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軽やかな走行音を立てて未来へ…サザンオールスターズ『希望の轍』

神回と言われた2018年平成最後の紅白歌合戦。その立役者が大トリを務めたサザンオールスターズであったことは間違いないでしょう。その紅白で歌われた名曲『希望の轍(わだち)』は何故、多くの人の心を捉えるのか。この記事では、その魅力に迫ります。

一瞬で人を虜にするパフォーマンス


紅白歌合戦での、観客・出演者・テレビを観ている人々全てが一体となったサザンのパフォーマンス。ファンである人も、そうでもない人も関係なく一つにしてしまったあの世界は感動的でしたね。

一瞬、「歌合戦」の場であることを忘れて、サザン独自のライヴ映像を観ているような錯覚に陥ってしまいました。

そんな紅白で歌われた『希望の轍』。この曲が多くの人の心を捉える理由は、「過去を肯定して未来へ向かって走っていく爽やかさ」を持っているからでしょう。

早速、歌詞を見ていきましょう!

愛おしい過去


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夢を乗せて走る車道
明日への旅
通り過ぎる街の色
思い出の日々
≪希望の轍 歌詞より抜粋≫
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高らかなピアノの音と規則正しいリズムを刻むドラム、名詞止めが並ぶ歌詞のすべてが合わさって疾走感あふれる楽しいドライブを連想させるような出だし。

まるで、どこまでも続くまっすぐな車道にきれいな二本の轍がついていくのが目に見えるようです。

轍(わだち)とは、車の通ったあとに残る車輪の跡のこと。「車道」に轍がつくのはありえないようですが、この場合は自分が生きていた人生の足跡を例えているのでしょう。

かつての自分の居場所だった「街の色」も「思い出の日々」も愛おしいもの。だからこそ、「夢を乗せて」車道を走り、「明日への旅」に行けるのです。「希望」という名の轍を鮮やかに残しながら。

過去の全てを肯定して明るい未来へと走りだした歌の主人公の潔さが感じられ、爽やかな気持ちになります。

心に浮かぶ野薔薇のような人


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恋心なぜに切なく胸の奥に迫る
振り返る度に野薔薇のような Baby love
≪希望の轍 歌詞より抜粋≫
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それでも忘れられない恋心があって振り返ることもあります。そのとき心に浮かぶのは野薔薇のようなひと。爽やかな主人公にぴったりの、可憐で清楚な野薔薇のような女性に恋心を持っている。

この歌は映画「稲村ジェーン」の挿入歌ですが、楽曲そのものもロードムービーのようですね。

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遠く遠く離れゆくエボシライン
Oh my love is you
舞い上る蜃気楼
≪希望の轍 歌詞より抜粋≫
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ここで登場するエボシラインが何なのか?気になりますよね。ファンの間では諸説あるようですが…。

エボシとは、サザンのボーカリスト桑田佳祐の出身地の茅ヶ崎にあるえぼし岩・正式には姥島(うばじま)のことでしょう。この島は、茅ヶ崎の海に浮かぶ島というよりも、「海から突き出ている烏帽子(男性用の帽子の一種)の形の岩」に見えます。

つまり、エボシラインとは、エボシ岩のライン(外観)、もしくはエボシ岩を含んだ地平線のことでしょう。

「遠く遠く」という言葉の繰り返しから、疾走感があおられて、エボシラインが見える景色をぐんぐん引き離して、車が走っていくのがわかります。軽やかな走行音が聞こえるようですね。

『希望の轍』はサザンそのもの


デビューから40年もの間、日本の音楽シーンの先頭を切って走ってきたサザンオールスターズ。その轍に熱視線をおくる日本人アーティストはたくさんいます。まさに、「希望の轍」そのものですね。

またアーティストのみならず、老若男女を問わず多くの人から愛されるサザン。桑田佳祐の地元、JR東海道線・茅ヶ崎駅のホームの発車メロディは、市民の要望が通り、2014年の10月から『希望の轍』です。

未来に向かって走り続けるサザンオールスターズの『希望の轍』。その魅力に今いちど触れてみませんか。

TEXT 三田綾子

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1978年6月25日にシングル『勝手にシンドバッド』でデビュー。 1979年『いとしのエリー』の大ヒットをきっかけに、日本を代表するロックグループとして名実ともに評価を受ける。 以降数々の記録と記憶に残る作品を世に送り続け、時代とともに新たなアプローチで常に音楽界をリードする国民的ロ···

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