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【歌詞コラム】20年後の未来を予言していたジャミロクワイ『Virtual Insanity』

『Virtual Insanity』は1996年に発表されたジャミロクワイ(Jamiroquai)の代表曲。日本でも大ヒットし、テレビCMに出演するなどブームを巻き起こした。曲中で描かれたヴァーチャルな未来は20年後の現在どのように映るのだろうか?歌詞を読み解いてみた。

公開日:2018年11月25日 更新日:2018年11月25日


この記事の目次
  1. ・フェイクニュースやSNSを予言
  2. ・ジャミロクワイ「Virtual Insanity」
  3. ・未来の人類に警鐘を鳴らすジェイ・ケイ
  4. ・テクノロジーはあくまで手段

フェイクニュースやSNSを予言

いまから20年以上まえ、社会現象になった洋楽アーティストがいた。

カップヌードルのCMに出演し奇妙なハットをかぶったジェイ・ケイが率いるそのユニットの名前はジャミロクワイ(Jamiroquai)

代表曲『Virtual Insanity』は私たちが目にする現実とそこにある狂気について歌ったメッセージソングだ。

ジャミロクワイ「Virtual Insanity」



Uh… yeah, oh what we're living in
let me tell ya
It's a wonder man can eat at all
When things are big that should be small
Who can tell what magic spells we'll be doing for us
And I'm giving all my love to this world
Only to be told
I can't see
I can't breathe
No more will we be
And nothing's going to change the way we live
Cos’ we can always take but never give
And now that things are changing for the worse, See
Waoh it’s a crazy world we're living in
And I just can't see that half of us
immersed in sin is all we have to give these
(訳)
これから僕たちの住んでる世界について話すよ
なんでも鵜呑みにしてしまう人たち
ささいなことを大きなことに変えて
誰が僕たちに魔法をかけているんだい?
そんな世界にすべての愛をささげるよ
もちろん言われたらだけど
見えないし息もできない
これ以上は無理
こんな生き方わかってても変えられない
僕たちは与えずに奪うばかりだから
どんどん悪いほうに向かってる
クレイジーな世界に住んでいるんだよ
半分いる罪ぶかいやつらに
全部与えているなんて


『Virtual Insanity』を直訳すると「ヴァーチャルな狂気」になる。当時話題になりつつあったヴァーチャル・リアリティーをもじった言葉だ。

アメリカ先住民に由来したバンド名をもち、環境保護の視点を歌詞に盛り込んでいたジャミロクワイがテクノロジーに目を向けたということで、当時は新鮮な驚きがあった。

「なんでも鵜呑みにしてしまう人たち」や「ささいなことを大きなことに変えて」というのはマスコミのニュースや宣伝で真実が見えなくなってしまうことを指している。

公害や食品添加物、悪いとわかっていても止められない欲望の連鎖。いまでいえばフェイクニュースや食品偽装だろうか。ICTやSNSの普及によって事態はますます複雑になっている。

真実と嘘の見分けがつかない世界をジェイ・ケイは目に見える(でも実際に存在しない)狂気として描いている。そんな世界をつくりだしている(「魔法をかけている」)のは私たち自身でもある。

未来の人類に警鐘を鳴らすジェイ・ケイ

Futures made of virtual insanity now
Always seem to be governed by this love we have
For useless, twisting our new technology
Oh, now there is no sound for we all live underground wo!
(訳)
未来はヴァーチャルな狂気でできている
それは僕たちの愛によって支えられているんだ
不必要にからみあった新しいテクノロジーへの愛
地面の下の僕たちにはなにも聞こえない


コンサートで訪れた札幌の地下街から歌詞の着想を得たジェイ・ケイ。寒さの厳しい札幌では屋内の暖房設備や地下鉄が発達している。

広大な地下空間は人びとが暮らすもうひとつの現実のようでもある。

『Virtual Insanity』が発表された前年にはネットワーク機能を強化した統合型OS『Windows 95』が発売されインターネットの普及が促進。同じ頃、ジェイ・ケイはヴァーチャルな未来を描いた。

テクノロジーの発達を促すのは便利さを求める欲望だ。別世界を生み出すほどの欲求は狂気と裏表の関係にある。いまや人類はテクノロジーなしには生きていけない。

その一方でフェイクニュースやSNSは人の生死をも左右する。冷静に考えればクレイジーそのものなのに、慣れすぎてしまったせいで「何も聞こえない」。そんな人類に警鐘を鳴らしている。

テクノロジーはあくまで手段

Now there is no sound
If we all live underground
And now it's virtual insanity
Forget your virtual reality
Oh, there's nothing so bad…
Oh yeah I know yeah…
(訳)
もうなにも聞こえない
地下にいる僕たちには
これは目に見える狂気
VRなんてもういいよ
最悪の気分さ




仮想現実をつくりだすのがVRだとすると、それに対する仮想狂気がVirtual Insanity。そこでは主観と客観の境界があいまいになる。

続く歌詞では人間を幸福にするはずのテクノロジーが反対に人間を別のものに変えてしまうことを歌っている。遺伝子操作や薬物による人体への影響を連想する箇所だ。

いまや人間を超える存在になりつつあるAIや核の脅威。無力な人類はなすすべなくあきらめるしかないのだろうか?明確な答えはないがヒントは示される。

音が鳴り響く現実の世界に対してVirtual Insanityの地下世界では何も聞こえない(「no sound」)。

その事実は私たちが正気に返る(=現在の状況に気づく)には音楽の力が必要であることを示唆している。窓のない部屋の中で重力に逆らってダンスするMVは象徴的だ。

とはいえテクノロジーを完全に否定しているわけではない。アルバムのカバーにするくらいフェラーリ好きのジェイ・ケイにとってテクノロジーはあくまで手段。

要は乗りこなすことが大事なのだ。20年後の未来を予言していた『Virtual Insanity』。そのメッセージはいまも有効である。

TEXT:石河コウヘイ

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