UNCHAINの作詞の仕方
――UNCHAINさんはメンバーの皆さんそれぞれが歌詞を書かれています。アシッドジャズや、ソウルミュージックが一番芯の部分にあると思いますが、歌詞を考える際は、そういったサウンドに似合うような言葉を見出していくのですか?谷川正憲:歌詞に関しては、ジャンルや音楽とは引き離して考えています。このジャンルだから、この言葉が使えそうだとかもあまりなくて。あ、でもあるか!!(笑)
佐藤将文:曲によってとかじゃない?
谷川正憲:3曲目の『Traveling Without Moving』はタイトルがジャミロクワイと同名曲ですね。そういうのはちょいちょいありますが、今回はそれぐらいですね。
――歌詞を書かれるときは、主に手書きですか?それともパソコンで?
佐藤将文:色々ですね。手書きで書いたら浮かぶんじゃないか?とか思って、手書きでやったりもします(笑)パーっと進んでいけば、パソコンで書いたりもしますね。あと、外を歩いたり、電車に乗ったり。歌詞を書く作業じゃないときに携帯に打ち込んだりもします。そういうのを集めて書く事が多いです。
――何かを体験したときの方が思いつきますか?
佐藤将文:例えば、漫画を読んでいたり、映画を見ていたり、ドラマを見ていたり、そういうものの中でワンワードがふっと入ってきて、その言葉から広がっていきテーマになる事が多いです。
谷川正憲:映像から浮かんだワンフレーズだったりね。
佐藤将文:ストーリー全体でわーっと出てくるというより、ワンワードが派生していく事ですね。
谷川正憲:例えば映画だったら主題とは全く関係ない、何気ないセリフとかが妙に残って、そこから作っていくこともあります。
――吉田さんはいかがですか?
吉田昇吾:僕はあんまり歌詞を書いていないんですけど、僕の場合は携帯に打ち込んだりします。映像を見てそこからイメージする事が多いですね。
――その方がやりやすいんですね。
吉田昇吾:そうですね。個人的にはやりやすいと思っています。
――谷さんはいかがですか?
谷浩彰:僕も映像だったり、体験した事が多いです。ヒップホップを聴きながらボーっとしていると、ある言葉がふーっとインプットされてそこから広がっていく事もあります。
――ヒップホップですか!!
谷浩彰:特にケツメイシさんが好きで、よく聴くんです。
谷川正憲:ケツメイシ聴くんですか(笑)
谷浩彰:ケツメイシさんは、すごい一般受けする言葉選びをされているので、そこから広がることが多くて。お世話になっています(笑)
――ちなみにケツメイシさんの曲で、一番歌詞が思いつく曲ってありますか?
谷浩彰:うーん。
佐藤将文:ふたり寄り添って歩いて♪(ここで、GReeeeNのキセキを歌い始める)
谷浩彰:いや違う(笑)過去、現在、未来みたいな、ありきたりな所が好きで。“10年後、年とったら俺らどうなっているんだろう?”みたいなそういうのが、描かれているのが良いです。
谷川正憲:谷君は、なんか時代を超える奴が好きだよね。
谷浩彰:好きかもしんないですね。
吉田昇吾:すぐ時代を超えたがるから(笑)
佐藤将文:言い方わりぃな(笑)
吉田昇吾 初作曲の「Libyan Glass」
――今作のアルバム『LIBYAN GLASS』を全曲聴かせていただきましたが、どれもオシャレでうっとりしてしまうサウンドですね。タイトルの『LIBYAN GLASS』は、リビア砂漠で見つかるガラスという意味ですが、どういった想いでつけられたのでしょうか?
谷川正憲:ありがとうございます。リビアングラスはパワーストーンなんですが、そのグラスって何処から来たのかわかってないらしいんです。所謂未知の物質で、未知のパワーが秘められているって言われているんですね。そこから広げていき、UNCHAINに秘められているパワーを表現したいという意味合いを込めました。
――最初にタイトルをつけられたのは、谷川さんですか?
谷川正憲:最初に「Libyan Glass」という曲が出来て、それを作ったのが吉田君で。実はバンド人生22年で、吉田君の初作曲なんです。人生初の作曲がこの名曲「Libyan glass」だという事で、藤井フミヤさん並みの才能と呼ばれています(笑)
――藤井フミヤさん?
谷川正憲:藤井フミヤさんってチェッカーズ時代、一曲も作曲をした事がなくて。ソロになったときに、人生初めて作曲したのが『TRUE LOVE』だったらしいんです。
佐藤将文:その話めちゃめちゃ広まってんね(笑)
谷川正憲:まあ、フミヤさん並みの才能を持っているんじゃないかと。それで、『LIBYAN GLASS』っていうのは、吉田が作ってくれた歌詞のイメージの中にポツンとあって。それの意味合いをググったりとかして、アルバム全体のイメージを膨らませていきました。
――歌詞は英歌詞から書かれたのでしょうか?
谷川正憲:これは、吉田がイメージする言葉を、だーっと羅列して書いてもらったりとか。ストーリーというよりもイメージを先に書いていました。
吉田昇吾:先に曲を作ったんですけど、その時に作る曲のイメージが夜の砂漠で。それに関連する言葉とか、自分やバンドの状況から出てくる言葉をプラスして、言葉をいっぱい出していった感じです。
谷川正憲:要略すると、最近の時代が息苦しいと書いてあって。その生きづらい世の中っていうのが砂漠。実は夜の砂漠って昼と違って、めちゃめちゃ寒いんですよね。凍えるような寒さだし、水もないし。あるのは砂粒と空に浮かんでいる月。そんな状態の中でたった一つの、リビアングラスを見つけていくっていうストーリーが見えました。
――とても壮大なお話しですね。
吉田昇吾:壮大です。
――歌詞で気になった所があるのですが、英歌詞の中に唯一「今 魔法をかけて 枯れ果てた夜に 私を灯したい」と「あなたに巡り合うまで」が日本語ですが、ここをあえて日本語にしたのは一番押し出したい箇所でしたか?
谷川正憲:そうですね。押し出したいというか、サビは3回とも同じ歌詞で書いていて、最後の後押しで“どういう印象になればいいのかな?”って考えたんです。その時に、ここだけ日本語がいきなり入ってくるのが良いんじゃないかなって思いました。