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【インタビュー】LUNA SEA、J「自分の経験だけが情報」ニューアルバムで証明した『Limitless』 (3/3)


『at Midnight』の歌詞を紐解く

──そして次の『at Midnight』なんですけれども、この曲はJさんの人生のどんなシーンを切り取った曲なんだろうというのが気になりました。若い世代にも特に寄り添ってくれるような歌詞なんじゃないかなと思ったりしました。



J:タイトル通り、真夜中にふと思ったことを本当にそういう普通の日常の中にある孤独感みたいなものを共有できるような歌詞が作れたらいいなというか、みんなのイメージが重なり合えればいいな、なんていうふうには思っていました。

最近はあんまり夜中とか遊んではいないけれど、東京に住んでいて、そんな生活をしていたときに見ていた景色みたいなもの。

ワーッと盛り上がっているんだけれどもぽつんと空白が生まれるというか、ブランクを感じたり、それを埋めるために無理をしたり、でもそういったテンション、そういった風景みたいなものを封じ込めたかった。

でも決してそれが全然絶望的な孤独じゃないんだよというのを感じ取ってもらえたら嬉しいな、なんて。


──「絡み合う 孤独のメロディー」と歌詞にある通り、絡み合うということは、絡み合うものや相手があるということだし、行っていることとは相反するようですけど、絶望的な孤独じゃないと先ほどおっしゃられたような思いがこの少ない言葉に封じ込められているようです。

J:自分も歌詞を書くとき、無理やり言葉を探すことはなく自然に入っていけたので。曲とともにいい感じになったかなとは、すごく思っています。


──曲作られるときは、ベースを弾きながらそのままメロディーと歌詞まで一緒に出てくるような感じなんですか?

J:みんなに聞かれるんですけれども、LUNA SEAの時もそうだけど、曲ができるときって全部がバラバラじゃないんです。まず想像した時から全部が見えているので、それを形にしていくだけというか。

ドラムもベースもギターもボーカルも、全部一緒になって聴こえるので、それを目に見えるようにというか、みんなに聴こえるように楽器に置き換えていっているだけというか。不思議なんですけれども(笑)。


──凡人には分かりえない感覚です(笑)。

J:いえいえ、皆さんも鼻歌歌わないですか?


──鼻歌歌います!でもアレンジまでイメージして鼻歌なんて歌わないですよ(笑)!

J:でも誰の曲でもない鼻歌とかって歌ったりするでしょう、それと一緒ですよ!

それにドラムどういうのがいいかなって今度考えてみてください!みんなすごい作曲家だったらどうしよう(笑)。

ギターはどういうふうになっていてほしいかなとか。


──ギター、弾いたことないです…。

J:みんな感覚的に絶対的に持っているものだと思います。だって行っちゃいけない音って分かるでしょ?

ここ行ったら外れるな、気持ち悪いなって。それって絶対的に感覚的に人として持っているから。音には行ける場所というのがあって、それがスケール。それを繋いでいけば曲になっていくから。

今MacとかでGarageBandとか入ってるでしょ、あれは最高の暇つぶしになりますよ。暇つぶしって言ったら怒られちゃうか。

何小節かのループをずっと組んでいって、これは使える使えないとか、そこから始めていったり。今の時代は楽器が弾けなくても頭の中でそういうことができれば、世界はとれるんです。


──できないって思いこんでいただけかもしれない…それこそリミットレスですよね。やはり今作に『Limitless』というタイトルがついたのはJさんの中に変わらずそういう意識があるからなんでしょうね。

J:そうやって生きてきてしまっているので、ガキの頃には本当に勉強もできなかったし、学校の音楽もできなかったし、運動だって一番取れなかったし、そんな中で出会ったバンドだったり音楽だったりした、自分がムキになってがむしゃらになれるものがあったのは俺は幸せだったとは思う。

仲間に会ってからはもう、全部自分たちがやればやるだけ形になっていったから、全然夢物語じゃないというのも知っているんですよね。だからみんななんでやらないのかなと思うし。


──すごく勇気が湧きます。

J:当然リスクはあるよ。当然あるんだけれども。


──きっとそのリスクが見えることが挑戦する気持ちより先に立ってしまうからできない。今は情報が多いから、知った気になって自分で壁を作る人が多いんですよね。

J:そうそう、だからそういうのを簡単に信じちゃダメだよね。自分でもこの年になって、大人になってそうだなと思わされたこともすごくあるので。

僕のバンドの先輩が「こういうネット社会とかになっていろいろな事が見れるよね、いろいろな風景でどこか行かなくなってそこの場所に行った気分になれるでしょう。でもそれっていうのは本当の情報じゃないんだよな」って言っていたんですね。

本当は「自分で行ってみて感じたことだけが情報だから」って。山に登った大変さとか、行ったところの寒さとか暑さとか、そういうのまで分からないわけじゃないですか。

そういえばそうだよな、人生に置き換えてみたらやってないことをやったことのように感じてることのほうが退屈だよねと。本当にそう思うんだ。


人生最強のマインドで周ったツアー

──最後に『Love Song』についてのお話も伺わせてください。歌詞の「逃げ出した自分の影を 君の中に見つけた」ってフレーズにもたせた背景や、この感覚について教えて下さい。



J:読んでそのままなんですけれども、自分自身の弱さみたいなところがすごいみんなと重なるところがある、誰にでもあるというか、誰もが特別じゃないでしょというところを言いたかったというか。

得意なところもあれば不得意なところもあったり、逃げ出したくなるような瞬間も当然誰だってあって。今そうじゃないやつもいれば今絶賛逃げているやつもいれば、そういうことも全部、仲間というか。


──このフレーズを受けて、Jさんはそういう痛みとか弱い部分を持っている子に、"この子を守りたい"とか、愛しいって気持ちを抱くようなタイプなのかな?って思ったりもしたんですよ。

J:そうかもしれないですね。さっきの経験の話じゃないけれども、それぞれがそれぞれの何かに向かって戦っているわけじゃないですか、そういった時にそれすら愛おしく思えるというか。そんな気はします。


──まさに愛の歌ですね。この『Limitless』を提げてのツアーも行われましたが、その感触はいかがでしたでしょうか?

J:すごいかっこいいアルバムができて、それをひっさげた全国ツアー、全国各地、4年ぶりの新しいアルバムだったので各地でものすごい盛り上がったライブになりました。

ともすればさっきの話じゃないですけれども、自分自身がだんだん音楽に対して情熱とかが薄れていくようなことがあってもおかしくないような年代にもなってきているし、でも、不思議なのが、やればやるほど熱がどんどん強くなっていっているのを感じるんですよね。

自分でもそれを面白がっているというか、今の今までの経験と知識とそして一番最初に音楽に出会った時の初心というか初期衝動みたいなものを両方持って向かって行けることにすごく自分自身もドキドキしています。

この場所まで来られたのはずっとサポートしてくれたみんなのおかげだし、だからこそこれからもすごいことをやっていきたいななんていうふうには思っています。

──これからも凄い事をやっていくJさん、楽しみにしています!それではインタビューは以上になります、ありがとうございました!

J:ありがとうございました!

Text&Photo 愛香

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この特集へのレビュー

女性

2019/09/06 13:31

歌詞のバックボーンは案外なかなか出てこないインタビューなのでうれしい。Jさんの歌詞は、いろんな人にうんうんと思わせる汎性がありながら「ああこれは自分のことだな」とフッとふところに降りてくる言葉が沢山あるのは、こういうご自分の感じた経験したことの結晶からだからなんだな、という感じ。軽やかでいい切り口のライターさんだ。突き放された感じ、というのはそれこそ「ジェーイ!カムバッーク!(馬上の背中に向かって)」という、良すぎる余韻のことではないかな?分かる。ライターさんの世代的に出てこない例えかもしれないんだけど。

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