好きな歌詞は、ゲス極、クリープ、キュウソ…
──ありがとうございます。UtaTenは歌詞が載っているサイトだったりするので、“歌詞”っていう観点でお話もできれば嬉しいのですが、今回出演されるアーティストさんの楽曲の中から今パッと出てくるくらい、印象に残っている歌詞はありますか?小藪千豊:染みるなあ、みたいな歌詞ですか?歌詞ね…。ゲスの極み乙女さんの『戦ってしまうよ』とか。クリープハイプさんの『イト』とか。キュウソネコカミさんの『ビビった』とか歌詞も好きですね。あと、レキシさんの歌とかは、笑けますね、やっぱり。ハナレグミさんも、すごい。そうですね、良い歌が多いですけど。
──小籔さんって、音楽を聴くときは、割と音から入るタイプで?
小藪千豊:そうですね。もちろん歌詞が良いなと思うやつもあります。中島みゆきの『糸』は、ほんまに辛かったときに涙2粒落ちたことがあるんですよ(笑)歌を聴いて、涙2粒落ちたのは、『糸』だけですね。
──歌詞というところは、アーティストの小籔さんとしても大事にしていきたいという部分はあったりするんですか?
小藪千豊:そうですね。僕らの場合は、ちょっとどこかで笑けるという意味か、新喜劇を見てくださいという意味か、そんなのは大体入っていたら良いなと思っては、やっていますけれど。ジェニーハイの歌詞に関しては、もう、川谷Pが全部決めていますので。
亡き先輩方に贈ったデビューシングル
──11月に発売されたデビューシングルは、吉本の亡き先輩たちに贈る追悼CDみたいになっていますよね。『アイ ラブ ジョージ!』は島木譲二さんに書いた曲ということで。小藪千豊:最初、島木さんの歌は島木さんが生きているときの歌やったんですよ。カジヒデキさんというスウェーデンポップな可愛らしい歌を歌いはる方が、僕は昔からずっと好きで、カラオケとかでもよく歌っていたんです。そのカジヒデキさんに、島木さんの歌をどんな感じにしようかとお願いしまして。そしたら、スウェーデンポップな、すごく可愛い歌を作って下さいました。
年下の男の子に恋している、年上のお姉さんの歌で、「この子可愛いわ、好きやわ」という感じがしたんです。1番は、『ジョージ ジョージ ジョージ』みたいな感じがあり、ただ、ジョージという子が好きなんかという、おしゃれな歌になっていて。2番では、島木譲二ってわかる、みたいな。アニエスとか、パリとか、そういう言葉をふんだんに入れてくださいって、僕、カジさんに発注したんですよ。で、こんなイメージの曲が出来上がりました。
──結構新喜劇ィズさんのリクエストがふんだんに盛り込まれつつできた楽曲だったんですね。
小藪千豊:はい。カジさんの歌詞は、むちゃくちゃお願いしました。でもそれが、一発でバチッときたから笑えましたね。
──こんなに思い通りのものができるか、と。
小藪千豊:そうですね。カジさんはすごいです。
──お付き合いは長いんですか?
小藪千豊:そうですね。僕はずっと一方的に好きやったんですけど、ある音楽番組のゲストとして呼ばせてもらったのがきっかけで、今では結婚式の披露宴も呼んでいただいたりして。
新喜劇も東京でやるたびに、いつも来てくださっています。KOYABU SONICでもずっとお世話になっていますね。
──その関係があってこそ、感覚が通ずる部分があったんですね。
小藪千豊:カジさんも面白い人というか。普段はすごい礼儀正しくて偉そうぶらない人なんですけど、面白いものをちゃんとお持ちなのかなと思います。作曲センスがすごいです。
──『マドンナ』に関しても伺っていいでしょうか?
小藪千豊:僕、クリープハイプさんも好きやったからクリープハイプさんに『マドンナ』は作って頂きました。『マドンナ』という歌は、島木さんがお亡くなりになってから制作した曲です。
どんな感じ作ろうかと思ったときに、僕は美保姉さん(中山美保)をイメージするのが良いなと思ったんですけど、「美保姉さんが良いですね」ってクリープハイプさんも言ってくれたんですよ。
で、どんな人やったかわからんので、うちのボーカルが美保姉さんがどんな人だったのかがわかる作文を書いてくれて。って言うのも、美保姉さんというベテランさんにこの宇都宮まきは、めっちゃ可愛がられていたんですよ。
この『マドンナ』という曲は、新喜劇の森田まりこというリンボーをやっている女がおるんですけど、その子とかが初めて聞いたときはもうむっちゃ泣いていたらしいですね。
──途中、セリフも入ってきますもんね。
小藪千豊:セリフは、宇都宮が考えました。尾崎先生がいいよと言ったから、そうなりましたけど。
──この一枚、本当に重みがすごいですよね…。
小藪千豊:立て続けに3人お亡くなりになって。島木さん、美保姉さんの曲は作ったけど、竜じい(井上竜夫)の曲作っていないのはかわいそうだなっていうか、あれやなと思ったんです。
時間がなかったから、もう、僕らで考えようとなりまして、僕が考えたものを、晃子ちゃんさんとか、ギターの松浦とかに「ここ、これでも良いかな?」と相談しました。
関東の方とかはわからないと思うんですけど、竜じいの言っていたギャグとか、住んでいる場所とか。あとは、新喜劇の人間やったらわかる“竜じいあるある”を途中で入れたりとかしています。
──皆さんで書かれた歌詞は体当たりで飾らない感じが、すごく良いですよね。
小藪千豊:そういう感じです。
──作詞作曲を皆さんでされている楽曲2曲。『TATSU-G』と『Luck book new joy play?』は、バンドっぽさが全面に出ているというか。元々やっぱり皆さん、そういう音楽がお好きな傾向があるんですか?
小藪千豊:竜じいの歌は、一応はボケやから。「井上竜夫さんがお亡くなりになりました。竜じいと言われて、皆に愛されている人でした。本当に僕たち、私たちは、竜じいのことが大好きです。天国の竜じいに捧げます。聴いてください、『TATSU-G』」と言って、めっちゃ激しい曲が鳴るというボケです(笑)。とにかくむっちゃ激しいのをやる、という(笑)。
ほんまに弔っているのか?みたいな。でも、竜じいに対してのリスペクトとか、悲しい気持ちは本当にあるんですけどね。
笑って良いのか、良くないのか、わからないっていう反応は狙い通りでした。
──これは実際、どんな反応をしてもらうのが小籔さん的にベストですか?
小藪千豊:全然、ノリノリで良いです(笑)笑ったりとか。あんなに激しいのに、大阪の子たちは「竜じいの歌、泣きました。」みたいな人もいます。