初音ミクとの出会いから始まる物語
SakuraiとKimuraによる2人組ボカロPユニット『Omoi』。初音ミク「マジカルミライ 2018」のテーマソングとなったのが『グリーンライツ・セレナーデ』です。
「盛りあがる曲にしてほしい」という依頼を受けて作曲作詞が行われた、聴く人の心を感動で埋め尽くす理由は、はたしてどこにあるのでしょうか。
その理由を探る為、歌詞の意味を彼ら自身の言葉も含めて考察していこうと思います!
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照らし出して! グリーンライツ
広がる未来を きっと いつか
キミを照らすまで
≪グリーンライツ・セレナーデ 歌詞より抜粋≫
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歌詞の登場人物である「キミ」に待つ、眩しい程に輝かしい未来の存在をイメージさせてくれる歌詞。
正しく「盛り上がる曲にしてほしい」という依頼通りの、明るく華々しい出だしから始まった楽曲と言えましょう。
続く歌詞でも、そんな華々しい未来への前兆を語るような歌詞が綴られています。
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改めて言うことでもないけど
今だからこそ言わせて
あの日キミが見つけてくれること
何となく予感してたんだ
≪グリーンライツ・セレナーデ 歌詞より抜粋≫
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どうやら「キミ」と主人公が、出会った日の出来事が歌われているようです。
「キミ」が見つけてくれることを何となく予感してたんだという歌詞からは、2人の出会いが出会うべくして起きたと語っているようです。
そう感じてしまう程に、今の2人にとってこの出会いは大事なものであったのかもしれません。
もしかしたら主人公こそが、マジカルミライの主役である初音ミクをはじめとしたボカロなのかもしれません。
「見つけてくれた」という歌詞から、自分からは見つけて欲しいと声をあげる事ができず、出会ってくれる人をただ待つしかできない「機械」としてのボカロの側面を感じられます。
初音ミクと「キミ」の出会いから始まる物語。
それがこの楽曲で綴られているものなのかもしれません。
初音ミクと共に走り出した「キミ」とは
次は「キミ」が一体どんな人物なのかフォーカスをあてましょう。
ヒントは、最初のサビの中にあると思われます。
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走り出した キミにもっと
チカラをあげたくて
ずっと 前に ココロ決めたんだ
照らし出して! グリーンライツ
遥かな未来を
きっと いつか キミを照らすまで
≪グリーンライツ・セレナーデ 歌詞より抜粋≫
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どうやら主人公は「キミ」の「チカラ」になりたいと思っているようです。
「走り出したキミ」という歌詞からは、何かに向かって挑み始めた「キミ」の姿を想像する事ができます。
機械の歌姫である初音ミクが「チカラ」を貸せる相手となれば、考えられる存在は1つ。
彼女を歌わせることができるボカロPの存在です。
また2番の歌詞にて、このようなフレーズも存在しています。
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言葉は時に無力でなかなか
この世界は変わらないけど
もしキミが持ってるその魔法で
新しい世界を作れるとしたら?
なんてね 言ってみただけ
そんなの本当は 出来る訳ない
≪グリーンライツ・セレナーデ 歌詞より抜粋≫
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「言葉」の無力さを歌った歌詞。
自分の言葉のみで何かを伝える事ができず、その無力さに打ちひしがれている「キミ」の姿が想像できます。
しかしそんな「キミ」に「チカラ」を貸したい主人公。
「言葉」だけでは無力だったところに、主人公が歌声とキャラクター性を添える。
そうすることで「キミ」の伝えたい事を多くの人に伝えられます。
主人公は、その「チカラ」になりたいと願っているのだとすると、相手はやはりボカロPといった作り手であると想像ができます。
楽曲のタイトルにある「グリーンライツ」は「青信号」を意味する言葉です。
Omoiは、青信号を「前に進む」という意味として、楽曲名にした事を明かしています。
もし「キミ」がボカロPであるのだとすれば、ボカロはボカロPを勇気づけていると解釈できます。
さらにボカロPは、諦めかけていたものを叶える為に、再び前に進みだす兆しを感じる事ができるのではないでしょうか。
「キミ」の言葉に隠された感動の理由
なぜ、楽曲の制作者でない第三者の視聴者までもが、感動する事ができるのでしょうか。その理由は「キミ」に隠された、別の意味にあると思われます。
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振り返ると遠く手を振ってくれるキミも
この先のどこかで出会えるキミも
誰にも真似できない あなたを抱きしめて
虹色の輝き 間近で見たいから!
≪グリーンライツ・セレナーデ 歌詞より抜粋≫
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楽曲の最後の歌詞。
そこに新しい2人の「キミ」が登場しています。
この「キミ」は、これまでの「キミ」とは違う人物を指すと思われます。
「遠く手を振る」別れの動作に近しい事をする「キミ」は、きっとボカロから離れてしまった人々の事をさすのでしょう。
同時に「どこかで出会えるキミ」というのは、これから先の未来でボカロと出会うであろう未知なるファンの存在を歌っていると思われます。
私達視聴者も初音ミクが歌う曲に力を貰っている1人である事は確かです。
それはつまり私達もまた、初音ミクから「チカラ」を貰っている「キミ」の一人であるのだということ。
だからこそ、制作者でもない視聴者側も涙をこぼしてしまうのではないでしょうか。
さらにもう一つ。
MVの中では、初音ミク自身が背中を押して貰い、ステージにあがるさまが描かれています。
その光景を含めて考察すると「キミ」を初音ミク自身と捉えた、ボカロP視点の楽曲である場合も考えられるものとなります。
初音ミクは機械の歌姫。
ボカロPがいなければ歌う事もできず、彼らが彼女を求めていなければここまでの人気ジャンルになる事もなかったでしょう。
そう言った意味ではボカロPもまた、初音ミクへ「チカラ」をあげている人物という事になります。
これからも初音ミクと共に歌い、奏で続けたいというボカロPとしての視点で楽曲が歌われている。
そう思って歌詞を見ると、また違った光景と感動がそこに見えてくるのではないでしょうか。
TEXT 勝哉エイミカ