全て音楽に
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おはよう 世の中
夢を連れて繰り返した
湯気には生活のメロディ
鶏の歌声も
線路 風の話し声も
すべてはモノラルのメロディ
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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一日が朝から始まる。
将来の夢や理想を思い描きながらも、いつも通りの朝を迎え、日々を何度も繰り返していく。そんな代わり映えのない毎日が続くと、退屈に感じてくる。
しかし、その代り映えなく繰り返す生活の中、何気なく聴こえてくる一つ一つの音は、生活を彩る音楽なのであると、ここでは歌われている。
毎朝飲むコーヒーの為に沸かしたヤカンの音、朝を告げる鶏の声、毎朝通る線路を横切る風の音、それら全てが自身の生活を彩る素敵なメロディであり、自分の生活に必要な音楽なのである。
そして、その一つの生活音に意味を与える発想の転換が、退屈な日々を少しだけ変えてくれる思考なのだ。
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涙零れる音は
咲いた花が弾く雨音
哀しみに 青空を
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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哀しみに暮れ、泣いてしまった日。
そんな時、瞳から零れる涙が地面を弾く音は、きっと雨粒が咲き誇る花の花弁が弾かれた音と同じであると考えることによって、いつか途絶える雨と涙を、そして、濡れながらも逞しく咲き、青空を待つ花と自分を、ここでリンクさせている。
哀しみで濡れた自分にも、きっとこの先、すぐに青空がやってくるはずだという、力強いメッセージがこのリンクによって伝わってくる。
そして哀しみの中で生まれた音も、その瞬間の先の青空のような明るい未来に繋がっていく音楽であり、やがて確実にくる希望に繋がる為の音楽なのであることを歌っているのがわかる。
悲しみの夜に
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おはよう 真夜中
虚しさとのダンスフロアだ
笑顔の裏側の景色
独りで泣く声も
喉の下の叫び声も
すべては笑われる景色
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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哀しみと虚しさに包まれる夜もある。
過去の後悔や記憶や未来への不安など、どうすることもできない瞬間には、悲嘆の声や心の叫びが生まれてくる。
しかし、自分一人で抑えきれないような悲哀の情も、見知らぬ誰かから見れば、非常に滑稽に見え、笑える話なのかもしれない。
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生きてただ生きていて
踏まれ潰れた花のように
にこやかに 中指を
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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人の不幸は蜜の味という言葉もある通り、自分の悲劇は世間の嘲笑の対象となる時もある。なおかつ、ただ自分なりに生きているだけで、勝手に不幸だと思われ、笑われる対象になったりもする。
だが、そこでただ黙って不幸に踏まれて終わるのではなく、こちらが笑いながら中指を立てて、世間を挑発するような僅かな反撃をすることが重要であると、ここで歌われている。
心を不幸とそれを笑う世間に押し込むのではなく、心をそれらに突き返すことによって、心は、この先の未来に向かえるのである。
はじめからそこに
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闇の中から歌が聞こえた
あなたの胸から
刻む鼓動は一つの歌だ
胸に手を置けば
そこで鳴ってる
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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すぐに立ち直れない哀しみに満ち、何も見えない闇の中に突き落とされてしまう日もある。
そんな時、そっと胸に手を当てることで、一つの音楽を聴くことができる。心臓がひとつ、またひとつ動く音だ。
その音楽は、ここまで自分が生きてきた証であり、これから生きていく為に自分を鼓舞する唄だと想像することができる。その想像力を与えた音楽が、自分を闇の先の未来へと連れて行ってくれる。
奏でられた音楽はどこまでも先へ繋がっているのだから。
全てを越えるアイデアを
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つづく日々の道の先を
塞ぐ影にアイデアを
雨の中で君と歌おう
音が止まる日まで
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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生きている限り、自分の人生が止まることはない。しかし、自分が望む未来への道が塞がれてしまう瞬間は何処にでも転がっている。そんな時は、塞ぐ影に光を照らすような発想の転換=アイデアで、未来への道を切り拓くことが重要なのである。
些細なキッカケを漏らすことなく、鼓動の音楽が鳴り止む日まで人生を彩り続けることで、塞ぐ影は無くなり、自らが理想とする人生を歩み続けることができるのだ。
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雨の音で歌を歌おう
すべて越えて響け
つづく日々を奏でる人へ
すべて越えて届け
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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曇天の空から降る雨の音で憂鬱な気持ちになって落ち込むのではなく、その音を自分の為の音楽にして歌う。そのアイデアが、やがて全てを乗り越えるアイデアになっていく。
これからの自分の人生を歩みつづけ、自分の日々を奏で続けようとする全ての人に、人生の哀しみを変えようとするアイデアを育む力が届くことを、この曲は願っている。
想像力と発想力は人間が唯一持つ力である。その力をより良い人生の為に活かして、常に彩り、奏でていくことこそ、人間が、人間として生きる為に、真に必要なことなのだ。
TEXT 京極亮友