モーニング娘。‘15『今すぐ飛び込む勇気』 。トリプルA面シングルの中の一曲。モー娘の曲ですが、珍しくつんく曲ではありません。たいせー曲です。歌詞は児玉雨子、三浦徳子。
この曲では、佐藤と野中がセンターでスタートします。これまでセンターに選ばれてこなかったこのメンバーが選ばれた意味。10期と12期から始まるということ。いよいよ鞘師9期より後の世代に中心がシフトしてきていることが分かります。
エキセントリックなキャラクターでありつつも、歌唱力とダンスの実力を上げてきている佐藤優樹。そして、帰国子女で英語が堪能な野仲美希。これからのグループを支えていく2人です。
「『こども扱いしないで何でもわかる』 そうつっぱねて大人へ 成り急ぎ
出来ないことが多くて もどかしくって 先行く人の背中を 羨んだ」
この歌い出し。これはメンバーがまだまだ実力が伴わないもどかしさを歌詞にしています。先行く人は、歴代の先輩メンバー。直近でいえば、田中れいなや道重さゆみといった卒業した先輩の背中を追いかけているわけです。歌唱力でいえば田中に、トーク力で言えば道重に匹敵するメンバーはまだいません。先輩の背中を羨むようなことも多いのですが、そこを超えて自分たちの良さを新たに作っていくのが現役モー娘。メンバーに託された使命。このグループの良さです。
“ぼくたちの この目と 耳で今なら 新しい道へ 進めるはずだよ
ぼくたちは 魂 置き忘れては 嫌いな言葉に 耳を塞いでた”
ここで鞘師の歌割りが入ります。2015年末に卒業する鞘師が「新しい道」と歌う歌詞。これは鞘師が卒業して新しい道を歩み出すこと、そしてモーニング娘。が更に新しくなっていくことを指しています。
この箇所は2番では「ぼくたちは 魂置き忘れては 嫌いな言葉に 耳を塞いでた」となります。ここの歌詞も良いですね。魂を置き忘れて無理しているだけの活動というのはボロが出てきてしまいます。嫌いな言葉に耳を傾けることも大切。メンバーに対するメッセージなんですね。ここが天真爛漫でおかしな発言も多い佐藤のパートというのもポイントです。
“さあ、時の流れ さあ、今すぐ滑走路にしては
水鳥みたいにね そう 飛び立とう”
「さあ、時の流れ、さあ今すぐ滑走路にしては 水鳥みたいにね そう 飛び立とう」と歌う爽やかな曲。水鳥が水面を蹴って飛び立つ姿にメンバーを重ね、さらなる飛躍を実現させて欲しい思いが込められています。「さあ」が2回入りリズムを形成。これにより歌の気持ちが前に出てきます。
今すぐ何かをやりたい人の背中を押す曲です。現代日本は何かに新しく挑戦するという意気込みに欠けるところがあるので、こういう今すぐ飛び込もうという曲は貴重ですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)