私、中間が無いんですよね
──例えば、すごく仲の良い友達とかが結婚するとかなったら、その気持ちを持って曲はかけそう? それともそういう感じもまったくない? どう?そういう機会、これからありそう?大城美友:あははははは(爆笑)。ありそうって、いいですね(笑)。
──(笑)結婚する親友に向けて書いた曲……みたいな曲、結構あるからさ。そういう気持ちはどう処理するのかな、と、。
大城美友:1度、挑戦したんですよ~。
──もうやってるんだ?
大城美友:はい! でも、ぜんっぜんダメでした!(爆笑)。
──あははははは(笑)。どこらへんでダメって思ったの?
大城美友:歌えないっていうか。自信を持って「聴いてください」って言えない。なんか違う。
──違和感があったの?
大城美友:はい、すごくありましたね。
──こう……自分じゃない違和感、みたいな?
大城美友:そうです、そうです。
──そうか。なるほど。シンプルでありたい、正直でありたいって思うラインが厳しいという感じなのかな。ちょっとでも違和感があったらダメなんだ。
大城美友:そうなんです。こう……中間が無いんですよね。
──はははははは(笑)。激しい人生だね。これまで、そうだったでしょ。
大城美友:そうなんですよ(笑)。
──でも、今の話を聞いて、さっき言った「私シンプルなんです」って言葉が、すごく説得力を持ってきますよね。
大城美友:あぁ、嬉しいです。
ドロドロの歌詞
──アルバム収録曲の「不器用なエンジェル」は、岸谷香さんのプロデュースですね。大城美友:今回、私のラブコールが香さんに届いて、やっていただくことになったんです。すごくカッコいい方でしたね。
本当にロックな人だなと思ったし。大きな結果を出した人って、どこにいっても芯がぶれないんですよね。それを目の当たりにして「あぁ、すごいな」って思いました。
──「不器用なエンジェル」を作るにあたり、何かテーマはあったんですか?
大城美友:恋愛をテーマにして作ろうっていうのが、まずありましたね。それで私、歌詞を書いて香さんに送ったんですね。でも、幸せな恋愛をまだしたことが無いので、ドロドロなものに……。
──ははははは(笑)。正直ですね。幸せな瞬間っていうのもあっただろうとは思うけど、そういう感情で、曲を作ってないってことでしたもんね。
大城美友:はい。そしたら香さんがいい感じでポジティヴにしてくれたんです。私では絶対に出てこない曲調だったり、歌詞だったりして、新しい発見もたくさんあった。例えば「ノミのハートなんです」ってフレーズとか。私は自分自身がわかってないから、出てこないと思うんですね。これで「そうか、私はノミのハートなんだな」って思ったり(笑)。
──歌ってみてどうでした?
大城美友:すごく音域が広くて難しい。でもあと100回歌ったら完璧。
──100回か。道のり、結構長いね。
大城美友:うん(笑)。でもさ、身体に染みこませるには時間が必要なんだよね。何回も、何回も。歌が入るまで。
──自分が作った歌でも?
大城美友:それは無い。
──あぁ、そうか。自分で作ったものは、他の人感情も含めて、インプットされたものをアウトプットしているのか。でも「不器用なエンジェル」は、曲そのものをインプットするところから始まるってことか。
大城美友:そうそう。だからすごく難しい。でも楽しいんですよね。新しいものがどんどん入ってくるから、気が付いて、それで成長する自分がいるから。
枯れることを突き抜けた!?
──アルバム『MI-JUNGLE』の中では「ロックん女」が印象的でした。他の曲と比べると、この曲だけ、言葉使いがダウトだなぁと。大城美友:そう、ちょっと言葉使いが汚いというか。
──そうですね。
大城美友:この「ロックん女」が1番、私そのものです。
──この曲の「枯れるほど輝いてしまえ」ってワンフレーズがすごいなと思った。
大城美友:この歌詞は、もう……自分を下にみちゃってますね。だけど、「枯れることってカッコ悪いことじゃないな」って思えたんです。「私に合ってるじゃん」って思った。
──そう思った時、自分はどういう状態だったの?もう少し詳しく教えてください。
大城美友:えーと……枯れることを突き抜けてしまったんですね。中途半端に枯れなくて、枯れ尽きたら、輝きがみえて来たんですよ。自分がやってることに対して。枯れ切ったって感覚があったんですね。
──出し切ったではなく、枯れ切った、と。
大城美友:枯れるって状態には、ちょっと悲しさもあるんだけど。
──なんか……もう、本当に忙しいよね。激しい日々だよね、きっと。
大城美友:本当に。もう毎日、気持ちが忙しくて。もう大変。
──そうか。気持ちが忙しいと溢れちゃうよね。ダダ漏れとも言うけど(笑)。
大城美友:そう。曲作って、歌詞を書くときと、全然まとまりがつかないんですよ。でもこの「ロックん女」は一瞬にしてまとまりましたよ。
──この曲のブルージーな感じとか、シンプルなギターの弾き語りアレンジとか、大城さんの歌声の良さがすごく生きてると思った。
大城美友:すごく嬉しいです。他の曲ももちろん好きですし、「不器用なエンジェル」とかはもう、これまでにない大城に気づかせてくれる素晴らしい曲なんですけど、この「ロックん女」は、また別の角度から魂を込めた曲なんですね。
──大城さんの曲の作り方は、とても自分を消費する手法だと思うんです。どうやってエネルギーをチャージしてるの?
大城美友:エネルギーは……そうですね……もう……本当、意地ですね。曲は作るしかないし。歌い続けるしかないですから。
Text 伊藤亜希
Photo 岸豊