この記事の後半では、鮮やかな彼女のラリーも感じていただきたく、会話をそのまま生かした。ここらへんも、大城美友の人となりとして楽しんでいただけたら、これ幸いです。
グッズでロールケーキ!?
──沖縄産まれ。夏の暑さには慣れているのでは?
大城美友:炎天下の沖縄で育ったので、大丈夫だろうなと思ったんですけど、東京は暑さのジャンルが違って。身体がまだ慣れていないですね。
沖縄の方がカラっとしてるし、風もあるし。地面からくる怖いジメジメが恐ろしい。普段、用事がなかったら家から出ませんね。
──そんな中でも、真夏を楽しくすごすコツと言われたら?
大城美友:基本、外に出るタイプじゃないんです(笑)。でも、真夏、1日を快適に過ごすなら、家から出ない。
──ははははは(笑)。
大城美友:すみません!
──家の中の過ごし方を教えてください。
大城美友:友達呼んで、自分で作ったケーキとか出して、ずっと話したりして。家カフェですね。小さいころからお菓子作りが大好きで。得意なのはロールケーキなんですけど、たくさんの人に食べて欲しいんですね。
いずれライブのグッズとかで、ロールケーキ作りたいなと。なんなら「大城美友のロールケーキ」を(ライブに来た)お客さん全員にあげたいくらい。
──例えば、ビルボードでライブをする際、よくオリジナルカクテルを出したりしますけど、それのロールケーキ版、みたいな。
大城美友:まさに、まさに!いいですね。是非、やりたいです。
──新しい(笑)。ケーキ作りと、曲作り。「自分の得意技」とか「特徴」というと?
大城美友:基本、シンプルなんです、なんでも。ロールケーキも、シンプルなんですね。私、デコレーションとか苦手なんで、味で勝負というか。そういう部分は、曲作りや歌詞にも通じてると思う。
出来上がる曲も本当にシンプルで。出来上がった後、アレンジャーさんに色付けしてもらうって形なんですよね。
自分の歌声について
──じゃあシンプルというキーワードから。シンプルなものってごまかしがきかないとも思うんですよ。それを他人に出す、聴かせる、見せるってことに対して怖さはない?大城美友:ないです(きっぱり)。元々、自分の持っている声とか、閃きとかを信じてるから。私、勝負派なんですよ。わからないけど、勝負していこう、っていう。
──そうやって、生きて来た?
大城美友:そうです。ずっとそう。歌声については、常に自分の声がどういう形でいけば引き立つかっていうのを考えていて。周りの方が「美友ちゃんの歌声は、ギター1本でいい」と言ってくださるのも、自信につながってますね。
──自分の歌声を意識したのはいつくらいですか?
大城美友:小学校の頃「歌がうまいね」って言われてたんですけど、その時は、まだ自分の歌声がどういうものなのか、どういう曲に合うのかなんて考えたこともなかったんですよね。
その後、受けたオーディションに課題曲があって、それがたまたまロックだった。初めてロックを歌ったんですけど、その時、めちゃくちゃ歌声を褒められたんです。
──歌が上手い、じゃなくて、歌声がいい、と?
大城美友:そう!
──素敵なエピソードですね。
大城美友:でも、その時は「歌が上手いって言われたいんだけどな。歌声がいいっていうのは、歌が下手くそなのかな」って思ってたんですね。今となっては、すごくありがたい褒め言葉だと思うんですけど。それから「歌声がいい」って言われることが多くなって、今はもう「私の売り物は完全に声だな」と。そういう自信に変わっていきましたね。
でも、まだまだだとも思うので、また今、自分にしか出せない声を研究中というか。これまで以上に、自分の歌声を意識してますね。
曲作りについて
──なるほど。曲作りはどうやって?
大城美友:曲を作る時は、いつも悲しかったり、悔しかったり、腹が立ったりってことが出来てるから、人に何かを伝えたいってよりも、自分の気持ちを書いて歌にしちゃう。
私、すぐ人を信じちゃって、裏切られたりして、傷ついたり、悲し思いをすることが結構あるんです。でも、ここがあるから大城美友でいられるんだと思うし。人の気持ちをすごく気にしちゃって、例えば相手の悲しいエネルギーとかも吸い取っちゃうから、それが混ざって、自分と重なって、何かが産まれてくる。それが曲になるんです。
だから、生まれた時点で私だけの音楽じゃないのかなと思うんですよね。
──アルバム『MI-JUNGLE』のタイトルはどこから?
大城美友:『MI-JUNGLE』のジャングルは私の頭の中を現してて、ごちゃごちゃしててまとまらない、自分のこともわからないっていう。沖縄の家の近くに、すごく大きなガジュマルの樹があるんです。もう、100年以上生きてる。
そのガジュマルにパワーをもらいに人が集まってきたりするんですね。そういう意味で、大城美友美友っていう太い根っこをはって、たくさんの人の気持ちと絡んで、大城美友の大きなジャングルを作ろう、と。
──楽しいことや嬉しいことっていうのは、歌になりにくい?
大城美友:そうなんです。楽しいときは、曲に向かってないんです。気が付いたら、いつも悔しいとか、悲しいとかって時に曲作りをしてる。