主人公・藤井夏生のずるい所が好き
――UtaTenです!前作の『東京』以来のインタビューですね。ご無沙汰しております!よろしくお願いします。瀧川ありさ:お久しぶりです!よろしくお願い致します。
――瀧川さんの今回のニューシングル『わがまま』は、アニメ「ドメスティックな彼女」のエンディングテーマですね!原作を最初見たときどうでしたか?
瀧川ありさ:冒頭は「まさか“彼女たち”と兄妹に!?」と、非現実的にも見えるかもしれませんが、実際はキャラクターも日常もすごくリアルに描かれていて心の機微がすごく共感できるというか。やっぱり女性の方が隠れファンが多いっていう話もあったので、それはすごくわかるなと思って。
男性向けのアニメかなと思いつつ、女性の揺れる心をすごく描いているなと!作者の方も女性の方なんですけど、それがすごく伝わってきて曲が書きやすかったです。
――物語は、結構過激ですよね(笑)
瀧川ありさ:そうですね!地上波のギリギリを攻める涙ぐましい努力がそこにあります!それに、そこも含めてドラマのような見ごたえのある作品で好きです。
――ちなみになんですけど、瀧川さんが1番推しているキャラクターは?
瀧川ありさ:主人公・藤井夏生のだめじゃないんだけどなんかこの“ずるいですよね~”っていうところが好きですね(笑)でも全員共感できるポイントがあるので、全員に共感はします。
女の子たちは本当に可愛いし、途中で出てきた「もも」って子も可愛い。その子ツインテールなんですけど、そのツインテール姿が可愛いって思って!姫カットの「葦原美雨」って子もまた良くて。みんな女の子がとにかく可愛いすぎるので、これはそりゃそうよねって(笑)
そりゃ夏主も困っちゃうわよねっていう感じなので、なんかこうみんなに共感できますね。なんなら私お父さんとかにも共感しちゃう。お父さんのお嫁さんも“あ、すごい頑張ってる”とか思って。いたるところに共感しますね。
――みんな可愛すぎちゃうんですね(笑)でもその中でもやっぱり、夏生ですか?
瀧川ありさ:うーん、選ぶとしたら夏生ですね!
――ご自身と似ているなって思うキャラクターはいますか?
瀧川ありさ:瑠衣が似ているかな~。天邪鬼というか。表面的には似てないと思うんですけど、ちょっとすかしとくみたいな(笑)別に…みたいなところはあるかもしれない。
――瀧川さんは、結構ツンデレなんですか?(笑)
瀧川ありさ:ツンデレというか、まあそうかもしれないです(笑)。女子校だったんですけど、もしクラスに男子がいたら多分結構突っ張ってた気がするので。夏生みたいなのがいたら、想像で瑠衣っぽくなるかなって思います。
――ドメスティックな彼女みたいな恋愛とかをしてみたいなーとは思ったりされますか!
瀧川ありさ:どうだろうな~(笑)。してみたいかっていうと、してみる勇気がもうないかも。それこそ18、19歳ならそこに飛び込む勇気があったと思うんです。だけど、大人になるにつれ冒険があまりできなくなってきたなと思うので…。してみたくてもできないからこそ支持される作品なんだと思います。
――やっぱりこういうアニメのタイアップがあったほうが歌詞って書きやすかったりしますか?
瀧川ありさ:します。今回脚本を読ませていただいて、それでもうするっと書けたのでテーマがある方がやりやすいですね。
そっちちょっと見ないでもらっていいですか?
――私も「ドメスティックな彼女」は見ているのですが、最初歌詞を読ませていただいたときに、目線が瑠衣ちゃんだなって思って。だけど話がどんどん進んでいくにつれて、夏生とか陽菜ちゃんとかの目線でみえる歌詞だなって思っていて!歌詞を綴るにあたり、1番ポイントにされた部分はありますか?
瀧川ありさ:まさに言っていただいた通り、回を追うごとに、エンディングが流れたときには曲中の主人公が変わって、曲の捉え方も柔軟に変わっていけたらいいなと思ったんです。なので、どの主人公にも受けとれるフックはポイントにしましたね。
――「わがまま」というタイトルですが、これが浮かんだきっかけを教えてください。
瀧川ありさ:「わがまま」ってやっぱり日本語の単語としては、悪いことっていうかよくないことみたいなイメージがあるんですけど、それがこうだめな恋愛とかけて、単語の持っている力というか、それがすごく面白いなと思ったんです。
日本語としてわがままっていう単語は、色々な捉え方ができるなって。“わがままな子ね”って言ったらだめなんだけど、心の中の“そっちを見ないで”とか恋愛感情になることって悪いことじゃないじゃないですか。
そこの恋愛で、“そっちにいかないでほしい”、でも“こっちも見ないでほしい”、“あぁよくわかんない”みたいな思春期のこの感じが、自分がわがままなのかな?っていうところで葛藤するところを描きたかったんです。
わがままっていう言葉にさえ振り回されるところも、あ、だめなのかなっていうか。でもそれは別に正しいわがままというか、当たり前の本能。恋愛での当たり前の感情なのに、それがわがままっていう形容詞がつけられると自分を抑え込んじゃうとか、そういうところでその単語にさえ振り回される感じを描けたらいいなと思ったのでこのタイトルにしました。
――見事にハマっていますよね。多分漢字だとまた違うイメージがありそうな。
瀧川ありさ:そうですね。イメージが変わると思います。ひらがなの方が、色々な余白があっていいなと思います。
――「そっちを見ないで」っていうフレーズがあるじゃないですか。ここで全てを物語っている感じがしたのですが…!!
瀧川ありさ:そうなんですよ。これはもう書けた!って思いました(笑)サビ終わりをどう落とすかっていうところを考えていたんですけど、それが「そっちを見ないで」だなっていう。アニメを観ていて1番思うことっていうのが、振り向いてとかじゃないんですよね。
そんな簡単な話じゃないっていうか。やっぱり「そっちを見ないで」っていうのがしっくりくる。こっちを見てじゃないんですよ。ちょっとこっち見て下さいっていうよりは、ちょっとそっち見ないでもらっていいですか?っていう方が実際、多いんじゃないかなって恋愛において思って。
別になんともなかったのに、誰か第三者が現れたときに、“あれ、なにこの気持ち”みたいな。そういうのを出したいなと思ったので、「そっち」っていう単語をいれることで急に2人の話じゃなくなって、様々な関係性がみえてくるので、この言葉を選びました。
――でも2人だけの関係じゃなくて、大勢のことを書くのって頭の中でごちゃごちゃになったりしなかったんですか?
瀧川ありさ:でもそういうほうが好きです割と。いつもインタビューでもお話するんですけど、2人だけで完結しちゃっている曲ってあんまり好きじゃなくて(笑)好きじゃないって言ったら語弊がありますけど、色々な視点がある曲、誰も除け者にしない風に書くっていうのがモットーで。
恋愛ソングとかでも、君と私だけで盛り上がっている曲ってちょっと疎外感を覚えるんですよ私。そういう思いを、自分が聴いてくれている人にさせたくないなと思ったんです。
自分がどこに立っていても、そっちの人であろうとここだろうとそこだろうと、どこの視点からでも聴ける曲にしたいなと思っていたので、逆にそっちのほうが自分らしいです。
――最近、結構2人だけの歌詞っていうのは多いですもんね。
瀧川ありさ:そうなんですよ。楽しそうだなみたいな、いいなみたいな感じになって。そこに酔い切れないんですよね。よりも、こういう風な俯瞰であるほうが自分的に整理しやすいんです。
――以前、瀧川さんにインタビューさせていただいたときも、結構男らしい一面があるなって思ったんですよね。だからこの歌詞もどっちかっていうと、ちょっと男の子目線にも一瞬みえる部分がやっぱ強いな~って。
瀧川ありさ:そういう風にも聴けたらいいなと思いました。女の子女の子したくはないなって。それで男子目線でも、ちょっとわかるって思えるような言い回しにしました。だから言葉をあまり女の子チックにしてないですね!
――普段の歌詞も、結構僕とか君とかが多いですか?
瀧川ありさ:割と、多いと思います。
――私はあまり使いたくない…?
瀧川ありさ:っていうわけじゃないですけど、私ってなるとすごい限定されちゃうんですよね…。間口が狭くなる感じがするというか決めつけちゃう感じがちょっとあって。
僕ってすることで、例えば聴いてくれる男の子の視点にもなるし、でも私の話かもしれないしっていうところで余白が生まれていいなと思うので。私ってなると私が私っていう風に聴こえかねないなと思うので、それは意識してあんまり使わないですね。
――「そっちを見ないで」のところでアニメの映像もそこで切れるんですよね。あれがまた味を出していらっしゃる!!って思って!
瀧川ありさ:いや~よくできていると思いました。ありがたいです。ああいう風にやってもらえると!
――歌詞には、「そっちを見ないで」があって「こっちを見ないで」もあるってことですよね。
瀧川ありさ:そうなんです。その自己矛盾が大事です。
――ツンデレ感満載じゃないですか…。
瀧川ありさ:確かにそうですね(笑)
―― 一般の普通の女の子でも共感できますよね。
瀧川ありさ:全然できると思います。あるあるじゃないですかね!