励まし、明日へ引っ張ってゆく
──C/Wには、より挑戦的な表情の強い『さよなら愛しい日々よ』を収録しました。森丘:『さよなら愛しい日々よ』には、とくに攻撃的なギターリフや速弾きを詰め込んだように、より自分の本質を出せた楽曲になりました。
安井:歌詞のテーマは失恋なんですけど。楽曲全体的にも、そう。サビの前後も熱い感じがあったことから、歌詞でも切なさから一気に視界が開ける感じを書き記しました。
歌詞を通しても情景が変わってゆくように、そこを聞いて感じていただけたらなと思います。
木村:『さよなら愛しい日々よ』は、最初からめっちゃテンションをアゲアゲで攻めるように、dpsの中でもとくにテンションをアゲてゆく楽曲。レコーディングのときもノリノリな勢いのままに歌いました。
ライブで初披露したときも、初めてお客さんたちが聞いたにも関わらず、メンバーもお客さんもガンガンにテンションがアガっていってたように、僕の中で『さよなら愛しい日々よ』は、とにかくテンションを上げてくれる楽曲という印象です。
──歌詞は切ないのにね。
木村:歌詞の後半には、“失恋を振り切れよ”と落ち込んでる人たちを励まし、明日へ引っ張ってゆく内容へ変わっていくように、そういう感情の変化も歌声に投影していれば、そこも聞いて欲しいところです。
大好物の納豆巻きさえ口に入りませんでした(笑)
──森丘さん、マーティ・フリードマンさんとギターセッションした「名探偵コナン」のテーマ曲のアレンジバージョンをYouTubeに載せていますよね。
森丘:そうなんです。もともとは、僕が「名探偵コナン」のテーマ曲をテクニカルギターバージョンにアレンジし、それをYouTubeにアップしようというところから話はスタート。
その作業を進めてゆく中、スタッフの方から「マーティ・フリードマンさんと一緒に「名探偵コナン」のテーマ曲をセッション演奏できる了解を得ました」という話をいただきました。
マーティさんは、僕が中学生の頃からずっと大好きで聞いていた方。
実際に現場でも、僕のアレンジしたテーマ曲を聞いていただき、その場で「ここは、もっとこう演奏をしてコナンらしさを出したほうがいいんじゃないか」などいろいろ提案をいただきました。
あのときは7時間くらい一緒にアレンジ作業をしていたんですけど、マーティさんの集中力が本当にすごくって、いきなり4時間くらいノンストップでアレンジし続けたり。
そのストイックな姿勢はとても勉強になりましたし、あの姿勢は自分も見習わねばと思いました。
木村:これはスタッフさんから聞いた話だけど。マーティさんとの共演話を初めて聞いたとき、現実が理解できずにポカーンとしていたんでしょ。
森丘:そう。「マーティさんと正式に一緒に演ることが決まりました」と言われ、「あっ、はい」と。実感が出たのは自宅に帰ってから。「えっ、あのマーティさんだよね、それ、ヤバくないか」とそこで焦り始めたように、最初はまったく実感を覚えられてない状態でした。
木村:人って、急に思ってもいなかった嬉しい話がくると、そうなっちゃうんですよね。
──当日も、かなり緊張していたんじゃないですか?
森丘:もともとすごい緊張しいなんですけど、あのときはおにぎりさえまったく喉を通らず状態。でも、身体に入れておかないと持たないなと思い、無理やり食べました(笑)。
木村: 大好きな納豆巻きも口に入らないくらいに(笑)。
森丘: そう。大好物の納豆巻きさえ口に入りませんでした(笑)。
みんなが歩きスマホをやめてくれたら
──最後に、ひと言ずつメッセージをお願いします。川村: メジャーデビューと同時にタイアップのお話もいただいたのは、とても嬉しいこと。
しかも今回の経験を通してバンドとしても、一人のメンバーとしてもいろいろ成長させてもらえたなと思います。これからもどんどん新しい出会いを増やしながら成長し続けていきたいように、これからがすごく楽しみになってきました。
森丘: dpsはインディーズ時代に3枚作品を出してるんですけど、どれも関西限定でした。
でも今回は、初の全国流通になります。しかも、念願のメジャーデビューのタイミングで「名探偵コナン」のタイアップもいただきました。
これをきっかけにdpsのことをたくさんの方々に知ってもらいたいし、その期待に応えられるように僕らも恰好いい曲を作り、恰好いいライブをやっていくように、さらに気を引き締めて頑張ります。
安井:『タイムライン』は、歩きスマホをしないようにと先にも言いましたが。「名探偵コナン」のテーマ曲として流れたことで、みんなが歩きスマホをやめてくれたら嬉しいです。
僕的には、この歌詞を書くきっかけになった、僕にぶつかった人に届けばいいなと思っています。
きっと今頃、歩きスマホしてたら金髪の人にぶつかったことがあるなぁ。それ自分のことかなぁと思っている関西の方が大勢いらっしゃるかも知れませんよね(笑)。
木村:僕らにとってメジャーデビューは大きな目標にしていたこと。でも、本当のスタートラインはここからなんですよね。
ここからdpsとして、僕個人としても、一人の人間としても成長していけたらなと思っています。
Text:長澤智典