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【インタビュー】SUPER BEAVER「100%客観的になったのは初、そのうえで大好きと思う一枚」

SUPER BEAVERの最新アルバム「アイラヴユー」が完成。普遍的なメッセージがつまった今作品は、まさに今、踏ん張っている人たちにはもちろん、時代を超え人々の心の奥底にあるものを揺さぶり起こす渾身の一枚となった。

公開日:2021年2月4日 更新日:2021年2月7日


この記事の目次 []
  1. ・共感の一歩先を行こうと思った
  2. ・シリアスな声だから苦労した表現方法
  3. ・なぜそれを提示するかを歌えたと思う
  4. ・一人一人の生活に届いてほしい歌
  5. ・ロックバンドだからこそできること
  6. ・プレゼント応募について

共感の一歩先を行こうと思った



──2020年は新型コロナの影響で、思うような活動ができなかった年でもあったと思うのですが、SUPER BEAVERの皆さんはどういう思いで今回のニューアルバム「アイラヴユー」の制作を行ったのでしょうか?

渋谷龍太:年間ライブ約100本というのをずっとやり続けていた自分たちにとって、2020年は人の前に立たせていただいて音楽をやるのは1/10以下、さらに終わりが見えない状況で。ライブを取り上げられた時に、自分にとってどれだけ大きいものかというのは、分かってはいたけれど、ここまで占めていたのかというのは、一度なくしてみて痛感しました。

その上でのアルバム制作だったのですが、こういう状況であるからこそ覚えた気持ちを大事にしつつも、こういう状況じゃなくても歌える歌を歌いたいな、とは思っていて。あまりにも2020年だけを象徴するものになってしまうと、個人的にはおもしろくないな、と考えていたし。この一年を落とし込んでしまうと、今後聴けないだろうなというのは、正直あったんです。だからこの一年はひとつの経験として、自分の糧とした上で、作品づくりに挑もうと思いました。


──確かにおっしゃるとおりです。2020年だけに特化してしまうというのは、狭い見方になってしまいますよね。

渋谷龍太:短いスパンだけで作品づくりを考えてしまうと、すごく偏ってしまうと思うんです。もちろん特色として出るのは作品としては素敵なことかなと思います。でも、今まで我々が歌ってきた曲のことを考えると、今回取り上げた題材や並んでいる曲はそこにフォーカスを当てるのではなく、もっと広い視野でフォーカスを当てられたら、と思いました。


──そうですよね。2020年だけにとらわれないよう、スイッチを入れ替えてお聞きしていこうと思います。ただ1曲目の「今夜だけ」は、動けない自分を見つめる楽曲で、今だからこれが1曲目に来たという曲なのでは、という気がしたのですが。


柳沢亮太:今、渋谷が言ってくれたように、この2020年というものは、僕的にはずっと向き合いながらも抵抗し続けてきた1年だった気はしていて。それだけに影響されたくないという気持ちは一貫してありました。とはいえ、日々の生活にもバンドの活動においても、それから楽曲づくりにおいても、絶対に影響は受けていて。

特に「今夜だけ」という楽曲に関しては、歌の内容としても非常に反映されているというか。どこにも行けない、この場から動けないような気持ちが、そのまま楽曲になっているな、とは思っています。自分としては作った時にちょっと迷ったところもあったんです。「こういった気持ちを歌にしていいのかな?」というか。それくらい、その場にとどまった曲ができたな、と思っていました。

でもこれをメンバーに投げた時に、「今、こういう楽曲って、すごくいいと思う。ぜひとも収録しよう」となって。結果としてはアルバムの1曲目に収録されたことによって、このアルバムの響き方というか、伝わり方の幅がとても広がった、という印象を受けている楽曲ですね。


──「今夜だけ」は一人で語っている曲で、今はこうやって自分の気持ちを開放させることから始めることが必要なのかな、と感じました。

渋谷龍太:この曲はSUPER BEAVERとしては珍しいタイプの曲だと思っていて、今おっしゃっていただいたように独白に近いというか。その1人称の人が一歩も進んでなければ、1歩も引いてもいない。答えらしいものを見つけたようで、ちゃんと答えは見つけられていない。うまく言葉に落とし込むことができない強い気持ち、それがエールに変わる瞬間を、この曲では表現できるような気がしました。

僕は「自分もあなたも、みんなそうなんだよ」というところに勇気をもたらされる、とあまり思っていないんです。「俺もつらい。みんなつらい。だから大丈夫だよ」というのは、どうにも無責任な気がしていて。そのつらい気持ちが分かるといって、楽になるのかといったら、たぶんそうじゃなくて。その先の何かを提示できないことには、誰かに届けたり、誰かの何かを奮い立たせたりすることはできないんじゃないかな、と。

「今夜だけ」は「そうなんだけれど」の先をどうにか表現できたら、ということを、うまく落とし込めている気がしているので、これが1曲目になることによって、アルバム全部が鮮やかになるというか、物語性が生まれるのかな、と思いました。


──今のお話を聞いて思ったのですが、最近とても「共感」が大切にされるけれど、その危うさについても語られるようになってきていますよね。共感がある一方で、批判精神というものも出てくるわけで。両方がないと本当の意味の自由ではない、というか。

渋谷龍太:そう、何か怖いですよね。それこそ「誰も置いてかないよ」と横一列で手をつないでるということは、誰かが一歩先に行くことを許さない、ということとイコールじゃないかと。それって何か「ん?」という。「みんな一緒に」というのが怖いなというのは、すごく思ったので。その一歩先に行く、共感の一歩先に行こう、と。


──演奏面ではいかがでしたか?

上杉研太:これはギターのBメロでちょっとハウリングが残って、胸がギューっとなるような音色がバシッと決まってから、全体的にまとまった気がしましたね。

音色についてはこの曲だけじゃなくて、今回、すべてに相当こだわりました。「この曲の主人公は、どういうところにいるのかな?」とか、「この曲のこの歌詞は、どういうステージで存在するべきなんだろう?」とか、そういうところまで考えて。

だからベースが、ドラムが、ギターが、というよりも、それをみんなでイメージして作っていったアルバムです。もちろん今までもそうなんですけど、今回は特に色濃くて。一聴した時にパッと入ってくるように作っていきました。


──あとこの曲のサウンドは、歌っている人と演奏している人の間に少し距離があるところが、他の楽曲とは違う気がしました。

藤原”32才”広明:他の曲はドラムも主役になるというか、主人公の心情に重なるみたいなイメージが多かったんですけれど、この曲に関しては主人公の気持ちにドラムが鳴るというよりは、後ろの景色みたいなものになったらいいな、と思って。このモヤっとした気持ちの一部分になるというより、そうさせているような何か、みたいなものになったらいいな、と。

だからリズムは一定で、できるだけ淡々と、けれど勝手に時が流れていってしまう、みたいな。時計のような役割もありつつ、といったようなワードをみんなで出して、誰がどのくらいの分量でそういうことをやるのか綿密に話し合って、サウンドメイクも結構うまくいったのかな、と思っています。


シリアスな声だから苦労した表現方法

──2曲目、3曲目はシングルでも発表されている、怒涛の勢いで感情を奮い立たせ、光を感じる「ハイライト」「突破口」と続いて……。来ましたね! 4曲目の「mob」。

柳沢亮太:ははは、来ちゃいました(笑)。


──「ハイライト」「突破口」とは別の陰の部分というか、かなり痛烈な言葉が並んでいるので、やはりまず歌詞に注目せざるを得ないです。

柳沢亮太:この曲に関しては、あえて言葉にするのであれば、今作で唯一怒りに近い気持ち、いら立ちといったような楽曲になっているかな、と思います。

こういう楽曲に関していうと、あまり語りすぎると野暮かな、という気もしているんですが……。たとえばタイトルの「mob」について、僕らは英語タイトルの楽曲は少ないんですけれど、この「mob」というワード自体に皮肉を込めているつもりはすごくあって。

そして結局は「アイラヴユー」というところにつながるんですけれど。先ほどの光と陰ということでいうと、言葉としては陰の要素が一番強い楽曲だとは思っていて。やっぱりこういったことを思う瞬間というのは、非常に増えているような気がしていますよね。


──「mob」の<人間でいよう 痛みを想像できる 人間でいよう>という言葉は、それこそ「アイラヴユー」の<今僕らに必要なのは 想う気持ち 想像力>とつながっていますね。

柳沢亮太:うん、そうですね。


──最近、ネット情報が入りやすくなった分、分かったつもりでいて、でも相手から話を聞いて、「そういうことだったんだ」と気づくことが多いので、<痛みを想像できる 人間でいよう>という歌詞を聴いて、ドキッとしたんですね。もちろんmobといった群衆の無責任な煽りに負けるな、という背中を押す面もありつつ、逆に加害者になってしまうかもしれない自分に対する戒めという側面も感じました。

柳沢亮太:何かを攻撃するというよりも、自分自身に言い聞かせなきゃいけないところも、きっとあると思いますし。だから本当に難しくて。言葉を伝える時、たとえばメールというのは、すごく難しくないですか?



──難しいです。

柳沢亮太:絵文字はすごく便利だな、と思うんですよね。同じ文章だとしても、あれがあるかないかによって、伝わり方が変わってくる。そこにうれしい気持ちが入っていても、「!」か「。」かだけで、印象が違うじゃないですか。だったらやっぱり電話した方が良くない?とか。それはおっしゃってくださったように伝える側もそうだけれど、受け取る側も想像力を持って受け取らないと思い通りには伝わらないというか。

だからこそ顔を突き合わせて言葉を交わすのが一番いいとは思うんですけれど。そういった中で生まれるひずみみたいなものに対する違和感は、いろいろなところで覚えたりするので、そういったところがこの楽曲を作ったきっかけになったのは、圧倒的にあるな、と思っています。

上杉研太:この歌に関しては、本当によく言ってくれたなという感じがしますよね。ちゃんとおもしろみもあって毒が入っている。これを聴いて歌詞を見て、理解できない現代人はいないんじゃないかな、というのと、どこかで自分が濁して見ないふりをしている部分にフォーカスが当たっているというか。

だから自分がどうとか、相手がどうとかじゃなくて、皆多分、そういうところがあるよね、というところの話だろうな、と。


──本当にそうですね。歌詞の中に<イモ カボチャ ニンジン>と入ってくるのも、毒とユーモアが現れています。

上杉研太:デモができた瞬間に、柳沢には「<イモ カボチャ ニンジン>はすごいね。やったな」と言いましたけれど(笑)。

柳沢亮太:これを発するのは渋谷じゃないですか。そこに関するドキドキはありましたよ(苦笑)。「これは歌わせていいのか?」と。単純に内容じゃなくて、この響きがね。


──(笑)。実際、渋谷さんはどう感じられたのでしょうか?

渋谷龍太:僕は強みであり弱点だと思っているんですけれど、声がシリアスなんですよ。


──確かに。

渋谷龍太:歌い方もそうなんですけど、シリアスだから、おもしろいことを歌えないんですよ。これは本当に難しくて、ずっと向き合ってはいるんですが。まじめに真剣な気持ちを歌にする時は、めちゃくちゃいい武器だなと自分でも思ってはいるのですが、イモとかカボチャ、ニンジンが出てきた時の相性の悪さとのは、自覚はしていたので。うまい具合に落とし込もうと思って、なんとかなった気はしています。


──最終的に、毒を入れた感じで仕上がっていますよね。

渋谷龍太:そっちの方になんとか持ってかなきゃいけないな、と思って。だからこの曲は出だしから、この<イモ カボチャ ニンジン>をめがけて歌っているんですけど。

(一同爆笑)

渋谷龍太:温度感を合わせているのは、全部ここですね。


──このワードたちは非常にインパクトがありました。

渋谷龍太:俺もドキドキしていました。“ニンジン”がヤバいんですよね。

柳沢亮太:“イモ、カボチャ”は何とか、ね。でも“ニンジン”は、かわいいんだよね。

渋谷龍太:“ニンジン”はね、難しいんですよ。


──でも逆にこのニンジンという言葉があるから、曲にどこかかわいらしさもある気がします。

渋谷龍太:確かにキュートですよね。


──一方で「mob」のサウンドに関しては、非常に一体感があって、演奏しているみなさん気持ちいいんだろうなと感じました。

上杉研太:今までのSUPER BEAVERでは形になりづらかった曲かもしれないです。総合的に歌詞も踏まえ、すべてにおいてしっかりいいところにはまって。こういう楽曲で、この1年のおのおののスキルアップを感じ取ることができて。演奏とか歌とか、グルーヴしてないと成立できないし、勢いでどうにかできるものではないので。

アレンジもみんな適材適所でしっかり役割を果たしていないと、かっこ悪くなってしまったりするんです。でもこういうのが1つ形になって、しかもライブでもガンガンやりたいな、と思えるような仕上がりになっているので、自分たちの中では次につながるものになったと感じています。


──自然と踊りたくなるような曲ですし。

上杉研太:このリズムに合わせて、毒が吐かれていき、だけどニンジンで中和をとる、みたいな。


──藤原さんはいかがでしたか?

藤原”32才”広明:最初はもっとモリモリに、いろいろドラムをやる、みたいな案も自分の中であったんですけれど、結果は一番手数が少ない方向でまとまりました。今までのSUPER BEAVERだと、こういう曲は本当に演奏力とかそういったものがばれるので、なかなか大変ではあったんですけれど、リズム隊ですごく良くなったし。

あとこの曲は歌のリズムがすごくいいので。最後にちゃんと清書してくれたなというか。僕らのちょっとした、人間の浮遊感のところとかも、すべていい作品として、歌で締めてくれたと僕は思っています。


──なるほど! 「清書する」という表現はすごく腑に落ちました。

渋谷龍太:リズムという点においては一番考えている人なので、そう言われるとうれしいですね。やってきたことがちゃんと伝わってるっていうのが(笑)、ありがたいです。やっぱり僕は上物の中の上物なので。4人の音楽ですけれど、3人に乗っかっているという感覚も忘れてはいけない、と思っているんです。

自分の歌としての立ち位置は、曲によって変わってはいく。その自分の立場と歌の立ち位置をキャッチして、そこにどんな歌を歌うのか、いろいろできなくてはいけないなと思い始めたのが、2年ぐらい前だったので。そういうことをやってきて良かった、と思いました。


──2年前にそう思われたきっかけは何だったのでしょうか?

渋谷龍太:具体的に何かがあったというわけではなくて、自分の歌と向き合ったり、ソロを始めたりしたというのもきっかけではあるんですけれど、自分ができないことは、わりと多いなと思って。

「歌、上手だね」と言われることはあるんですけど、得意分野だけ聴かせれば、そりゃそうだわな、と思ってしまうところはあって。ボーカリストとして歌がうまいというのは、礼儀の1つだと思っていますから。ニンジンもそうですけれど、できないことと向き合って、どういうふうにしていこうかなとずっと考えていたので、今回はそれができてよかったなと思いますね。

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渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“32才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。 2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。 2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを実施。 2012年···

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