2015年11月30日『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家水木しげるが亡くなりました。
ゲ♪ゲ♪ゲゲゲのゲ♪で有名な鬼太郎ですが、水木しげると縁のあった電気グルーヴの鬼太郎曲をご存知でしょうか?
電気グルーヴの『モノノケダンス』って?
電気グルーヴの『モノノケダンス』は、アニメ『墓場鬼太郎』主題歌。『墓場鬼太郎』は、『ゲゲゲの鬼太郎』の元になった貸本漫画のアニメ化作品。鬼太郎は、もともと怪奇紙芝居を貸本漫画にした作品です。結構ブラックな内容が特徴。鬼太郎も登場しますが、正義のヒーローではなく、怪しい子供です。
このOP曲は電気グルーヴが持っているPOPな雰囲気、墓場鬼太郎の不気味さが見事に融合している曲。
近未来的な音とイラストが絶妙マッチ
この曲が軽快に流れるオープニングのアニメ映像も素敵。近未来的な音を扱う電気グルーヴの曲と、古来からの妖怪を描いた水木しげるのイラストが絶妙にマッチしているのです。----------------
黒い闇の中 物の怪がダンス
暗闇の奥で 物の怪のダンス
ベランダで見てる 物の怪でヤンス
消えて現れる 物の怪スタンス
≪モノノケダンス 歌詞より抜粋≫
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「黒い闇の中で物の怪がダンス」という歌い出し。怪しい雰囲気に引き込むスタートです。
「ベランダで見てる物の怪でヤンス」「消えて現れる物の怪スタンス」ダンス、タンス、ヤンスなどの韻の踏み方もさすが。暗闇の中やベランダに潜む物の怪を描きだしていきます。
----------------この歌詞の部分は音が高くなり、一番盛り上がる箇所。石野卓球の声が響きます。この歌声も魅力。物の怪がいたるところに潜んでいても、誰もかまわない、実際のところ何も気付かない、ということを歌っています。
誰も一切かまわない
何も実際
≪モノノケダンス 歌詞より抜粋≫
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歌詞がまさに水木しげるワールド全開!!
この歌詞はまさしく水木しげるワールドそのもの。人は文明の恩恵に慣れて、自然に潜む物の怪のような存在を忘れてしまうのです。電気グルーヴは、最新の音楽の力で新たに物の怪を探そうとしています。
MVの紙のアニメーションも面白い作品。こなきじじい風のピエール瀧と猫DJ風の石野卓球が登場します。MVのオチも衝撃的なので、ぜひ観てほしいですね。
カップリングのトランプ重井の『有楽町で溶けましょう』も電気グルーヴならでは。フランク永井の「有楽町で逢いましょう」のパロディで、ピエール瀧が良い声でムード歌謡を歌い上げます。
ピエール瀧はこの曲発表から数年後、アナ雪のオラフの日本語吹き替えを担当しています。歌って踊る雪だるまは、まさにモノノケダンス。ある意味伏線だったんですね。
天国の水木しげる先生もこの『モノノケダンス』で踊る妖怪たちを見守ってくれていると思います。
わくわくする妖怪漫画をありがとうございました。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)