古墳とは?サクッと解説
古墳とは、サクッと言えば古代の権力者が埋葬されたお墓です。縄文時代、我らのご先祖様たちは、まだ狩りで獲物を捕らえて生活をしていました。弥生時代になって稲作が伝来すると、ご先祖様たちのライフスタイルは、獲物を追う移住生活から、稲作による定住生活へとシフトチェンジ。
“もう、命がけで獲物を追わなくていいんだ。稲作最高!”という感じの、まさに劇的ビフォーアフターでした。
人々が定住すると、そこには自然と集落が出現し、貧富の差が生まれ、豊かな者が権力を握って支配者となります。そして権力者たちは、自らの力を世間にアピールするため、競ってデカイお墓を建てるようになりました。
弥生時代が終わり、権力者たちによる空前の巨大墓ブームがピークを迎える「古墳時代」がやって来たのです。
この時代に造られたお墓の数々が、今なお、古墳として日本各地に点在しているのです。
今、古墳がアツい!その理由は?
古墳人気は、実は数年前からジワッと来ていました。その理由は、“形がカワイイ”“ロマンを感じる”など様々。2013年には、奈良県明日香村のキトラ古墳の石室公開に見学希望者が殺到し、2019年、大阪府堺市の「百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産登録が濃厚に。こうして、ついに古墳がスポットライトを浴びる日がやって来ました。
世界遺産効果で、古墳グッズが大人気。古墳クッション、古墳ふせんなどの雑貨から、古墳ゼリー、埴輪プリンといったスイーツまで。古墳カフェや古墳カレーのお店も有名です。
小学生古墳王子のツイッターが注目を集め、古墳フェスなるイベントも目白押し。
今まで静かに眠っていた古代の権力者も思わず目覚める、現代の古墳ブームが到来しました。
ウキウキ感がハンパない!古墳マニアの夢って一体?
2012年にリリースされたレキシの『古墳へGO!』は、着々と近づきつつある古墳ブームに向けての、古墳マニアの胸の高鳴りを現したような一曲です。まだ“古墳が好き”とは大っぴらに言えなかった時代に、古墳マニアが心に思い描いた夢を、『古墳へGO!』の歌詞とともに追って行きましょう。
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大きさとか 形とか
こだわってない こだわってない
年代とか いきさつとか
こだわってない こだわってない
≪古墳へGO! 歌詞より抜粋≫
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まるでファンクミュージックバンドのアース・ウィンド・アンド・ファイアーかと思わせる、陽気なファンキーサウンドに乗ってスタートする『古墳へGO!』。オシャレな若者がクラブに繰り出すように、古墳へ繰り出す古墳マニアのウキウキ感が伝わって来るイントロです。
さて、古墳と言えば、ほとんどの方が学校の教科書にも載っている、仁徳天皇陵の前方後円墳をイメージするのではないでしょうか。
しかし、実際には古墳の形は実にバラエティに富んでいます。円墳、方墳、六角墳、帆立貝式古墳などなど、代表的なものだけでもザッと20種類近くに上り、大きさも、日本の巨大古墳第1位に輝く仁徳天皇陵の全長486mから、全長約3mの小型のものまで種々様々。
また、約400年にも渡った古墳時代には、造られた年代や埋葬された人の身分により、埴輪などの副葬品に違いが現れます。
古墳マニアともなると、そんな基礎知識はもちろんの事、様々なトリビアも網羅して、さぞうんちくを垂れるのだろうなと思われがちですが、意外にもそうではありません。
古墳マニアは、知識よりも長い年月を超えてそこに存在しつづける、古墳そのものを愛でるのです。
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今日は古墳へGO! 古墳へGO!
晴れたら車に飛び乗って
≪古墳へGO! 歌詞より抜粋≫
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明日は古墳へGO! 古墳へGO!
雨なら電車に揺られて
≪古墳へGO! 歌詞より抜粋≫
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晴れならもちろん古墳日和。もし雨でも、多少の雨など古墳マニアにとっては大した障害ではありません。
古墳感が強まって行く景色を眺めながら、電車に揺られるのもまた乙なもの。雨に濡れた古墳は、いつもとは違う表情を見せてくれるのだから。
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アクセスとか 駅近とか
こだわってない こだわってない
≪古墳へGO! 歌詞より抜粋≫
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北海道を除いた日本全国の古墳の総数は、約20万基にも上ります。とはいえ、古墳時代の人々が“未来の人たちが古墳巡りをするだろう”と想定して古墳を作るはずもないので、現在では、恐ろしく辺鄙な場所にあるかと思えば、住宅地のど真ん中に堂々と鎮座しているものもあります。
そんなアクセスの違いも古墳マニアにとっては楽しみの一つ。
千年以上も前に造られた場所にそのまま存在し続ける古墳たちの姿に、古墳マニアは古代ロマンを感じるのです。
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ただあなたと二人で行きたい
≪古墳へGO! 歌詞より抜粋≫
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古墳マニアは基本的に単独行動、もしくはマニア同士の少数で行動します。それは、“古墳に興味のない人を無理に誘うのも申し訳ない”という気持ちと“人に気を使わずに思いっきり古墳を堪能したい”という二つの気持ちがそうさせるからです。
とはいえ、古墳マニアだって人の子。他のみんなと同じように彼氏彼女が欲しいと考えています。そして、大好きな相手と一緒に大好きな古墳を見に行く、それは、古墳マニアの究極の夢なのです。
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ただあなたが楽しんでくれるかが
気がかり…
≪古墳へGO! 歌詞より抜粋≫
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“明日、飲みに行かない?”と誘うより“明日、古墳行かない?”と誘う方が明らかに勇気が必要です。そのハードルをクリアして、見事に古墳デートが実現したとしても、その後には、大好きな人が古墳を楽しんでくれるかどうかという不安が湧いてきます。
古墳マニアにとって古墳を否定される事ほど辛いものはありません。
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小高い丘見て あなたは言う
「ねぇ あれも古墳なの?」
ちがうちがう あれは古墳じゃない
そんなやりとりが Yeah!
≪古墳へGO! 歌詞より抜粋≫
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この歌詞が、この曲のクライマックスです。
古墳には、国の史跡に指定されている立派なものから、放置されている無名のもの、古墳なのか塚なのか見分けがつかないもの、さらに、不要となった土が盛られただけの残土などがあり、古墳マニアは、お寺や神社、公園などのこんもりとした墳丘状のものを見ては“これって古墳かな?”“いや、違うだろ”“でも、このなだらかな斜面は古墳っぽくない?”“うーん。確かに”などと議論を交わし、これこそが、古墳巡りの醍醐味となっています。
“もし、こんな会話を大好きな人と交わせたら…”そう考えるだけで、天にも登る気持ちになる古墳マニア。それが実現した時の気持ちはとても言葉では表せません。「Yeah!」という雄叫びに、古墳マニアの喜びの全てが凝縮されているのです。
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僕らが行く その先に
古墳はあるから
≪古墳へGO! 歌詞より抜粋≫
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各地に点在する古墳は、超有名な古墳でなければ以外と身近な場所に存在します。
ちょっと検索してみれば“えっ、こんな所に?”と驚く方も多いはず。
この週末、もし晴れたなら、あなたも出かけてみませんか、『古墳へGO!』を聴きながら、古代ロマンの旅へ!
TEXT 岡倉綾子