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「君の名は。」を経ての最新作「天気の子」!
来たる2019年7月19日、前作「君の名は。」から3年を経て、新海誠の最新作「天気の子」がいよいよ公開されます。映画『天気の子』予報②
天候の調和が狂った時代で、家出少年の帆高と、不思議な能力を持つ少女の陽菜の二人の恋、そしてそれぞれの選択する生き方を描くこの作品は、前作よりも色濃くなった新海誠の世界、そして豪華キャスト陣に期待せざるを得ません。
新海誠という才能のシンデレラストーリー
会社員として働きながらアニメーション制作をしていた深海誠は、2002年に実質のデビュー作である初の劇場アニメーション、「ほしのこえ」を発表しました。監督・脚本・作画・編集などといった、制作のほとんどを深海誠一人がおこなった25分の短編アニメーションであるこの作品は、第6回文化庁メディア芸術祭特別賞・第8回AMD AWARD BestDirector賞などをはじめ、多数の賞を受賞したのです。
2年後には、初の長編アニメーション「雲の向こう、約束の場所」を発表。巧みな演出や音楽との親和性が高く評価され、この作品は第59回毎日映画コンクールにおいて、宮崎駿監督の「ハウルの動く城」などを抑えて、アニメーション映画賞を受賞しました。
そして新海誠の才能は、今でも名作と名高い次作によって、世間に知れ渡ったのです。
永遠の名作「秒速5センチメートル」
2007年に新海誠が発表した、3部構成の連続短編アニメーション「秒速5センチメートル」。「秒速5センチメートル」予告編 HD版 (5 Centimeters per Second)
完成された情景描写と心情表現、そして、悲しすぎるストーリーと音楽が化学反応を起こし、新海誠ならではの儚くも美しい世界観を放つこの作品は、「君の名は。」が大ヒットしてもなお、新海誠の最高傑作と言われています。
世界観を特化させた実験作「星を追う子ども」「言の葉の庭」
2011年に発表された「星を追う子ども」は、それまでの作風とは大きく異なり、ファンタジー要素が強く、アクションシーンやジブリのオマージュが盛り込まれており、新海誠自身も実験的な側面がある作品だとコメントしています。新海誠『星を追う子ども』特報映像
さらに2013年には、「言の葉の庭」を、劇場公開と同時にDVD&Blu-rayのパッケージも先行発売。この作品は、新宿御苑を舞台に、主人公とヒロインの二人の関係性、そしてそこに降り注ぐ雨をとにかく美しく描写しています。
映画『言の葉の庭』予告編映像
新境地を開拓したマニアックな作品でありながら、秒速5センチメートルの興行収入を10日で突破し、新海誠の代表作の1つとなりました。
そして、次の作品で新海誠は、それまであえて作ってこなかった、「普遍性の高い近代王道アニメ」に挑み、世界中を震撼させます。
満を持しての国民的超大作「君の名は。」
新海誠は、初めて挑んだ「王道アニメ」ともいえる作品、「君の名は。」を2016年に発表。画像引用元 (Amazon)
様々な面で、これまでになかった普遍性を持つこの作品は、2016年8月の公開から28日間で774万人を動員し、日本のアニメーション監督としては、宮崎駿に続いて2人目となる、興行収入100億円を突破。
2016年11月までで興行収入が194億円を超えただけでなく、最終興行収入は250億円にまで到達し、日本映画としては歴代2位の数字を打ち立てました。
新海誠作品を彩ってきた音楽
新海誠は、作品において音楽の担う役割に重きをおいており、新海誠のヒット作に名曲あり、といっても良いでしょう。「秒速5センチメートル」
ラストシーンで印象的に使用された、山崎まさよしの「One more time, One more chance」は、作品で使用されたことにより、楽曲の再ブームが巻き起こるほどでした。----------------
いつでも捜しているよ
どっかに君の姿を
向いのホーム 路地裏の窓
こんなとこに
いるはずもないのに
≪One more time, One more chance 歌詞より抜粋≫
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物語のラストで最も存在感を放ったのは、印象的なセリフでもどんでん返しでもなく、儚くも美しい音楽と、その音楽によって初めて意味を持つ映像でした。
「言の葉の庭」
秦基博が歌うエンディングテーマ「Rain」が、雨をモチーフにしたこの作品の世界観を見事に表現しています。----------------
どしゃぶりでもかまわないと
ずぶぬれでもかまわないと
しぶきあげるきみが消えてく
路地裏では朝が早いから
今のうちにきみをつかまえ
行かないで 行かないで
そう言うよ
≪Rain 歌詞より抜粋≫
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またこれだけでなく、秦基博はもう1曲、同作のためにイメージソング「言ノ葉」を自ら書き下ろし、新海誠がミュージックビデオとCDジャケットを手掛け、物語の世界の一端を担っています。
秦 基博 / 「言ノ葉」Music Video -Makoto Shinkai / Director's Cut
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追い続ける夢に 届かない僕と
重たい毎日に しゃがみ込む あなた
同じ孤独 つないだ ずっと 忘れたことはない
晴れるかな 心もまた 泣き出した空の下
あなたがいたから僕がいるよ
oh 呼びかけるよ もう聴こえなくても
≪言ノ葉 歌詞より抜粋≫
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「君の名は。」
名作たらしめたRADWIMPSそして、大ヒットを記録した「君の名は。」においても、新海誠ならではの音楽を活かした作品作りが、楽曲と作品そのものの両方の魅力を際立たせています。
RADWIMPSは、レベルの高い演奏技術に裏打ちされたハイクオリティーなミクスチャーロックが、若い世代に絶大な支持を受け、2006年にメジャーデビューした4人組ロックバンドです。
ギター&ボーカルの野田洋次郎が紡ぐ歌と歌詞は、人の欲や恋心をリアルかつ芸術的に表現し、テクニカルでギミックに富みながらもキャッチーなサウンドは、耳の肥えた音楽ファンからも高く評価されています。
そんな大人気ロックバンドは、新海誠の抜擢を受け、再びその魅力的な世界観を炸裂されたのです。
新海誠とRADWIMPSのケミストリー、巻き起こる社会現象
RADWIMPSは、「君の名は。」の劇中楽曲20曲以上を担当しました。その中でも、劇中で印象的に使用された「スパークル」や「前前前世」、そしてエンディングテーマとして流れた、「なんでもないや」などのボーカル楽曲は、社会的ブームになったのです。
映画音楽としてアニメーションのヒットに貢献するに留まらず、RADWIMPSによるサウンドトラックアルバム「君の名は。」、そして前前前世などのボーカル曲を収録したアルバム「人間開花」がいずれも好セールスを記録しました。
前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV
映画のメインテーマといえるこの楽曲「前前前世」は、野田洋次郎ならではの歌詞表現と、RADWIMPSのまっすぐでありながら一筋縄ではいかない楽曲アレンジが、高校生を主人公とする映画の「青春」と「奇跡」を、完璧に表現しています。
最新作「天気の子」もRADWIMPS!
そして何より期待されるのが、前作に引き続き音楽を担当するRADWIMPSでしょう。今回も劇中音楽の全てを担当しており、ゲストボーカルに女優の三浦透子を迎えるなど、前作とは違ったアプローチで、RADWIMPSは「天気の子」にケミストリーを起こすはずです。
記事の冒頭で紹介した特報映像「予報②」では、早くも主題歌「愛にできることはまだあるかい」の一部を聴くことができます。
世界の巨匠となった、新海誠の織り成す新しい物語に、世界中の人々はもう酔いしれる準備ができています。
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TEXT 武山和正