お願いします。
蓮花: 収録した4曲のテイストは違えど、自分の芯となる音楽性や本音の感情をさらけ出しては、それらの想いを詰め込んだ曲たちばかりになっています。自分の正直な気持ちが、聞いてくださった方々に伝わったら嬉しいなと思います。何より、「心が疲れたな」「元気が欲しいな」となったときに手に取ってもらえる作品になったと自信を持って言えるように、たくさんの人たちに聞いて欲しいです。ぜひ、1曲1曲の心模様に寄り添ってください。
Text:長澤智典
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