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【歌詞コラム】隠し子で裁判? マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」

"キングオブポップ"マイケル・ジャクソンが、いったいどんなメッセージを歌詞に落とし込み、歌ってきたのか、意外と注目されることが少ない。その作品群は、彼の特異な人生を反映するかのように多様なテーマを扱っている。その中でもメジャーかつユニークなのが、「私生児の認知騒動」を題材にした「ビリー・ジーン」(1983年)だ。

2018年10月7日

Column

quenjiro


この記事の目次
  1. ・マイケルの隠し子騒動
  2. ・「ビリー・ジーン」は隠し子の認知騒動の歌?
  3. ・ゴシップすら利用する"キングオブポップ"の手腕

マイケルの隠し子騒動



整形疑惑や性的虐待疑惑など、マイケル・ジャクソンに関するゴシップは、彼の死後も絶えることなくマスコミを賑わせて来た。その中でも特に話題になったのが、2014年の隠し子騒動だ。

DNA鑑定の結果、R&BシンガーのB.ハワードことブランドン・ハワードは「99.9%」の可能性でマイケル・ジャクソンの子供である、との報道が流れた。B.ハワードの母親はソウルシンガーのミキ・ハワードで、マイケルの父ジョー(ジョセフ)・ジャクソンは80年代に彼女の代理人をしていたという。また当時の彼女の愛称が「ビリー」であったことから、ミキ・ハワードこそがマイケルのヒットナンバー「ビリー・ジーン」のモデルだったのではないか、という憶測が飛び交った。

「ビリー・ジーン」は隠し子の認知騒動の歌?

「ビリー・ジーン」の歌詞の主人公は、<行動に気をつけないと、嘘も真実になってしまう"be careful of what you do 'cause the lie becomes the truth">と、周囲から注意を促されていたにもかかわらず、フロアに現れた謎の美女と踊ってしまい、そこから騒動が始まる。

――――-Billie Jean is not my lover
She's just a girl who claims that I am the one
But the kid is not my son
She says I am the one, but the kid is not my son--

--ビリー・ジーンは僕の恋人じゃない
彼女がそう主張しているだけ
でもその子供は僕の息子じゃない
彼女は僕が父親だと言ってるけど、その子は僕の息子じゃない
――――
認知問題は、<40日もの間、昼も夜も、法は彼女の味方"For forty days and forty nights /The law was on her side">と、法的闘争にまで発展。

そして、主人公は自分の軽率な過去の行いを振り返る。

――――People always told me be careful of what you do
And don't go around breaking young girls' hearts
She came and stood right by me
Just the smell of sweet perfume
This happened much too soon
She called me to her room--

--みんなはいつも自分の行いに気をつけろって言ってたね
若い娘の心をもてあそんじゃいけないって
彼女がそばに立った時
甘い香りが漂っていた
予感を覚えるが否や
彼女は部屋に僕を誘った
――――

ゴシップすら利用する"キングオブポップ"の手腕

マイケル・ジャクソン本人曰く、"ビリー・ジーン"というのは60年代の業界用語で"グルーピー"を意味している。

マイケルはかつてジャクソン5に在籍していたが、バンドメンバーの兄弟達は街ごとに"ビリー・ジーン"と関係を持っていたと言う。そしてその中には、自分の子供が兄弟の息子だと主張する"ビリー・ジーン"もあったと言い、そこから着想を得たとしている。

ところで、2014年の隠し子騒動でマイケルの"ビリー・ジーン"と疑われたミキ・ハワードは、そのことを完全否定している。その他にさしたる事実もないことから、「ビリー・ジーン」の真相はマイケル本人が語るようにフィクションだと思ってよいだろう。

少なくとも、幼いころからショービジネスの世界に生きていたマイケルが、プライバシーのない生活を憂いていたことは確かだ。「ビリー・ジーン」と同じくアルバム『スリラー』に収められた「スタート・サムシング」にも、ゴシップジャーナリズムへの批判ととれる歌詞がある。

――――Someone's always tryin' to start my baby cryin'
Talkin', squealin', lyin'
Sayin' you just wanna be startin' somethin'--

--誰かがいつも僕の愛しい人を泣かせようとしている
噂をして、わめきたて、嘘をついて
ただなにかことを起こしたいから
――――
マイケルは自分の周囲に満ちていたゴシップジャーナリズムを、理不尽さに対する怒りや悲しみを表現するのに適したモチーフとして利用した。その代表的な一曲が「ビリー・ジーン」だ。そして、そこから溢れ出すエモーショナルな衝動が多くの人々を熱狂させたことは、ビルボード誌1983年年間ランキング第2位という記録が証明している。これぞ、ただでは起きない"キングオブポップ"の成せる業であった。

TEXT:quenjiro

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