"ポルノグラフィティ"をイメージ付けた名曲
ポルノグラフィティのデビュー曲『アポロ』。1999年発表の曲です。
岡野昭仁のハキハキとした歌唱が心象的なこの曲。当時、このようにハキハキと発声するアーティストは珍しく、瞬く間にポルノグラフィティというバンドを視聴者に印象付けました。
このバンドのイメージを決定づけた『アポロ』。歌詞もアポロ11号が月に行った歴史と愛を探す人類をかけた壮大な世界観です。
自分を信じろと訴える
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みんながチェック入れてる限定の君の腕時計はデジタル仕様
それって僕のよりはやく進むって本当かい?ただ壊れてる
≪アポロ 歌詞より抜粋≫
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この歌詞で始まるAメロ。流行のデジタルものは「はやく進む」=高性能に見える、しかしそれは本当に高性能なのか?「ただ壊れてる」のではないかと歌っています。
壊れているのはデジタル時計ではなく、それを使う人。
この歌はデジタルやテクノロジーの情報に惑わされず自分の気持ちを信じろとうったえ続けます。
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地下を巡る情報に振りまわされるのは
ビジョンが曖昧なんデショウ
頭ん中バグっちゃってさぁ
≪アポロ 歌詞より抜粋≫
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という歌詞もデジタルの「情報に振りまわされる」なと歌っています。
情報に振り回されるのは自分自身の「ビジョンが曖昧」だから。
ここでもデジタルに惑わされるな、自分の思いをしっかりさせろと歌っています。
まだインターネットがここまで普及する前の時代に、「情報に振り回される」現代人の姿を予言していたのです。
ロマンや理想を届ける
さらにこの歌は単なるデジタルテクノロジー批判の歌にとどまりません。
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僕らの生まれてくるもっともっと前にはもう
アポロ計画はスタートしていたんだろ?
本気で月に行こうって考えたんだろうね
なんだか愛の理想みたいだね
≪アポロ 歌詞より抜粋≫
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後半でこういう歌詞が来ます。アポロ計画というデジタルテクノロジーの最高峰も「本気で月に行こう」という「理想」から生まれていると歌っているのです。
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このままのスピードで世界がまわったら
アポロ100号はどこまで行けるんだろ?
離ればなれになった悲しい恋人たちの
ラヴ・E・メール・フロム・ビーナスなんて素敵ね
≪アポロ 歌詞より抜粋≫
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この歌詞では更なる未来も予想しています。金星から愛のメールという表現。つい最近、冥王星の表面がハートに見えるという画像が話題になりました。
はるか彼方の星からのメッセージに我々はロマンを感じるのです。テクノロジーはそういうロマンや理想から生まれることをこの歌は理解しています。
変わらない愛のかたち
デジタル技術がいくら進歩しても「この街がジャングルだったころから変わらない愛のかたち」を探そうというこの曲。
「変わらない愛のかたち」とは「自分の気持ち」のこと。
この曲は15年以上も前に作られた現代人へのメッセージソングだったのです。
こういう曲をハキハキと歌えるポルノグラフィティは今もオンリーワンの魅力で活動を続けています。
TEXT 改訂木魚 (じゃぶけん東京本部)