「木登りする人」ってどういうこと?
木村カエラの2006年の楽曲『TREE CLIMBERS』。サザンの桑田佳祐が自身の番組で「寅さんが選んだ21世紀ベストソング20」の第1位に選んだ曲でもあります。
「木登りする人」を表すタイトル。「木登りする人」とは何を意味しているのでしょうか?
TREE CLIMBERS
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We live in tricks played by destiny.
That's scary.
But I wanna go against it.
1.2 Step down into the past world.
Take back joyous and innocent feelings
[日本語訳]
私たちは運命のいたずらの中で生きている
恐ろしいったら!
でもね、私はいたずらに逆らって生きたい
だから過ぎ去った世界に1!2!で飛び込むよ
喜びに満ちた無邪気な子供の気持ちを取り戻すんだ
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という歌詞で始まることから「運命にあらがう歌」であることが分かります。
『TREE CLIMBERS』というタイトルが「joyous and innocent feelings」の象徴なんですね。木登りという行為が喜びと純粋さを表しているというのが面白いですね。
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なんでも勝手にいけるとばっかリ 勘違いしてるんじゃないけど
真剣だ それが人間だ
ねじ込むんなら 押し込むんだぜ
≪TREE CLIMBERS 歌詞より抜粋≫
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人間なら自分の気持ちをねじ込んで押し込めという強い歌詞。「けど」とは言っていますが「なんでも勝手にいける」と思いたいという気持ちを大切にしています。
しかし「くるり くるり 戻り」「ゆれる ゆれる melody」と続く歌詞。力強く宣言しても自分の中では揺れているという歌詞が来ます。
でも木登り少年のような純真さで「day by day」日々、「play my hunch」自分の直感を信じて生きたいという歌。
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興味ない 知るわけない
すぐ そこにあるなら
幻だ そう それを
私いただきましょう
今日すら進めない 子供の私はね
明日も進めない 大人の私になる
≪TREE CLIMBERS 歌詞より抜粋≫
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純真さは普段「すぐそこにある」ものなので「興味ない」と思いがち。「幻」ばかりを追っている自分は「今日」も何も進めることができない実行力のない「子供」のようだし、このままでは何事も諦めて先へ進めない「大人」として明日をむかえるだろう。
このパートはそんなネガティブな感情を表現しています。
マイナスをプラスに変換する力を
木村カエラは作詞する際に、先にすべてのネガティブな感情を書き出してからポジティブな要素をひろっていく、肯定的なものに変えていくと言います。
歌手デビューしたばかりの頃「モデルがちゃんと歌手やる気あるのか」という目で見られていた面もある木村カエラ。そんな彼女の葛藤が端的に表現されたフレーズです。
「進めない」心理や「けなし」「ゆれる」感情を持ちつつも、子供も大人も越えた「純真さ」で日々「直感」を信じて生きる人。そんな人を「木登りする人」にたとえ、そんな人になりたいという願望と、なる!という誓いを込めた曲なのです。
この曲は木村カエラのライブでも定番の盛り上がるナンバー。ただの勢いだけではなく、強いメッセージが込められているところが木村カエラらしいと言えます。
●TREE CLIMBERS / 木村カエラ
TEXT:改訂木魚 (じゃぶけん東京本部)