その距離感に、切なくも心に響く歌詞
Crystal Kayの2007年の曲『こんなに近くで…』。アニメ版「のだめカンタービレ」のEDテーマとして使われた曲です。
クラシックを題材にしたアニメの曲だったのでストリングスが印象的に使われているのが特徴。Crystal Kayの歌唱の力と相まってエモーショナルな曲になっています。
こんなに近くで…
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こんなに こんなに 近くで見つめても
どうして どうして ただの友達なの?
どんなに どんなに 強く想っていても
伝えられない you don't understand.
I'm so in love with you.
≪こんなに近くで... 歌詞より抜粋≫
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特にこのサビの部分が印象的。休符が入って裏で入る「ンこーんなにンこーんなに」(ンの部分は歌わない)という歌い方で、リズムが前に前に進むよう曲が構成されています。
これにより聴く側も「こんなに近いのに!」「どうしてどうして?」と気持ちがのりやすくなるんですね。
また、歌詞も「おもって」を「思って」でなく「想って」にしています。想像、追想などに使われるこの「想う」を使うことで、より「相手のことを強く想像している」というニュアンスになるんですね。
「のだめカンタービレ」は天才ピアニストののだめこと野田恵と秀才指揮者の千秋真一の物語。二人がくっつくのかどうなのかというラブコメ展開がストーリーの見どころの一つ。この歌詞はそんな登場人物の関係を暗示させています。
MAD動画がたくさん生まれる!?
「恋がせつないと すぐそばで気付いたあの夜」で始まる歌詞。
この歌詞のせいもあるのか、のだめの影響もあるのか。この曲を使ったアニメキャラ同士の「恋がせつない」関係を示すMAD動画がやたら沢山作られ、ニコニコ動画でUPされました。それこそ腐的な同性愛なものも含めて。
ニコニコ大百科にもこの曲の項目があります。
『こんなに近くで…』のタイトル通り、近いけれど思いを伝えられない関係、またはそれを連想させるような関係にこの曲は使いやすかったんですね。
アニメファンがアニメの映像や音楽を使って独自に動画を作成するのはよくあることですが、これは特に曲が独り歩きした例。Crystal Kayとこの曲に力があったんですね。
TEXT:改訂木魚 (じゃぶけん東京本部)
1999年「Eternal Memories」でデビュー。「Boyfriend -partⅡ-」「恋におちたら」などのヒット曲で大ブレイク。 2015年にCrystal Kay feat. 安室奈美恵「REVOLUTION」、「何度でも」(フジテレビ系木曜劇場『オトナ女子』挿入歌)を含むロングヒットアルバム『Shine』のリリース後も、LIVEなど精···