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大不正解で開いたback numberの新境地とは

back numberは今やバンドやロックという縛りを超えて幅広い層に人気のアーティストだ。人気俳優が主演のドラマや映画の主題歌は当たり前だし、女子高生が好きな歌手ランキングの上位にもいる。ここまで彼らがJ-POP層から支持される理由は、やはり独自の恋愛ソングだろう。

back numberといえば…?

back numberといえばラブソング"というくらい、ヒットした楽曲はどれも女々しい男性の恋の歌ばかりである。

全楽曲の作詞を手がけるボーカル清水依与吏。彼が綴る歌詞は、女性目線の描き方も的を得ていて、誰もが心底を見透かされたような気持ちになる程に、共感できる曲ばかり。

しかし、そんなback numberはこの夏、世間のイメージを崩しにかかるようなシングルをリリースした。その名も「大不正解」。

ここ数年、恋愛系統作品のタイアップが続いていたback numberだが、今作は「映画 銀魂2 ~掟は破るためにこそある~」の主題歌となり話題を集めた。

豪華な俳優陣が数多く出演する映画といっても、少年漫画の実写版のタイアップである。これまでとは異なる、この「大不正解」という楽曲は、back numberの新境地を開く1曲となった。


際立つ"強さ"の存在感

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安い化けの皮を
噛み付き合い 剥ぎ取り合って
互いを見付けて来たんだろう

補い合うのなんざご免なんだ
さぁ好きに踊ろうぜ
≪大不正解 歌詞より抜粋≫
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この「大不正解」の歌詞の主人公は、今までのback numberの主人公たちと比べて圧倒的な強さがある。“安い化けの皮を噛み付き合い剥ぎ取る”のような表現は、過去の楽曲では考えられない程に激しくて、男らしい。

はっきり言ってしまおう、汚い表現だ。とてもじゃないが、今まで異性への感情をうまく表せず苦しんでいた主人公と同一人物とは思えない。

しかし、この歌詞を見たときわかった。「大不正解」は現時点のback numberと重ねて書いた1曲なのだ。

2018年はback numberにとって節目の年だった。なぜなら、彼らの最大キャパシティーとなる初の三大ドームツアーを行ったからだ。

ドームツアーは、バンドにとって1つの目標地点であり、今後ますます名前を広げていく上でも重要な機会である。

そしてこれは、かつて、自身の失恋をきっかけに清水依与吏がスタートさせた小さな音楽が、今や日本中に届くような大きな音楽へと確立したことの証明にもなる。

バンド人生の中でもターニングポイントとなるようなツアー真っ最中にリリースされるこのシングルの存在が、バンドにとってどれほど大切であるかは最も本人たちが承知であっただろう。

そう考えてみると、back numberはこの1枚にこれまでの自身を詰め込んだ上で、新しい世界を開いていこうとしたのだ。

このことは次の歌詞からも読み取れる。



”弱さ”を隠し作り上げた新境地の楽曲

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背中合わせ 槍の雨
道連れ 泥舟 大アタリ
地獄の果てでもとは言ったけど
本当に連れて来んなよ
≪大不正解 歌詞より抜粋≫
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現在大の売れっ子の彼らでも、ここまでの道のりは決して甘くはなかった。槍の雨のような辛い出来事や泥舟に乗るような不安なんて当たり前だったのかもしれない。

あれだけカッコ良いサビを歌っているのに、ここでの主人公が少し泥臭く感じるのは、そんなback numberらしさが表れているからなのだ。

自信がなくて、本当は仲間に縋りたくてたまらないような思いが伝わってくる、この少しのカッコ悪さこそが清水依与吏なのである。

色々な試練を泥臭く乗り越えた上で勝ち誇る主人公をback numberらしいと純粋に思えるのは、まさに自身のバンドが同じような過程を乗り越えて現在に至っているから。

今作は間違いなくback numberの視野を広げ、新しい層のファンを獲得しただろう。

そう「大不正解」は、back numberがこれまでと変わらない”弱さ”を隠して作り上げた新境地の楽曲なのだ。


【コラム】“本当の幸せ”とは何か。back numberの「瞬き」が教えてくれた。



TEXT:もりしま

Vocal & Guitar : 清水依与吏(シミズイヨリ)  Bass : 小島和也(コジマカズヤ) Drums : 栗原寿(クリハラヒサシ) 2004年、群馬にて清水依与吏を中心に結成。 幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年現在のメンバーとなる。 デビュー直前にiTunesが選ぶ2011年最もブレイクが期待でき···

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