『金魚の糞』とコラボした経緯
──昨年の12月に『ふわふわ』をリリースして以来、半年ぶりのリリースだと思いますが、かなり久しぶりですよね。橋本裕太:リリースとリリースの間もイベントをやらせて頂いていたので、ファンの方とお会いする機会もあり、長かったというよりは充実してたなって思いますね。
──この半年の間はライブが多かったのでしょうか?
橋本裕太:そうですね。色々なアーティストさんが集まるライブに出演させて頂いたり、リリースが決まってからはリリースイベントを廻っていました。
──新曲『君は容疑者』と漫画家の桜田雛さんの名作『金魚の糞』がコラボしたきっかけを教えてください!
橋本裕太:『君は容疑者』という楽曲は、一年以上前からライブなどで披露させて頂いていた曲だったんですが、自分の中で未完成な作品だったんです。そんな中でスタッフさんから「この曲に似た漫画があるよ!」って進めて頂いて、僕も『金魚の糞』を読んだんです。
そしたら衝撃を受けて。歌詞と楽曲がリンクする部分があったのもそうなんですけど、僕今までスポーツ漫画ばかりを読んできたので、こういう世界観の漫画が新鮮で胸に突き刺さったんです。今回、この楽曲と一緒に作れたらいいなっていう想いで、桜田雛さんにオファーをさせて頂いて、漫画に寄った楽曲に歌詞を書き換えて今回リリースさせて頂く事になりました。
──少年漫画はどういった作品を読まれてきたのですか?
橋本裕太:『メジャー』っていう野球の漫画や、『犬夜叉』とかですね。なので、『金魚の糞』は初めて触れるタイプの漫画だったんです。
──初回生産限定盤のジャケットは、橋本さん?
橋本裕太:これは『金魚の糞』の主人公である金魚ちゃんっていう女の子です(笑)凄く綺麗なイラストを描いて頂いたんですけど、漫画の表紙っぽく「メルティーコミック」ってして頂いたんです。
──今作は、前作の『ふわふわ』からかなり変わられていて、衝撃でした。
橋本裕太:(笑)ミュージックビデオを見て頂いてから、「今までの曲と違いすぎて…どうしたの?」ってよく言われるんですよ。
自分の中では根本としてのラブソングという所は、今までと同じテーマを持って書いているつもりであって。今回違う表現が出来たらなっていう想いで、こういうテーマで書いてみました。
──ジャケット写真も橋本さん発信で制作されたんでしょうか?
橋本裕太:ジャケ写自体は、色々ご相談をさせて頂いた中で決まりましたね。初めて撮影で脱ぎました。
──ミュージックビデオはどのような感じになっていますか?
橋本裕太:『金魚の糞』に寄せたストーリーになっているんですが、今回は役者さんに登場していただきました。深い愛がテーマなので、そういう繊細な表情や感情を切り取ったミュージックビデオになっています。
その中でも漫画がちょっと過激な所があるので、そこに寄せるという事で暴力シーンも実際に登場します。最初にミュージックビデオを見た方は、そこにバっと寄っちゃうと思うんですけど一番重要なのはそういう過激なシーンがあるからこそ表現できる本当の愛だと思うので、その二人のストーリーに注目して見て頂きたいです。
──漫画とミュージックビデオを見てから、『君は容疑者』を聴いたらまた違って聴こえるんでしょうか。
橋本裕太:そうですね。漫画と照らし合わせて見ていただくと、ストーリーを思い浮かべながら聴きやすくなるかなって思います。
何があっても味方でいたいという想いは僕の中にあって
──歌詞も『金魚の糞』に寄せるように変えた部分があるそうですが、具体的にどの部分なのでしょうか?橋本裕太:「明日がないなら作ればいい」という歌詞が最初はなかったんですけど、僕が初めて『金魚の糞』を読んだときに、実際に「明日がないなら作ればいいじゃん」っていう台詞が登場していて。僕の中で『金魚の糞』を読んでいて、最初にテーマソングとして流れた台詞がここだったんです。
だからこの歌詞を入れたいなって思ったんですけど、実際に「明日がないなら作ればいい」って表向きで見ると、それだけの意味じゃないですか?でもこの二人って、罪を犯してしまって明日が約束されていないんですよ。この一言の中に「僕が守るよ」っていう想いなどが隠されているなって感じて。
ここは凄く大切にしたいなって思った場所です。
──橋本さんは、優しくて可愛らしいイメージが強いんですが、根本的な部分は「僕が守るよ」という強気な所に近いですか?
橋本裕太:何があっても味方でいたいという想いは僕の中にあって。だからこそ主人公の気持ちに寄り添える部分が凄くありました。実際こういうシチュエーションになった事がないので何とも言えないんですけど…(笑)
もし、これに似た状況になっても自分は守り抜けるだろうか?って自分に問いかけるきっかけにもなったので。似た状況になったら出来る限り守りたいですね(笑)
──このダンスミュージックっぽい感じは、最初からあったんですか?
橋本裕太:そうですね。アレンジは変わっている部分はあるんですが、こういう楽曲でした。
──デビュー作もダンスミュージックっぽい感じで、その後に『ふわふわ』のような優しい楽曲になり、そして現在ダンスミュージックの要素がある楽曲になりましたね。これは交互にやっていくという事なのでしょうか?
橋本裕太:いや、そういう風に決めてはいないです(笑)でも色んな僕っていうのを見て頂きたいという所で、挑戦していきたいです。
──4曲目の『春服』はオーケストラを取り入れた壮大なサウンドだと思いますが、このような音も、『君は容疑者』に合いそうですよね。あえて今の若い人が聴きやすいダンスミュージックにされたのですか?
橋本裕太:楽曲に関しては、上がってきたものに歌詞を書くっていう感じだったので、そこに対してああしよう、こうしようって口出しはしてないですね。
──曲を聴いてからこういうシチュエーションが浮かんだんですか?
橋本裕太:はい。楽曲的にもポップポップしている訳ではなかったし、ラブソングが起きつつも、違うアプローチが出来ないか?っていう部分で浮かんだのが、こういうテーマでした。