さくらしめじ
▲田中雅功 (2002年1月24日生まれ、A型 )▲高田彪我 (2001年10月23日生まれ、A型 )
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いつも支えてくれているみなさんを支えたい
──最新EP盤が発売になりました。まずは、1曲目へ収録した『My Sunshine』の魅力から聞かせてください。田中雅功:これまでのさくらしめじは、聞く人の側へ寄り添う表情が多かったんですけど。僕らも来年春には高校三年生になるように、応援してくださるみなさんに寄り添うだけではなく、何時も支えてくれているみなさんを逆に支えたいし、背中を押したい。それこそ、みなさんを引っ張っていけるアーティストにも成長していきたい。そういう僕らの気持ちを後押ししてくれる楽曲というのが、『My Sunshine』に対する僕の印象です。『My Sunshine』の歌詞は、聞いた人の気持ちを元気つけたり、勇気を与えられる内容にもなっていますしね。
髙田彪我:『My Sunshine』は四つ打ちのビートも魅力的な、ノリのわかりやすい曲です。しかも僕らの意思表示というか、自分たちの想いを載せやすい楽曲にも仕上がっています。 歌詞に関しては、けっこう抽象的な表現も多い内容。歌の始まりから、「排気ガスに溺れた月が空に逃げて 溶けだした蒼い光が形を成した」と独特な表現じゃないですか。歌を歌うときの声の表現面では、2人とも何時も以上に考えを巡らせながら歌いました。
──『My Sunshine』の歌いだしの歌詞は、確かにインパクトがありました。
髙田彪我:ですよね。他にも、「遠避けても小聡明い影」と歌っていますけど。この歌を通して、僕は初めて「小聡明(あざと)いと読むんだ」と学べたように、「この歌は勉強になるなぁ」とも思いました。笑
──2人も、けっして小聡明い人たちではないですよね。
2人:アハハハハッ。ないですないです(笑)。
──『My Sunshine』のサビを歌うときの2人の力強い歌声に、気持ちをグッと押される感覚を覚えました。
髙田彪我:『My Sunshine』のサビの歌声は確かに力強いですけど、じつはAメロやBメロの部分も力強さを意識して歌っています。さくらしめじの場合、けっこう高めのキーで歌うことが多い中、『My Sunshine』のAメロでは、あえて低い声で歌うことを意識しました。そのぶん、サビの力強い高音部が生きるのかなぁとも思っています。
視界がバーッと開けてゆく歌詞
──先にも出ていた『My Sunshine』の冒頭に記した「排気ガスに溺れた月が空に逃げて」の歌詞、歌っているのは雅功さんですが、歌うときにもどんな歌声の表情を描き出そうか、そこはいろいろ意識していたことでした?田中雅功:始まりのこの部分をどう印象づけるかで、『My Sunshine』の持つ世界観が一気に決まってゆく印象を僕は持ちました。だからこそ、その言葉をどう印象づけるかの歌い方をいろいろ試したうえで、「これが似合う」という声の表情を持って歌いました。
──どういう表情を持って歌うのかは、とても重要になっていくわけですよね。
田中雅功:そうです。あたりまえですが、弱い声で歌うと、全体的に弱々しい曲になっちゃう。強く歌い過ぎると、今度はメリハリがなくなってサビが引き立たないことから、ちょうどいい歌声の加減を探りながら今回の歌にたどり着いた形でした。
──それぞれ、『My Sunshine』の中で気になった歌詞を教えてください。
髙田彪我:雅功も言ってたように、『My Sunshine』はサビで力強く歌うんですけど。「夜明け前の空に」とサビ始まりからガツンと力強く歌うことで、それまで視界をもやもやとさせていた靄を一気に消し去り、バーッと光を射し込ませてゆく。視界が開けてゆく、その感覚を覚えるサビパートの中でも、特にタイトルにもなっている「My Sunshine」が僕はお気に入りです。
田中雅功:僕はDメロの落ちサビの「翔べないなら 歩いて行けるさ 道は続く」の部分。『My Sunshine』は、僕らさくらしめじにとって新しい一面を見せた楽曲。そういう面を見せると、アーティストさんによっては「変わったなぁ」と言われることがあるじゃないですか。僕らの場合は、1から新しいものを作ったのではなく、今までさくらしめじとして作りあげた土台の上へさらに新しい要素を乗せたイメージなんですね。その意識を言葉に記したのが、「翔べないなら 歩いて行けるさ 道は続く」だと僕は受け止めています。「これまでのさくらしめじらしさと、新しいさくらしめじらしさ」を示した意思を詰め込んだ、そこの一文が大好きです。
髙田彪我:「こんな感じで、今後もさくらしめじは進化してゆく」という意識を示した歌という印象は、僕も『My Sunshine』を通して感じたことでした。
みんなと一緒に歌い続けたい気持ちを現した
──2人とも、今へ至るまでにもいろんな変化や進化を積み重ねてきましたよね。髙田彪我:僕ら自身も、そう感じています。
田中雅功:とくに今年は楽曲面での変化や進化だけではなく、音楽へ向き合う姿勢にも、いろんな変化があった年になりました。中でも、お客さんと一緒にライブを作りあげる楽しさ。それこそ、「聞き手がいるからこそ僕らでいれる」ことをすごく実感し続けています。
──昔も今も、さくらしめじはファンの人たちと肌感を覚えるライブを重ねていますからね。
髙田彪我:ライブを通してみなさんと触れ合うことで感じる想いは、本当にたくさんあること。だからこそ僕らは、何よりもライブを大切にし続ける思いを持って活動をしていますし、ライブという場でみんなと一緒に歌いたい。その気持ちを現したのが、今回のEP盤のタイトルにも記した『うたはつづくよどこまでも』なんです。
僕らは今年4月にアルバム『ハルシメジ』を発売し、いろんな表情をもった楽曲たちをリリースしました。そのアルバムに負けないくらいのボリューム感を、僕らはEP『うたはつづくよどこまでも』に感じています。
【さくらしめじ】『僕たちの新しい部分が見える一枚』1stフルアルバムについてのインタビュー
スプーンが初恋をしたらどうなるんだろう
──C/Wには、NHK「みんなのうた」でも流れている『スプーンの初恋 ~あゝ、好きだよベイベー~』を収録しました。この歌、フォークに恋するスプーンの気持ちを、ほっこりとする想いも記しながら、何処かほろ苦く甘酸っぱい歌に仕上げています。しかも曲調が、思いきりフォークソングしているところも、この歌の面白さじゃない??髙田彪我:そうなんです。僕たちさくらしめじはフォークデュオとして活動をしています。だけど、これまで歌ってきたのはポップスが中心のように、フォークソングを歌う機会はそんなにも多くはありませんでした。だからこそ、新しい試みとして「王道のフォークソングを歌おう」ということから挑戦したのが、この歌。しかも、普通にフォークソングを歌うのではなく、何処か面白さを醸しだそうということから、スプーンを主人公にしたこの曲ができました。
田中雅功:歌詞にも、「ステーキなおしゃべり」や「サジ投げないって」など、いろんな遊び心を入れています。
『スプーンの初恋 ~あゝ、好きだよベイベー~』のテーマは、食器を擬人化したうえで、スプーンが初恋をしたらどうなるんだろうということ。そこから、「スプーンが恋する相手はフォークかなぁ」「でも、スプーンとフォークって、なかなか一緒に使うことがないから、ちょっと切ない歌にもなるかなぁ」など、いろいろ考えたうえで、『スプーンの初恋 ~あゝ、好きだよベイベー~』は誕生しています。
「キスを交換した」ってどういう気持ち??
──コレサワさんが楽曲提供をした『届けそこねたラブソング』、まさにコレサワワールドが広がる歌だと感じました。髙田彪我:始まりの歌詞が、「初めてのキスを交換した日を君は覚えていますか?」ですからね。『届けそこねたラブソング』は失恋をテーマにした歌ですけど、失恋の歌とは思えないくらい、聞いたあとに元気づけられるというか、勇気を持てる歌です。
田中雅功:歌詞だけを読むとね…。(笑)
髙田彪我:切ない内容ですけど、曲に乗せて歌うことで、「明日も頑張ろう」という気持ちにさせてくれます。コレサワさんの楽曲って、たとえ歌詞がネガティブだとしても、聞くと元気になれる歌が多いんですね。その"らしさ"をさくらしめじの歌として作っていただけたことが、僕らとしてはすごく嬉しいことでした。
田中雅功:彪我も言ってたけど、始まりの歌詞を歌うときはドキドキしちゃいます。
髙田彪我:「キスを交換した」ってどういう気持ち??と思いません??。だから、2人で「これはどういう意味だろう?」と相談をしながら、同じ気持ちを持ったうえで歌入れをしました。
──この歌に限らず、さくらしめじの場合、どれも互いの気持ちを同じ方向へ向けて歌うことが大切になるわけだ。
田中雅功:そこは、何時も心がけています。とくに今回のEP盤に収録した曲たちは、どれも想いや表情が異なるからこそ、何時も以上に話し合いながら歌入れをしていきました。